4日目 リリル 2
二日続けての投稿です。
これはリリルのお話の“パート2”です。
この前にパート1があります。
「……その……内容というのは……わっちの……わっちの……」
「焦らないでいいよ。俺はいつまででも待てるから」
「う、うむ。それはの……わ、わっちの……わっちの『母乳が幸運を呼んで願いを叶える』……という能力なんじゃが……な、何か言ってくれ! わっちは今ッ、ものすごく恥ずかしいんじゃ! 子作りも、キスすらもしたことがないというのにッ、わっちのこの体は母乳が出る体なんじゃぁあああああ!!」
そんな恥ずかしそうなリリルを眺めているうちに、俺の口がやっと動くようになった。
「……アッ!! ご、ごめん……一瞬、リリルが何を言っているのかわからなくなって……とりあえず、“初心なリリルの母乳を飲むと幸運が舞い込んで来たり、願いを叶えてくれたりする”ってところまではちゃんと理解したよ」
「ばっちり、しっかり、ちゃっかりわかっとるではないかぁぁああああ!!」
なぜだかはわからないが、俺の頭の中に高速でリリルの言葉が反芻し、理解を深めることができた。
リリルは顔を恥ずかしそうに両手で押さえ、金のツーサイドアップと共に首を横に何度も振っている。
可愛い……だ、ダメだダメだ!! 今はそこじゃない!
今はリリルの母乳についてじっくり考察を……いやいや! そういうわけでもない!
いや、違くはないのか……? 別に変な目線で考えるということではなく、冷静になってそんなことを彼女に頼んでいいのか考えるんだ。
だ、ダメだろう……こんなに恥ずかしがる初心な娘に、“授乳してください”なんて言えるわけないだろう……そのくらい一瞬でわかるだろう? なぁ、俺よ。
やはり目の前に甘い誘惑があると、すぐそれに流されようとしてしまう。俺の悪い癖だ。
リリルはおそらく、シェイプシフターの能力を使って子供の姿になることで、自分の体を母乳が出ない体に変えている。もしくは、他人に見られてもそんな想像さえさせないようにしているのだろう。
きっと母乳が出てしまうということがすごく恥ずかしくて、彼女にとってそれがコンプレックスになっているのかもしれない。だから子供の姿という母乳とは正反対の姿を求めたのではないだろうか。
そしてそこに『子供の姿ならば疲れが取れる』という口実を自分の中に作ることで、“母乳”というコンプレックスのワードを自分から遠ざけることも、彼女は無意識に考えているのかもしれない。これはさすがに俺の考えすぎかもしれないけど。
「リリル……さすがに“俺に授乳してください”なんて言えないよ」
ここで俺の頭の中に稲妻が走るように、昨日のことが急に思い出された。
ムヒョウに『おっぱい、ほしい』と言ってしまった気がしないでもない……ま、まぁそれはいい。
今は母乳の話だ。母乳=おっぱい、おっぱい=母乳にはならないはずだ。
え? ならないよな……?
「こッ、これはジンが無事にテオーリア王国から帰って来てくれたお礼なんじゃ!! それにジンも悩んでおるようじゃし、それを解決できるのはわっちしかおらぬ!! だッ、だからわっちがジンにおっぱいをあげることは以前からすでに決まっていたことなんじゃ!」
リリルは赤くなった顔を俺に向け、必死に授乳の正当化を図り出した。
おまけに、最後に小声で呟いていた内容を俺の神級の耳が捉えてしまった。
「……こうでもしなければ、ジンの心は手に入れられんかもしれんし……ジンは絶対におっぱいが好きなはずじゃからの。アピールするならここが絶好のチャンス……頑張れ、頑張るんじゃぞ、わっち」
なぜ……俺のおっぱい好きがバレているんだ? ……そんなに俺は無意識のうちにおっぱいを眺めていたんだろうか……恥ずかしすぎて穴があったら入りたい……入ってそのまま冬眠、いや、永眠したい……死ねないけど。
「で、でも……」
「じゃあわっちはこれから元の姿に戻るぞ? ジンはそこでじっとして見ておれ」
リリルは俺の抗議を聞き入れる耳は持っていないようで、簡単にいなされてしまった。
彼女はベッドから勢い良く飛び降り、俺の目の前に立った。
彼女の顔に緊張が混じっているのが、俺でもわかるくらい明白だ。
俺は口を開こうとするが、その前に彼女の変化の方が早く訪れた。
リリルの白いワンピースが、彼女から溢れだす魔力によってふわりと揺れたあと、一瞬で彼女は黒い魔力に覆われた。
1秒もしない間に黒い魔力のベールは晴れ、彼女の真の姿がそこに現れた。
「ふぅー……人前で変身するなど、数年前、父様や母様に見せた以来かのぉ。どうじゃ? そんなに悪くない見た目だとは思うが……皆と比べると、やはり見劣りするかの……?」
「そんなことない……リリルってすごい美人さんだったんだね」
リリルは20代前半くらいの美しい女性になり、身長もかなり伸びて、今は170センチはあるんじゃないだろうか。
金髪も身長と共に伸び、腰くらいまではある。指の長さ程だったツーサイドアップも、今はそこだけで肩にかかる程ある。
だがなんと言っても俺が最初に注目してしまったの彼女のその豊満な胸だ。少女中、最大の胸囲を誇るアリーシェには及ばないものの、グレイアねーちゃんといい勝負の大きさだ。
バインバインのリリルの胸は、少女の可憐さを引き立てていたはずの白いワンピースに、今では俺に扇情的な印象さえ与えてしまっている。
神秘的な淫靡さと、女性特有の緩急の付いた曲線が、俺の視線を掴んで離してくれない。
「そうか! 気に入ってくれたか!?」
「うん、でも小さい時のリリルも、俺は可愛くてよかったと思うよ?」
「そ、そうか……えへへっ」
リリルは嬉しいような、または照れているような、そんな表情で踊るように一回転し、ワンピースの裾を浮き上がらせた。
両手を後ろに組んで屈み、俺の顔を覗き込んでくる様は、彼女の美少女さに拍車を掛けた。
あどけなさの残る少女の声だったリリルも、今では女性の立派なそれだ。
当たり前かもしれないけど、中身はやっぱりいつもと変わらない。大きくなったリリルも、ちょっと変わった喋り方をする、可愛いらしくてどこか憎めない雰囲気の、普通の女の子だった。
「でも、俺に秘密を教えちゃって本当によかったの?」
「いいんじゃ。わっちはジンには親近感のようなものが湧いての。妖精はこの世で最も神に近い存在じゃ。魔力の質も、その能力も近いものがある。ジンはわっちと同じように姿を変えてもいるではないか。わっちはそんなジンを他人とは思えなんだ。それに……」
リリルの言葉は途中で途切れ、彼女は顔を俯かせてしまった。
俺の目の前にいるこの少女は、自分の秘密を守るために、今まで孤独な思いをしてきたのかもしれない。
そんな彼女が、次に何を言おうとしているのか、俺は気になった。
「ん? それに?」
「それに……わっちの母乳を捧げる相手はきっと、ジンしか居らぬと……ジン以外に飲ませるのは嫌だと、そう思ってしもうた……わっちは変な女じゃろう?」
「そんなことない!! 嬉しいよ、とっても。リリルはそんな風に考えてくれていたんだ」
俺は考えるよりも先に言葉が出ていた。
リリルが俺を特別に扱ってくれることが、とても嬉しい。
自嘲気味だったリリルの顔が唖然としたものに変わり、次には華やいだ。
彼女は両手を広げて俺に駆け寄り、そのまま俺は彼女に抱きしめられた。
「あぁーッ……!! ジンはほんに可愛いのぉ……」
リリルの大きな胸が顔に押し付けられ、俺の理性のダムが決壊しそうになる。
彼女の胸から口を出すだけでも一苦労だった、物理的にも精神的にも。
「り、リリル……! このままじゃ……俺、またっ……」
「いいんじゃ、ジンは我慢せんでよい。わっちの母乳を飲んで、こう願うんじゃ。“自らの神の力のみによって、自分に好意を抱いている女性は誰か”とな。ジンの悩みは杞憂なものであったと、わっちが証明して見せよう。と言っても、わっちは母乳を飲ませるのは初めてなのでな……正直、能力の概要くらいしか、わっちは母様から教えてもらっておらんのじゃ。じゃが、きっと上手くいくじゃろう」
リリルは俺を離し、ベッドの俺の左隣のに再び座った。
そして彼女は頬を染め、恥ずかしそうに俺をチラチラと見ながら、ワンピースの肩紐に手を掛けた。
俺はこの恥じらうリリルから目が離せなかった。
本当ならここで断るべきかもしれない。でもこれは彼女のせっかくの好意であり、俺の悩みを解決してもらえるかもしれない。
リリルの想いを無下に扱うことなんて、俺にはできそうにない……目の前にこうやって誘惑が現れると、俺はまたいろいろな苦し紛れの理由を付け始める。
そうやって俺の欲望が我慢できなくなっていくのが、自分でもわかった。
リリルは背中から生えていた緑の4枚羽を仕舞った。
彼女が右手を掛けた所から、白い素肌が見えていく。
白いワンピースが右に傾き、次には胸元で水平になった。
大きな出っ張りが、ワンピースをかろうじて引っ掛けている状態だ。
彼女は目をきゅっと瞑り、ワンピースをお腹まで一気に下げた。
そこから出てきたのは、細身のリリルには似つかわしくない程の、大きな胸。
彼女は一瞬見えたその先端を、右腕ですぐに隠し、裏に返した左腕を前方の宙に浮かせた。
「じ、ジン……さぁ、来てもよいぞ」
「し、失礼します……!!」
「ふっ、急に素直になったの」
リリルがそう言って優しく笑っているのを見て、俺は彼女に吸い寄せられていった。
彼女に膝と左腕に仰向けで寝転がると、目の前には彼女の立派な胸と右腕があり、それらがリリルの口元を隠していた。
「すごい……」
俺の口から自然とそんな言葉が飛び出した。
「今からこれがジンの口元にいくんじゃぞ?」
「信じられない……」
「ぅっ……自分で言って、なんだかさらに恥ずかしくなってしまったわい……い、いくぞ?」
「う、うん」
リリルの右腕が離され、そこから乳房の先端が露わになった。
濃いピンク色……しかもすでに膨らんでいて、俺の口を待ち構えているようにさえ感じる。
俺の頭がリリルの左手によって支えられ、彼女の左胸の先端がじわりじわりと俺の口元に近づいて来る。
俺はそれを早く欲しいと主張するように、口を開けて待ち構える。
俺の口に、やや大きめに感じるリリルの乳房が触れた。
その瞬間、すぐさま口を閉じ、俺は無我夢中に彼女を吸って吸って吸いまくった。
「あぁあッ!! ゥぐっ……!! ジンっ! ジンッ……はぁんッ……好きなだけッ……吸っていいんじゃぞっ……んんぅッ……んんッ!! ……んふぁぁああァぁあアアあッ!!」
リリルの中から溢れだす甘い母乳が、俺の中に飛び込んで来る。
俺は一滴も逃さないように、激しく吸っては周りに流れようとする母乳を舐め取っていった。
美味しい……。
リリルの母乳が俺の乾いた喉を潤していった。
そのとき、俺の中に何かの力が溢れてくるのが感じられた。
これがリリルの能力か。
俺は心の中で願った。
≪俺の神の力のみによって、俺に好意を抱いている女性は誰?≫
すると、俺の頭の中に直接、何かが流れ込んで来る感覚が俺を襲った。
≪該当者ナシ≫
それは声ではなく、情報という感じだった。
やったぁぁああああ!!!
まぁ、神の力が少し働いて、彼女達を惹きつけるのは仕方のないことだろう……そこはもう諦めよう。
それにしても、ほぉ……! これはなんと便利な能力だろうか! ん? 能力……?
そういえば、俺はリリルの血も飲んでるよな?
俺もリリルのように母乳が出るようになってしまったんだろうか……? いや、母乳は女性だよな。
だとすれば……俺の場合は……まさかね。
でも気になるし、願ったら教えてくれるのかなぁ。
俺はまた願ってみた。
返ってきた答えは、俺の予想通りだった。
とりあえず安心した……でも、そうか……。
この際だから、俺はいろいろ願って聞いてみた。
≪この能力はリリルがリリルの母乳を飲んでも効果はあるの?≫
≪効果無シ≫
そうか、じゃあ次。
≪リリルに苗字はある?≫
≪無シ≫
これは俺もすでに知っていた。リリルには苗字が存在しない。
この世界では別に珍しいことではないのだ。名乗りたい苗字があれば、使えばいい。
しかし、このヴァルレイ王国ではほぼみんなに苗字がある。
それでもリリルに苗字がない理由は、この国に住んでいるその種族自体の人数が少ない場合、名前の後ろに種族名を入れて行政手続きが行っているため、そんなに必要がないのだ。
仮にリリルの行政手続きを想像するなら、書類の名前欄には『リリル・バンシ―』と表記されることになるだろう。
≪冥界の女神の名前は?≫
≪不明≫
わからないこともあるのか……それとも名前なんていっぱいあるのかな、神様だし。
≪俺が地球に居た頃の名前は?≫
≪不明≫
ほぉ……この世界限定の知識、辞書みたいな能力なのかなぁ。
≪俺のことを好きな人はいる?≫
≪該当者アリ≫
そ、そうか。その名前も聞こうかと迷ったけど、それはマナー違反だよな。
≪今日の俺の夕食のメニューは?≫
≪牛丼≫
す、すごい……合ってる。本当に美味しかったなぁ……汁だくで牛肉もたくさん入ってたし。
≪明日の天気は?≫
≪多分、晴レ≫
たぶんかよ!! 急にどうしたんだよぉぉおおお!?
≪俺がエンディに刺されたことは、この能力で事前に予見することは可能だった?≫
≪幸運ガ働キ、死ヌコトハ無カッタ。何カノキッカケデ、血ヲ飲ムトイウ幸運ガ発生シテイタダロウ≫
しゃべったぁぁあぁああ!!
≪君は誰!?≫
≪バンシ―ノ“グロワール”≫
やっぱりこの能力を介して、誰かと交信している訳ではなさそうだ。
それにこの能力で情報を知るには、いろいろと制限があるようだしな。
でもこの幸運パワーは、特に期待ができそうな能力だ。
「はぁぁううゥウウッ……!! ジンッ……そんなにっ、わっちのおっぱいを気に入ってっ……はぁッ!! 激しすぎじゃぁぁああァッ……!!」
ハッ!! いかんいかん。つい興奮と安堵感で、夢中におっぱいを吸い続けてしまっていた。
このままではリリルが大変なことになってしまう。
クッ……!! 名残惜しいけど、口を離そう。
「ぷはっ、リリル……ありがとう。リリルのおっぱい、おいしかったぁ」
ヌヌ!? 俺のこの声は……まさか。
「はぁっ゛……はぁっ゛……ジンは……赤子のように小さくなってまで、わっちに甘えてくれるようになったんじゃな。あぁ……ジンはなんて愛おしいんじゃろうか……愛しておる……わっちはジンのことを愛しておるぞ?」
やっぱり俺の『幼児化』が……いや、これは『乳幼児化』と言うべきか。
また無意識に、甘えながら小さくなってしまった。
でも、これがとてつもなく心地いい……ずっとこのままでいたい。
リリルの息遣いが少し荒く、上から俺を穏やかな眼差しで見つめてくる。
俺は暖かな彼女に包み込まれながら、吸いこまれるように彼女の瞳を見つめ返した。
「おれもだよ。おれもリリルのこと……あいしてる」
「なッ……!? んんーッ、ジンんんッ!! もっと抱き締めさせてくれぇ!!」
俺はリリルの肩の所まで抱きかかえられ、俺は半分、宙に浮いた。
それが嬉しく、俺は終始、笑みを絶やすことはなかった。
俺ばかりがいろいろされていては、リリルに申し訳ない。
俺はリリルの首に抱き着きながら、右側から顔を出した。
そして右手を伸ばし、彼女の頭を優しく撫でた。
「んんっ! いきなり『神の手』を使うなどッ……あぁッ、わっちも我慢できなくなってしまうじゃろぉおお!?」
「リリルもがまんしなくていいんだよ? おれのなやみはかいけつしたから、もうだいじょうぶ」
「そうかっ! わっちはジンの役に立てたのじゃな!? んんッ!! ならば、これはジンからのご褒美なのじゃな!?」
「うん、そんなとこかな」
「ぬほぉぉおおお!! ジンんんっ! ジンんんっ!」
リリルからの愛し方がさらに激しくなった。熱烈な抱擁と頬ずりだ。
彼女の俺への愛し方が、どことなくママに似ているかもしれない。
でもすごく嬉しい。いや、ママのが嫌なわけじゃないんだけど。
リリルの長くなったツーサイドアップが、俺が彼女の頭を撫でる度に大きく動く。
前から気になってたけど、これはどういう仕組みなんだろう。
尻尾みたいだよなぁ……シェイプシフターの力が少し作用しているのかもしれない。
そういえば、リリルはアカリの声真似も上手かったよなぁ。
羽も閉じようと思えばすぐに閉じれるみたいだし。
クッ……そ、そんなことより……!!
「リリル、ははっ、くすぐったい」
俺がそう言うと、リリルは俺を少し離し、蕩けた目で見つめてきた。
「んんー可愛いのぉ……わっちとチューしてくれぬか?」
「うん、もちろん」
「よ、よいのか!?」
「ちょっとまってね」
リリルは目と口を大きく開け、とても喜んでくれた。
今度はちゃんと、俺からやらないといけないよな。
俺は『大人化』でリリルよりも大きくなり、そのまま彼女を覆い被さるように押し倒した。
「ジン!?」
「今度は俺がするから、リリルはそのまま楽にしてていいよ」
「わっちは今、ジンに求められているのじゃろうか」
「うん、さっきからずっとね」
「ジンっ……んっ」
俺はリリルの熱くなった唇を奪った。
彼女が俺の首に腕を回し、さらに足まで使ってきた。
俺は彼女から唇を離し、その顔を上からじっくり見つめた。
「リリルって意外と積極的だよね」
「ぬぁ!? それは言わんでくれぇ! こんなこと、ジンが初めてなんじゃ……なんだかわっちがそういう女みたいに聞こえてしまうじゃろ?」
リリルは今までとはまた違う恥ずかしがり方で、俺の“もっと……”という欲望が掻き立てれる。
「リリルは間違いなく、可愛い生娘だよ」
「そうじゃろ? ジンには責任を取って貰わねばな!」
「全員まとめてって形になるけど、それでもいい?」
「むぅー、ジンはずるい男じゃ。ここでわっちが断らないことを、ちゃんとわかって言っておるんじゃろ?」
「リリルのそういう怒った顔も、すごい可愛いよ」
「またそうやってぇ……わっちをからかって楽しいんじゃな? ジンはひど――――んんッ!!」
可愛くてつい、リリルの言葉の途中で彼女の口を俺の口で塞いでしまった。
いろんな彼女の表情を見たことで、俺の支配欲が少しずつ満たされいく。
今度は中に舌を入れて、リリルの奥を味わう。
俺がまた離れようとすると、俺の首にあるリリルの両腕が強まって離れられない。
少し目を開けると、リリルは必死に俺を欲しがっているようだ。
彼女が満足するまで、幾度となくキスが続けられた――――――――
「あぁ……これがファーストキスの味というやつなんじゃなぁ」
「まぁ、だいぶ前のことだけどね」
「よいではないか。ぜーんぶまとめて、わっちのファーストキスの味じゃ!」
「そうだね。リリルの満足そうな顔を見てると、俺も嬉しい」
「わっちはまだ満足しておらん! 明日から少なくとも6日間はこうすることができんのじゃぞ? そりゃあ、ジンは毎日違う女子とイチャコラするんじゃろうがな、ふんっ」
リリルはまだその両腕を俺の首に回しながら、拗ねたようにそっぽを向いてしまった。
「あぁ、そんな顔しないで、リリル」
「嫌じゃ! もっとわっちを満足させてくれると言うなら、許してやらんでもないぞ?」
「わかった。じゃあこんなのはどうかなぁ」
俺は右手でリリルの右胸を揉み、左胸にしゃぶりついた。
余った俺の左腕は、ベッドに肘を付きながら、その指をリリルの口に差し入れた。
「あひぃぃいいいッ!! ィンッ! イィンッ! わっちがわぅあった! ほれはらめぇぇぇええッ!!」
たぶんリリルは『ジン、ジン、わっちが悪かった、それはダメ』と言っているのだろう。
俺は左の乳首から口を離した。
「ちょっとよく聞こえないなぁ、ごめんね。でも、リリルはもっとして欲しそうな顔だ。安心して、簡単に止めるつもりなんてないから」
最後に満面の笑みをリリルに向け、俺は再び元の位置に戻った。
「ひゃあぁあああっ!! インのいりわぅぅうううッ!!」
『ジンの意地悪』かな?
褒め言葉です。
俺はときどき体制を変えながら、それを続けた。
それが終わった時には、リリルはすでにグッタリとしていた。
「大丈夫? やりすぎちゃったかな」
「ハァッ……ハァッ……気持ち良すぎてッ、腰が抜けそうじゃッ。うぅ、叫び過ぎて喉が渇いてしまったのぅ」
「何か飲み物持ってくるね」
「そんな、わざわざジンに行かせるわけには……っハァ……ハァ」
「いいのいいの。そこで待っててね」
俺は立ち上がろうとするリリルを制し、ベッドから降りて会議室の冷蔵庫を目指して歩いた。
◆
吸血鬼の城の塔の階段を降り、会議室に近づくにつれ、俺は気づき始めた。
まだみんなが会議室にいる。
いつもなら、もうみんな自分の城に帰っている頃なのに。
俺は階段を降りる足を速くし、みんなの待つ会議室へと急いだ。
◆
会議室に着くと、不安気な表情をするみんなの顔が、部屋の入口に立つ俺へと一斉に向けられた。
「ごめんね、さっきはあんなこと言って。あれは全部、忘れてくれないかな」
「ジン様! では、お悩みはもう……」
「うん、もうばっちり解決したから」
アカリは満面の笑みに変わり、それに続いてみんなの表情が明るくなっていった。
しかし、フェリティアだけは違った。
フェリティアは席を立ち上がり、俺に向かって足早に近づいて来た。
「もっと謝って!」
「ごめん……フェリティア」
彼女の目からは大粒の涙が溢れだし、頬を伝っていた。
それを見た俺は、はっとさせられた。
俺のあのたった一言で、こんなに彼女を、いや、彼女達を悲しませてしまったのだ、とやっと気づいた。
フェリティアは俺の紅いローブの襟を両手で掴み、涙目で俺を下から睨みつけた。
「私がジン君のあの言葉で、どれだけ寂しい気持ちになったか……ジン君にわかる!?」
「ちゃんと考えられていなかった……本当に……ごめん」
「ジン君の……ばかぁッ……ゥッ……」
フェリティアは俺の胸にゆっくり倒れ込み、静かに泣いた。
俺は情けないことに、フェリティアを抱き締め、彼女の背中と頭を撫でることしかできなかった。
今の俺に唯一許されたのは、それくらいしかなかった。
周りのみんなの表情を見ると、このフェリティアのこの行動に、珍しさからくる驚きと、彼女と同じような気持ちだったという感情が入り混じったような顔をしている。
「みんなも、俺が変なこと言ちゃって、本当にごめんね」
みんなは少し微笑んでくれたり、首を横に振って俺を許してくれた。
「ありがとう……みんな」
気づくと、俺も涙を流していた。
自分の論理を簡単に人に押し付けちゃダメだ。
もっとみんなを、大切にしよう。
ついに母乳に手を出したか、ってやつですね。
次回は少し大人しくなる予定です。
予定は……未定です。
次回はメリッサのお話です。
お楽しみに!!




