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蝉日和

 ――今日もセミが鳴いてる



 日に日に増してく夏の陽気は、僕らの体力を貪っていく。そんな中で、セミ達の大合唱という追い討ち。

 ――なんて五月蠅いのだろう……


 今日は1日寛げると思っていたのに、彼らは朝早くからご苦労なことで。

 ミンミンミンミンやかましいくて適わない。

 ――何処か余所でやってほしいよ、全く



 ずっと昔、セミについて調べたことがある。彼らが鳴くのは求婚、つまり子孫を残す生存本能らしい。

  セミが早死にすることはもはや、誰でも知っている。彼らはこの一瞬に自身らの生きた証を刻もうとしているのかもしれない。

 ――しかし、やるなら余所でやってほしいのだけど……



 しかしながら、ふと思った。僕らは彼らを侮蔑する資格などあるのだろうか、と。

 彼らは今を精一杯生きている。反対に、怠惰な性格を営んでいる僕らがいる。

 ――もはや侮蔑では無く、ひがみではないのか……!?


 「寛げない」とはよく云ったものだと、さっきまでの自分を咎めたい。

 窓に耳を傾けてみる、もうさっきまでの雑音は聴こえない。

 セミの鳴き声がする。

 ――彼らはこんなにも生きていたんだ。一生懸命活きていたんだ。



 セミの寿命は一般的に一週間だと思われている。しかし、実際には違う。

 彼らは平均して二週間という二倍近くのタイムリミットがある。


 僕らも彼らを見習わなくてはいけない。

 遅いなんてことは無い。僕らのタイムリミットにも、セミ同等の勘違いがあるのだから――。


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