満員電車
いつからこの電車は満員電車になったのだろう。
1つの車両に入りきらないほどの人が詰め込まれて、車内はもはやサウナ同然の蒸し風呂状態。
足の踏み合いなんて日常茶飯事。
踏まないようにではなく、踏まれないように、としか考えていない。
吊革に掴まれない者は、そのまま慣性に流されバランスを崩す。
キツいよね、苦しいよね。
だからこれ以上、車内に人を入れないように阻止をする。
乗れずに切り捨てられた人達は、そのままホームに置いてきぼり。
「あれ?俺の荷物がないぞ……!」、「キャ〜ッ、痴漢よ!!」
治安は悪く、社会はシンまで腐りきっている。
人々は目先の事で手一杯。
推し蔵饅頭状態な車内の座席に、悠々座っている者になんて気がつかない。
座席に置いてある荷物を膝に移せば、多少現状が緩和させるハズ。
それなのに人々は目先の足を踏んづけてしまった人の事を恨む。
人が詰め込まれているこの箱じゃあ視界は悪くて、物事の良し悪しがまるで分からない。
人は自分の事しか考えず、この箱を改善しようなぞ思わない。
座席で悠々傍観している彼らにまったく気付かない。
満員電車だから動けないんじゃない、動こうとしていないだけだ。