第7話 遭遇
アマミヒメは木々の声に従い、森の奥へと進む。
その先に見えたのは、巨大な鳥に囲まれた少女の姿だった。
少女…?
一瞬、戸惑う。
長い栗色の髪。透き通るような白い肌。見たことのない、ヒラヒラした服。
倭国とも魏とも違う。
それは、アマミヒメが初めて見る、西洋の人種だった。
少女はサーベルを持ちながら震えていた。
刃先は恐怖に揺れ、空ばかりを彷徨っている。
「来ないで!」
必死に巨鳥を追い払おうとしているが、戦い慣れていないのは明らかだった。
見慣れない姿形だけど、きっと、遠い国の王女だ。
アマミヒメは直感した。
倒すべき相手。
背後から刺す?見捨てる?
瞬時に戦略を考える。
冷徹になれ。私にはキイカを救う目的があるのだから。
だがーー
「三日月!」
アマミヒメの言葉で三日月が地面を蹴り、巨鳥と少女の間に割り込んだ。アマミヒメは馬上で青銅の鉾を構え、数回振り回した。
鉾は空を切るが、驚いた巨鳥たちは少し後ろに下がる。
「捕まって!」
アマミヒメは少女の腕を掴んで背へ引き上げる。
また、間違えた。
そう思った時には遅かった。
身体が、勝手に動いていた。
***
「助けてくれてありがとう」
巨鳥を振り切り、離れた場所で馬を降りたところで、その少女はアマミヒメに深々と頭を下げた。
栗色の髪。蒼みがかった美しい瞳。
きっと、遠い国の人間だ。
遠い国では、人の姿形がこんなにも違うのだとアマミヒメは驚いた。
異国の王女が名乗る。
「私は、ロシア帝国王女、アナスタシア」




