第5話 何奴(side:モカ)
「モカちゃんおはよう」
「おはようございます」
「朝からありがとうね」
「いえ、私の仕事ですから」
村民達への挨拶もそこそこに定位置に付く
我がホイップ領の端のほうに位置する村は魔物たちや賊の被害が多く、騎士が常駐することになっている
しかしここパラグ村はそういった被害があまり無いため、私一人で見張りを行う事となっている
初めて来た時は緊張したが今では村民たちともすっかり仲良くなり、休憩時間中は子どもたちと遊んだりもしている
正直やることがないのだが、私のやることがないのは平和の証でもあるためそれが良い
「お〜ついた〜」
のんびりとした声が聞こえ、その方を向いたら全身が黒い謎の男がいた
「止まれ、貴様何用でここに来た」
いつでも抜剣できるよう準備しつつ黒男に問いかける
「えっと…森で迷って人里のある方に来たんです」
「森で何をしていた?」
「何もしてません、一回野宿しましたがそれだけです」
怪しい、あの森に危険性がないとは言え森に入って野営のみなどなんの意図がある
しかし嘘をついてる様子はない……
わからん、村長に聞いてみるか…
「黒男、とりあえず村長に聞いてくる
そこを動くなよ」
「黒…?まぁわかりました、ここで待ってますね」
なんなんだこいつは……?