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他人任せ異世界論  作者: 百足ムカデ
王都編
28/30

第28話 ご飯と日常とお話と

 あのあと、結局近くに獣人入店可の店がなかったからマナさんの家にお邪魔させて貰うことになった


「ごめんなさいね、散らかってて好きなところに座って良いからね」


 うん、人の家にお邪魔しておいてこんな事言うのはすっごい不躾だし、失礼だけど言わせてもらいたい


 部屋汚い(きったない)!!!!内心で済ませてるけど本当に言いたい!足の踏み場無いんだけど???ゴミ屋敷じゃないか!

 一応椅子と机は整理されてるけどむしろ不気味だよ!なんでそこだけ綺麗なんだよ!

 大体なんでこんな広いのにちらかせるんだよ!?目算だけど12畳はあるぞ??


【約12.5畳のダイニングです】


 広すぎるだろ!そしてゴミ出しすぎだろ!!

 はぁ……はぁ……内心で突っ込んでちょっと落ち着いた


「ここが、きんいろのおねえちゃんのいえ?」


「そうだよ、ルリちゃん」


「きたないね」


「ぐはっ!」


 ルリが代わりに言ってくれた子供特有の火の玉ストレートが決まったな

 ルリの方を見るとルリが困惑した目で見上げてきた


「ごしゅじんさま、なにか、わるいことしちゃいましたか?」


「いや、ルリは悪くないから大丈夫だよ」


 事実でも言って良いことと悪いことがあるけどそれを子供に配慮させるのは違うと思うからね


「マナ……だからあれだけ片付けろと……」


「違うのモカちゃん!司法書士ってかなり忙しいんだよ!?そんな中で片付けなんてしてる余裕ないから!」


「はぁ……しかしな、最低限度というものがあってだな……」


 モカさんのお説教が始まった、マナさんが「うげっ」って顔してるし長くなりそうだな

 そうだ、『幻獣の加護』がどんな感じなのか今のうちにルリに教えてもらお


「ルリ、影に入ることってできる」


「いまですか?」


「うん、できる範囲でいいからやって欲しいんだけど、良い?」


「それは、めいれいですか?」


「ううん、お願い」


 そう言ったらルリは困惑しながらも影の中に入り始めた


「これが、あたまだけ出したとき、このときにかげがうごくと、るりもうごける」


 今自分のことルリって言った!ちょっとずつだけど名前って認識になってきてるのかな、そうだったら嬉しいな

 それにしても頭だけ出てるルリすごいかわいいな、さしずめゆっくりルリってことか


「かわいいね」


「かわいい、ですか?」


「うん、すごいかわいいよ」


 前もこんなやり取りした気がする

 あ、「ずむむ」っていう音を立ててルリが沈んでく、顔赤くしてるし照れてるのかな


「すまんなヨウスケ長くなってしまった……ルリはどこに行った?」


 お説教タイムは終わったみたい


「ルリならここにいますよ」


 そう言うとルリがモカさんの影から飛び出す


「ばぁ!」


「わぁ!驚いたぞ、ルリ」


 そう言いながらルリをくすぐり始めるモカさん


「わきゃー!」


 笑顔で僕の方に飛び込んでくる


「ごしゅじんさまー、あかいおねえちゃんがいじめるー」


 そう言って頬ずりをしてくるルリを見て僕は絶対この子は守護まもると決意した

 ていうか赤茶髪だから赤のお姉ちゃんか


「まったく、出会ったときの凶暴さとは比べものにならん無邪気さだな」


「あ……ごめんなさい……るりだとほんのうにあまりていこうできないの」


「いや、私もそんな意図はなくだな…」


 しゅんとするルリ相手にあわあわしながら言い訳をするモカさんがとても面白く、思わず笑ってしまう


「うふふ」「あはは」


 マナさんと笑うタイミングが被った


「あら、私たち仲良しね」


「あはは、そうですね」


 ちょっと空気が和んだ


***


 部屋を少し片付けて歩くスペースを確保した後ご飯を食べる

 時刻は水の2時32分(19:32)夕飯時にはちょうどいいくらいの時間だ

 メニューはコーンポタージュに白パンと何かの串焼き

 コンポタと白パンは日本でも食べれる、そんな馴染み深い普通の料理だった

 問題は謎の串焼き、白みがかった色の肉をソースで色付けしたような見た目に海のような磯とソースの香ばしい匂いが混ざった香り、これを口に運ぶのはそこそこ勇気が入る

 情報入れて何の肉かを理解したら食べられるか?いやこれでなんかの虫とかだったら吐き出す気がする

 隣を見ると美味しそうに串焼きを食べてるルリがいる、ルリが食べてるのに主人の僕が食べないわけにはいかない、ええいままよ!

 勢いに任せて口に入れて咀嚼する

 白身魚のような食感に和牛の脂のような甘さが合わさり、かかってるソースも上手く脂に調和し肉本体の味を何倍にも底上げさせている

 すごく美味しい!なんの肉なの?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『シーカウ』

 家畜化されている魔物の1種

 養殖は天然に比べ食感が浅く脂も薄いため安価で、屋台に多く使われている

 主に水中に生息している

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【補足、マスターの食べているシーカウの串焼きは養殖です】


 水中にいるから白身魚っぽい食感だったのか、ていうか安価な養殖でこれ?天然になったらどうなっちゃうの


「ごしゅじんさま、これ!これおいしいです!」


 目をキラキラさせながらシーカウの串焼きを口いっぱいに頬張るルリ

 詰め込みすぎてリスみたいになってる


「そうだね、本当に美味しいね、でもあんまり口いっぱいに入れたらだめだよ」


 なるべく責めないように優しく教える


「はい、わかりました」


 口に入ってた肉を飲み込んで笑顔で答えるルリの口についたソースを手拭きでぬぐう


「はい、良い子にはご褒美!」


 そう言って僕の串焼きを2本あげるとさらに目をキラキラさせて笑顔になる


「ありがとございます!」


 ニコニコしながら串焼きを食べるルリを見ながら僕も串焼きを食べる


「気に入ってくれたみたいでよかったわ5本で足りた?私たちの分も渡しましょうか?」


「おいマナ、私の分も勝手に含めるな」


「え〜モカちゃんのケチ!いいじゃないあの笑顔が見れるんだから」


「ま、まぁ…たしかにかわいいとは思うが……」


 ここにいる全員ルリには敵わないな、戦闘的な意味じゃなくて精神的な意味で

 そんなかわいさで僕らを支配するお姫様はというと、相変わらずニコニコして串焼きを食べている



***


「美味しかったね」


「はい、とてもおいしかったです、しあわせです」


 ルリを膝枕しながら食休みをする、食器とかの片付けを手伝おうとしたけど


「良いのよ手伝わなくても、だって2人はお客様だもの」


 と言って断られてしまった、ちなみにモカさんはナチュラルに手伝わされてる


「まったく、なぜ私だけなのだ……」


 そう文句を言いながらも慣れた手つきで食器の片付けをするモカさん

 ふと、今どれくらいモカさんに信頼されてるのか気になった

 生命体鑑別でモカさんを見てみる


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『モカ・ホイップ』

年齢:21

状態:健康

信頼度:83/100 C

備考:奴隷への扱いを見て信頼に値すると認識した

所持加護:閲覧には本人の許可が必要

生い立ち:同上

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 前見たとき信頼度23とかそこらだったよね?かなり増えたな、ルリへの扱いで増えたらしい、ルリに感謝だな

 もっと甘やかすか


「ルリ〜ありがとね〜」


 ワシャワシャと頭を撫でながら伝える


「なんのことですか?」


 気持ちよさそうに目を細めながらもなんの事かわからない様子のルリ

 わかったらむしろ怖いけどね、ルリ別に心を読める系の加護を持ってるわけじゃないし


「ごしゅじんさま、ねむくなってきました」


「そっか、じゃあ歯磨きして寝ようね」


「はい……はぶらし(歯ブラシ)、どこですか?」


「歯ブラシなら洗面台の下に来客用の使い捨てがあるよ〜、自由に使ってね〜」


「ありがとうございます、使わせてもらいますね!」


 使い捨てブラシを取りにルリと洗面台へ向かう

 ちなみにルリの仕上げはお母さんじゃなくて僕です



***


 ルリは布団で一足先に夢の世界にいる

 現在時刻水の4時23分(21:23)僕はマナさんとモカさんの2人と対面して法律の話だ


「さて、結論から言っちゃうわね?ヨウスケくん、君は無罪です」


 とりあえず安心した、ルリと離れることにはならなそうだ


「良かったです」


「幻獣種が奴隷化された前例はなくてね、無いもので裁くことはできないし、特に他の罪も犯してないからヨウスケくんは真っ白な一般人よ。

ただ、奴隷番号は登録してもらうわね、そこは幻獣種とか関係ない奴隷の義務だから

ルリちゃんを奴隷じゃなく1人の女の子として扱ってる君には辛い話かもしれないけど、飲み込んでね」


「はい、しょうがないことです

ただ、奴隷番号については無知なので教えてほしいです」


 叡智さんでも人間社会の情報は完璧じゃないことがわかってる、法律のスペシャリストに聞くのが間違いないだろ


「そっか、だからそんなに平気そうなのね

わかったわ、でも1つ約束して、話を聞いても絶対に暴れたりしないでね」


「癇癪はあまり起こしたこと無いので大丈夫ですよ」


 なんでそんな約束が必要なんだろ?


「奴隷番号はね、体に焼き付けるの、基本はお腹だけと他の部位に付けることも出来るわね」


 ……焼印か、そこはもっと魔法で都合よくしてくれよ


「ヨウスケ、顔が怖いぞ」


「すみませんモカさん、耐えてください、僕も耐えるので」


「むぅ……しょうがないか」


「そうよモカちゃん、むしろあれだけ可愛がってる子を傷つけるって聞いてこれだけで済んでるなら大したものよ」


 叡智さん、他に何か方法ない?


【奴隷番号の代わりに冒険者番号を使用することができます】

【この場合焼印の必要はありません】


 なんで!?いや理由なんてどうでもいい!傷つけなくて良いんだ!


「マナさん!冒険者番号ならどうですか!?」


「どうしたの?いきなり、たしかに冒険者番号なら焼印の必要はないけど、原則奴隷は冒険者登録できないわよ?」  


 え?ルリは普通に登録してたけど…?

 ……叡智さんはうんともすんとも言わない


【情報が不足しています】


 久々に出たなそれ、まだ法律系はあまり学習できてないのかな?


【個体名マナ・オーダーとの接触により、法律の情報を少し得られました】

【しかし、サレワ基本法の内、約1.5%しか学習できていません】

【引き続き接触を行うか、マスターが法律を学んでください】


 そういえば、叡智さんは周囲の情報を自動で取得するんだっけ

 周囲に法律系のものがなければ何も取得できないってことか


「ルリはもう冒険者カード持ってますよ、ほらこれ」


 叡智さんに関する考察は置いといて、ルリの冒険者カードを取り出して見せる


「あら?本当ね、銀級以上の冒険者と面識あったの?」


「銀級とか関係あるんですか?」


「ええ、例外的に奴隷が登録を認められているのは銀級以上の冒険者が推薦する場合のみよ、本来奴隷は所持品、剣とか盾とかと同じ扱いのはずだからね」


 あのときハマルがいなかったらルリは登録できなかったのか


「ハマルという人と一緒に登録に行ったからですかね?」


「ハマル?ハマルってファスト侯爵家の?」


「はい、ギルドで偶然会って友達になりました」


「あなた人脈すごいわね……私でさえ貴族とはあまり関われないのに……」


 貴族はあんまり裁判とかしないのかな?


【貴族は基本的に裁判ではなく貴族パーティーで断罪が行われます】

【端的に言えば婚約破棄イベントみたいなものです】

【ただし、あまりにも罪が重い場合は上位の貴族を裁判官とした裁判が始まります】

【司法書士がここに呼ばれることは稀です】


 貴族には貴族の裁き方があるってことか

 ていうか前のカンブリア紀と言い今回の婚約破棄イベントと言い僕の脳内情報も見てるでしょ、別に良いけどさ……


「まぁなんにせよこれでルリちゃんを傷つけずに済むわね!

冒険者番号と奴隷番号を合併登録するのに手続きと金貨4枚が必要なんだけど大丈夫?」


 危な!残り4020しかなかった!


「はいギリギリですが大丈夫です、ありがとうございます、これで痛い思いをさせずに済むならとても嬉しいです!」


 4000リン必要ってことはもう残りが20リンしか無いけどその程度で済むなら安い安い

 でも明日何か依頼受けなきゃ


「本当に大事に思ってるのね」


「成り行きで隷属化してしまったとはいえ責任は取るべきです」


「あら、成り行きなの?どういう流れ?」

 

「マナ、こいつに聞いても加護としか言ってくれんぞ」


「あら、それは踏み込むなっていう意思表示?」


 カラカラと笑い合う2人をみてもう一度決意を固めて口を開く


「その加護の話をしたいと思います」


「良いのか?」


「はい、話すことの不安はありますが」


 ルリのこと、法律のこと、色々やってくれたのに黙ってるのはさすがに誠実じゃない

 能力はほとんどを話す、転移者ってことは言わないけどね、この世界での転移者の扱いを叡智さんは教えてくれなかったし


***


「つまり、お前の『叡智の声』で呪術を使ったり情報を得ていたりしたと」


「はい、その時に魔術等価法で魔力1年分使ったので今は魔力が使えませんが」


「あのねヨウスケくん、平然と言うけど魔術等価法ってかなり難しい技術だからね?それを簡単に代行させられるだけでかなり強いからね?」


「そうなんですね」


 難しい技術とは聞いていたけどそこまでなんだ、『叡智の声』ってかなりの上位加護なんだな


「まぁなんだ、私はいろいろ納得がいったぞ」


「すみません、誤魔化してて」


「良い、私もそこまで強い加護なら隠すだろうからな。

私も加護を話すか?それとも叡智に聞くか?許可は出すぞ?」


「話してくれるなら直接聞きたいです」


「わかった、私のは『天弓の加護』といってだな、矢を弓を使わずに射ることができる他、魔力消費で様々な追加効果を付与することもできる能力でな……」


 まだまだ話は終わらなそうだ



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