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他人任せ異世界論  作者: 百足ムカデ
王都編
24/30

第24話 差別2

 食事を終えた僕たちはハマルの案内で服屋へと向かう


「こっちだ、ここを右に回れば看板が見えてくるはずだ」


「わかった、ルリは大丈夫?疲れてない?」


「だいじょぶ、です」


「疲れたらいつでも言うんだよ」


「はい」


 ルリの服が一番重要度高いけど、正直、僕の服も用意しなきゃなんだよね

 異世界来てから服変えてなくて学生服のままだから

 ちなみに学ランは今ルリが着てる、ボロ布しか着てなかったし、ルリがそんな服装は許されないからね、世界が許しても僕が許さん

 予算内で2人分の服を買うのはもう諦めてるから、ルリの分だけ買えればそれでいい


「早く動け!ウスノロが!」


 いきなり怒鳴り声が聞こえてびっくりした、ルリも尻尾を逆立てて警戒してる


「チッ、悪いなヨースケ、嬢ちゃん。近道のつもりがクソな差別現場に来ちまった」


「大丈夫だけど、早くここから離れよう」


「そうだな、本当にすまん」


 そう言って謝りながら走る僕とハマル、ルリは僕が抱っこして運んでいる

 離れるときチラリと見た獣人は、ルリよりも耳と尻尾が小さい茶髪茶眼の犬系だった


「ここまで来りゃ大丈夫だろ」


 大通りに出てとりあえず嘆息する

 ……太腿の傷、完治してたと思ったらまだ少し残ってたみたいでちょっと痒みが出てきた

 ここで掻いたらまた血が出てくるし我慢だ


「ごしゅじんさま、けがいたい?」


「ううん、大丈夫だよ」


 ルリの頭を撫でながら勘が鋭いことに驚く、確か暴走中の記憶ってないんだよな?


【本能に飲まれている際は夢を見ている感覚です】

【故に、理性が戻ったときどこを覚えているかはマチマチです】

【個体名「」はマスターとの戦闘を一切覚えていません】


 …?名前つけたよな?

 ルリに生命体鑑別をする、前に無許可では色々見れなくしたし問題ないはず


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『』

年齢:8

状態:隷属

信頼度:56/100 C

備考:命令をしないことに懐疑的

所持加護:閲覧には奴隷の許可が必要な設定、一存で閲覧可能

生い立ち:同上

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 よしよし、この懐疑的ってのは「怪しい」って感じじゃなくて「なんでだろう?」って感じだからいい疑いの目だ

 てのは置いといて、なんで名前ないんだ?


【名前は、あとから付ける場合本人がそれを名前だと認識した際に付けられます】

【現状個体名「」は「ルリ」という名称を「お前」や「嬢ちゃん」などといった人称代名詞であると考えています】


 マジか、ちょっと笑ってたから気に入ってると思ってたんだけど……

 ま、まぁ後々認識してくれるでしょ


「うし、今度は何事もなく着いたな」


「ここが服屋か」


 看板には「イノセント」って書いてある

 ……純粋な(innocent)…?まぁ店の名前なんてそんな気にするもんじゃないでしょ


「なにしてんだ?入るぞ?」


「あぁごめんごめん、今行くよ、行こうルリ」


「はい、ごしゅじんさま」


 ドアを開けて中に入る


「……いらっしゃい」 

 

 ぶっきらぼうな対応をしてくるスキンヘッドで無精髭を生やしたおっさん、多分あれが店員だけど……なんか嫌な感じ


「お、この服なんか嬢ちゃんに似合うんじゃねぇか?」


 店員の態度はどこ吹く風でルリに合う服を選んでる

 ハマルの選んだ服は黒のワンピース


「どうだ?黒は嬢ちゃんの髪や猫耳と同じで、眼の碧色も引き立つし完璧だろ?」


 ハマルのファッションセンスが良すぎて嫉妬しそう


「ルリ、ちょっと着てみる?」


「いいんですか?」


「うん、全然いいよ」


「すみません、試着室とかってありますか?」


「はぁ……とっとと買ってさっさと帰って欲しいんだけどな、店内が獣臭くてたまんねぇ」


 は?


「おいおっさん、てめぇ何考えてんだ?」


「なんだ?幻獣種が獣なんて常識だろ?お前こそ何考えてんだ?」


 ハマルが怒ってくれる、店員はハマルに任せて僕はルリのフォローをしよう

 そう思ってルリの方を見たらルリの影?がグニャグニャ伸び縮みして暴れてる


「ルリ!大丈夫?」


「こわい…こわい…です…」


 そう言って震えてる体を抱きかかえて口論をしてるハマルに向かう


「ハマル出よう、こんなところに1秒も長く居られない」


 こんな店員の近くにいさせたくないのもそうだけどルリの影がおかしい


「同感だヨースケ、じゃあなハゲ野郎!」


「ハゲてないわ!とっととペット連れて帰れクソガキども!」


「ペットなんていねぇよ!」


 久しぶりに怒鳴った


***


 店から出てすぐにハマルが勢いよく頭を下げてきた


「すまん!ヨースケ、嬢ちゃん!俺がハンスに獣人の娘を連れてることを言い忘れてたせいで差別する店が選ばれちまった!」


「ハマルのせいじゃないよ、ただ2度と無いようにしてね」


「本気で取り組む、本当にすまなかった!」


 自分のせいじゃないのに心から謝罪してるのが伝わってくる、僕が13の頃はそんなことできなかった、ハマルは凄いな


「でもこれからどうしようね」


「だな……」


「あら、ハマル?こんなところで何をしているの?」


「おお!シャル!良い所に」


「シャル?」


「まちがえた、アルレシャだ」


「あら、お友達かしら?はじめまして、私はアルレシャ・ファストと言います、そこの粗暴な人の主人をやっています!以後お見知り置きを」


「粗暴は余計だな」


 この人があのファスト侯爵家か不敬罪とか適応させるような人には見えないけど一応礼儀正しく行こう


「はじめまして、私は羊介と言います、こちらはルリ、え〜と……」


 ヤバい、ルリとの関係どう説明すればいいかわからん


「なんだよ私ってwwwお前一人称僕だったろwww」


 ハマルが大爆笑してるけどそんな面白かったか?


「うふふ、そんなに緊張しなくてもいいですよ、それでルリちゃんは貴方とどんな関係なのですか?」


 もう妹みたいなもので良いか


「ま、まぁ妹みたいな感じですね、はい……」


「まだ言ってやがるwww」


「ハマル、そんなに笑ったら失礼ですよ

ごめんなさいね、ルリちゃん騒がしくて」


「だいじょうぶ、です」


「それで、ヨウスケくん?だっけ、ごめんなさいね発音が難しくて」


「いえいえ!呼びやすいように呼んでください!」


「良いの?じゃあヨウくんって呼ばせてもらいますね!」


 大貴族にしては距離感近い良く言えばフレンドリーな人だな


「シャル、話してる途中悪いがルリの服を買いてぇんだ、それでおすすめの店があれば教えてくれ、差別のない店だ」


「わかりました、女の子は可愛く着飾る義務がありますからね!任せてください!ルリちゃん!ヨウくん!」


「お手柔らかに……金欠なので……」


「私が全部払います!なのでルリちゃんを着せ替えさせる許可をください!」


「ルリはそれでいい?」


「いい、です」


「シャル、嬢ちゃんが勢いにビビってんぞ、抑えろ」


「は!すみません!かわいい女の子を見るとつい……」


 アルレシャさんが暴走するようなら止めなくては……貴族相手に怖いけどルリのためだ、やるしかない

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