第21話 王都
あれから特にアクシデントもなく王都に到着した
強いて言うなら太ももの傷が治るまで揺れに響いてきつかったくらいかな
しかし、馬車を降りて王都を囲んでいる壁を見て転びそうになる、あれどう見てもコンクリートなんですけど!?
叡智さんあれは?
【コクリーマイマイの殻、砂、砂利を1:3:6の割合で混ぜた物です】
【一般に『コクリート』と呼ばれています】
【また、サレワ王都を囲んでいるコクリートには鉄筋が埋め込まれています】
鉄筋コンクリートならぬ鉄筋コクリート!?
技術エグくない?普通異世界って地球に比べて技術力が低くて魔法で補う感じじゃない!?
ナーロッパと現代技術のミックスですか!?
驚愕しつつも門番さんに仮の身分証を発行してもらい、門をくぐる
こんな簡単に発行してくれるもんなの?
【指名手配犯の個人魔力は保存されており、身分を偽装していても結界は反応します】
【故に素性が分からないだけなら割と簡単に通れます】
情報がなくても一旦街に入れて怪しいかどうか判断するってことか
よほど治安維持に自信があるんだろうな
街並みはまんまナーロッパって感じだけど道も綺麗に整備されてるし、王都と呼ぶにふさわしい雰囲気だ
【警告、致死率95.8%
即刻後方へ退避してください】
!?!?!?一も二もなく後ろへ飛び退く
飛んだ数秒後、風切り音とエンジン音が聞こえ、遅れて強い風圧を感じる
さっきまで乗ってた馬車のような見た目をしているが、馬がいない
いや、馬の代わりに運転席のようなものがあった、車か?
「ヨウスケ!大丈夫か!?」
「はい、なんとか……」
「まったく、無茶な運転だな」
「あれは何ですか…?」
「魔導車と呼ばれる発明品だな、まだ試作品しかできてないが、恐らくコネか金かで研究者から借りてきたんだろうな」
「悪徳貴族ってやつですか」
「悪徳かはともかく貴族であることは間違いないな、一般販売の予定はまだないはずだ」
にしてもコンクリートの次は自動車か……
もう認めるしかないな、ここは化学力も結構あると
『高度に発展した化学は魔法と区別がつかない』っていうけど、逆に言えば『魔法は高度に発展した化学と区別がつかない』ってことでもあるんだ、魔法を利用した化学で地球以上に技術があるのかもしれない
「ごしゅじんさま、けがない?」
「うん、平気だよ心配してくれてありがとね」
ルリの頭を撫でると気持ちよさそうに目を細める。かわいい。
「モカさん、このあとはどう動きますか?」
「とりあえずお前らは冒険者登録をして身分証を作ってこい、私は知り合いの司法書士に話を聞いてくる」
「冒険者ギルドはそこに見える時計台と併設されている」
「わかりました、行こうルリ」
「はい、わかりました」
***
冒険者ギルドも近代的な感じを予想していたけどここはラノベでよく見る酒場併設のギルドだった
正直これ以上近代的なもの見せられてもキャパオーバーだったから助かる
やっぱ異世界と言えばこれよ
「よっ兄ちゃん!こんな入り口でなにやってんだ?」
「うぇあぁ!?」
「なんだよその声はw」
いきなり肩を組まれてめっちゃ驚いた
組んできた当の本人は僕の驚いた声で笑ってる
白い長髪をポニーテールにしてる男の子だ、大体12〜13くらい?
誰だこの子、テンプレ通りの絡んでくる冒険者か?
「あなた誰ですか?」
「人に名前を聞く時は自分から名乗るのがマナーだぜって説教しちゃったりしてな
俺はハマル、シャr……アルレシャの護衛兼世話係だ」
「シャ?」
「言い間違いだ、気にすんな、んでお前は?」
「僕は羊介、田舎出身の一般人です
この子はルリ、妹みたいなものです」
「いもうと……」
「獣人と兄妹でお前だけ純人間ってことぁあるかよwww」
そう言いながら大爆笑してくる
たしかにそりゃそうだけどどんだけ笑うんだよ
「つかそいつ首輪つけてっし奴隷だろ?仮に妹なら妹を奴隷にするってどんな趣味だよwww」
……ちょっと恥ずかしくなってきたんだけど
そんなに笑うことないでしょ……
「まぁ、獣人は差別されてっし慎重になる気持ちもわかるがよ、慎重さの方向性間違えてんじゃねぇか?」
「ま、まぁ…ちょっと間違えちゃったかな……」
「だが、俺は気に入ったぜヨースケ、登録の手伝いとか説明とかしてやるよ!」
ありがたい、叡智さんに聞くだけじゃわからないローカル情報が聞けるかもしれない、『獣人≠幻獣種と思われてる』みたいな事がまだあるかもしれないし現地人の話は重要だ
「ありがとうございます」
「おう、感謝は良いがその口調はやめとけ、見くびられっぞ」
なるほど、下っ端に見られるとかかな
「わかった、これで良いか?」
「おう、頭良いな」
「この程度で?」
「お前この一瞬で理由も理解しただろ、だからだよ」
じゃああれで正解だったんだな
「よっミレーヌ、登録希望の新人がいるぜ」
「では、こちらにお並びくださいお一人ずつご案内します」
ミレーヌさん、呼び捨てされても一切反応せずに淡々と業務をこなしてる
「よろしくお願いします」
「では手続きを開始します、こちらの球体に魔力を流してください」
「はい」
……魔力流すってどうするんだ?
前に呪術使ったときどうしてたっけ?魔力使ったはずだが……
覚えてない!!!なんで!!
【魔術等価法により主は約1年間、魔力が使用不可になっております】
魔術等価法?は知らないけどそんなこと言ってた覚えがある!
え?僕身分証作れないの!?
【血液を用いる事で魔力の代用が可能です】
【ただし痛いです】
端的に痛いこと教えてくるのエグすぎて草
まぁそれ以外方法ないならそっちにするしかないか……
「僕魔力が使えなくて……別の方法でお願いします」
「ではこちらの魔導書に血液を落としてください、針はこちらです」
「ありがとうございます」
人差し指の腹を針で刺したら、血がドバッと出てくる
……だしすぎたかも
「やりすぎですね、包帯巻きますので手を出してください」
「はい…ご迷惑おかけします」
「お気になさらず」
慣れた手つきで包帯を巻いてくれる、結構あることなのか?
「これで登録は終わりです、こちらがギルドカードとなります再発行には1000リンかかりますので紛失なさらぬようお気をつけください、では次はそちらの獣人です」
ルリを持ち上げてカウンター上の球体に手が届くようにする
「ではこちらに魔力を流してください」
「ルリ、できる?」
「はい、できます」
透明だった球体の中に青い渦模様が出来る紅茶にミルクを入れたときみたいで綺麗だ
「発行が完了しました、これがギルドカードです、無くさぬよう気をつけてください」
そう言って僕に渡してくる職員さん
「うし、これで完了だな、そっちの酒場でなんか食いながら話そうぜ、奢っから安心しろよ」
奢ってくれるのは嬉しいけど職員さんの対応はちょっとモヤるな……
「色々話したいことあんだよ注意事項とかな」




