第12話 呪法見習い
叡智さん、モカさんと一緒に戦ったとして勝てる確率は?
【勝利条件が幻獣種を殺すことなら、約0.28%です
また、主が戦わない場合約0.4%です】
僕いない方が勝率高いんかい!
そりゃそうだろうけど改めて確認すると凹むよ……
あの子を気絶、もしくは戦闘不能状態にするのを勝利条件にしたら?
【約2.6%、主がいない場合0%です】
【補足として、個体名モカ・ホイップは殺すつもりで戦闘を行っています】
2.6%で気絶させられるのは割り込んだのか…?
確率の高い方法はないの?
【両者が逃走した場合、成功確率は約53.2%です】
【幻獣種を隷属させる場合、成功確率は約99.9%です】
一番確率高いのが一番意味わかんないものなんですけど!?
【奴隷状態の生命体と出会ったことで隷属呪法の仕様ガイドは揃っています】
【情報の挿入と、多少の訓練で使用そのものは可能です】
【ただし、ここで使用した場合向こう1年は魔力を用いたあらゆる行為が不能になります】
【また、上記の挿入と訓練は約2分30秒で完了します】
怒涛の説明ありがとう!
人を隷属させるって嫌だけど全員が生き残るにはこれが一番確率高いし……
何も命令とかしなければ問題無いと思おう!!
呪法挿入&訓練お願いします!!
【呪法仕様書挿入のため、戦闘演算を終了します】
視界が元に戻って獣っ子の元の色が見える
黒髪と青色の瞳、猫耳だし黒猫なのかな
そう考えつつモカさんに時間稼ぎを頼む
「モカさん!2分半ほど時間を稼いでください!その後は僕がなんとかします!」
「本気か!?幻獣種だぞ!」
「幻獣だろうが拳銃だろうが問題ないです!」
「けんじゅうとはなんだ!」
そんな事を言いつつも攻めっ気はなくなったし時間稼ぎはしてくれるみたいだ
どっと頭に情報が入ってきた
う〜ん…?魂を縛る…とか…?
そんな感じの情報が次々と入ってくる
【挿入を終了しました】
【続いて訓練を開始します】
【訓練のため魔力の情報を流します】
熱っつ!!!身体がいきなり熱くなってきた!!
…これが魔力…!とかそれっぽい感想を思ってたら本当にそれっぽい感覚が湧いてきた
なんとなくだけど“理解”した気がする、頭に情報を無理矢理入れたからか、隷属呪法とやらも昔から知ってたみたいに使える
「そろそろ時間だ!私は退くぞ!」
「モカさん!ありがとう!」
手のひらを獣っ子に向けて呪法を放つ
「ぎゃおぉぉぉぉ!!!」
こっちに鋭い爪を向けながら飛び込んでくる獣っ子に紫黒の鎖が巻き付いていく
飛び込んできた勢いを完全に失い、「ぽすっ」と可愛らしい音を立てて地面に落ちる
【報告、呪法が正常に終了しました】
【幻獣種は主の奴隷となりました】
こう、改めて言われると心に来るものがあるな…
そういえば獣っ子は?
恐る恐る近寄って確認に行く
……すぅすぅと可愛らしい寝息を立ててる
とりあえずは安心かな…
「終わった…のか…?」
疑問混じりの確認、当たり前だね
「はい、とりあえずは」
「そうか…ところで、あれは奴隷商が使う呪法に見えたが、それで相違ないか?」
「あ〜…」
加護パワーで誤魔化し効くレベルか?これ
「僕の加護…ってことで納得できませんか…?」
獣っ子を抱き抱えつつダメ元で聞いてみる
「う〜む…………」
あ、めっちゃ悩んでるこの隙に幻獣種について聞いちゃお
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『幻獣種』
獣人の中でも獣因子が多く、物理、魔法両方の力が強い種族
力は強いが理性が薄く、意図の有無に関わらず周囲を傷つけるため、群にいることが少ない
見た目麗しい者が多く強い力も持っているため人間に良く狙われている
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妙に本能的だったのはそういう理由か
これ、起きたらまた暴走したりする?
【本能による暴走状態よりも隷属状態が優先されるため主人が生存している限り暴走することはありません】
【しかし、ストレスが溜まりやすくなる傾向にあるので適度に発散させることをおすすめします】
とりあえず暴走のリスクは無しか、良かった
「色々考えてはみたが、騎士として犯罪行為にあたる可能性は見逃せない」
おっと、モカさんを放置してたの忘れてた
にしても犯罪行為か…
「やっぱり奴隷にするのは駄目でしたか?」
「いや、はっきり言ってそこは問題ないのだ忌まわしい事にこの国の法律上、獣人を隷属化させるのは違法じゃないからな」
う〜んほぼ確実に差別案件
「差別ですね?」
「そうだ、この国では獣人は人ではなく動物の一種だと揶揄されている、もちろん私はそうは思わんがな」
どこも人間は同じか
「どこらへんが準犯罪に?」
「至極単純で、呪法の行使だ」
免許が何かがいるのかな?
「無免許行使ってことですか?」
「いや、幻獣種に使ったことだ」
そこ!?
「獣人ならともかくとして、幻獣種の隷属化は行われたことがないからな」
「無罪になる確率のほうが高いが、あいにくそれを理由に見逃せるほど柔らかい頭をしてなくてな」
「わかりました……この子はどうしますか?」
「お前が主人だろ、お前が決めろ」
う〜んド正論
「ではとりあえず帰還しよう詳しい話は私の家で行うとしようか」
いわゆる「詳しい話は署で聞くからね」ってやつだ
カツ丼は出るかな、実際は違法らしいけどねあれ
獣っ子を抱っこしながら帰路につく




