第11話 はじめての
線が出てそこから逃げる
何度も繰り返してるとさすがに相手も学習して、フェイントをしてきたり爪や牙を使ってくるけどそれも込みで、教えてくれるから簡単に避けれる
ただ、あくまで教えてくれるだけで身体を動かすのは自分だから疲れてきた
戦闘演算でも攻撃のタイミングとかは教えてくれないっぽいし攻撃するにも自分で考えないと
チラリとモカさんの方を見ると苦戦とまではいかなくとも、ウルフォニイの魔法で上手く攻撃をいなされてる
負けることはなくともすぐにこっちには来れなさそうだ
僕がウルフェイクと戦わないと駄目か
さっきまでみたいに避けるだけじゃなくて、攻撃もする戦い
【攻撃の意思を確認、弱点部位を強調表示します】
相手の目と口内が赤く光る
そして、今まで赤色に光っていた身体が青く光り始める
ありがたい、タイミングはともかくどこを攻めれば良いかはとてもわかりやすくなった
ナイフを構えて相手をよく見る
相手も今までと違う雰囲気を感じたのか構え直して睨んでくる
互いに見合って動かない
いや、少しづつ近づいている
1秒がとても長い時間に感じられる、僕の思考以外全てがスローモーションにかかったみたいだ
先に動いたのはウルフェイクだった
口を大きく開けて牙を剥き噛み付いてくる
僕はそこ目掛けてナイフを強く突き出した
「グゥゥゥ……」
……僕の勝ちだ
生暖かい返り血と獣臭さが命を奪ったことを実感させる
「おや?もう倒してたのだな、怪我はないか?」
「はい、なんとか無傷です」
倒せた理由聞かれたらどうしよう…
『叡智の声』ってこの世界的にどの分類なんだ…?
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『加護』
魔力を用いない能力
一般に才能と呼ばれる先天性の加護と努力で誰でも身につく可能性のある後天性の加護に別れる
基本的に他者の加護は踏み込まないことがマナーとされる
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【補足、叡智の声も加護の一種です】
これだ!「加護のおかげ」って言っておけばある程度は誤魔化せる!
「戦闘経験がないと言っていたが無傷で倒せるとは、訓練はしていたのか?」
「いえ、ほとんど加護のおかげですよ」
「なるほどな、そうだ話は変わるが矢を数本渡してくれないか?」
「わかりました」
矢は確かあのカバンに入ってたよな
「そういえば弓はいつ使ってたんですか?」
「弓は使ってないぞ、まぁ私の加護だな」
「なるほど、わかりました」
踏み込まないのがマナーっと
そんな事を考えながら荷物から矢を取り渡そうとした時、モカさんの右半身に赤く光る重なった弧線が見えた
次の瞬間、僕は無意識に突進しモカさんを範囲外に押し出していた
「おい、何を…!」
「あああああああ!!」
痛い痛い痛い!
左足を見ると太腿の一部が抉れてた!
【警告、致死率23%
至急、止血を行ってください
止血の手順は……】
叡智が何か言っているけど痛すぎて何も理解できない!
「貴様、何者だ!」
「ぐるるるる……」
犯人に素性を問うモカさん、そして聞こえてくる女の子の唸り声
未だ激痛に苛まれているが、少し楽になってきた、と思う
病は気からとも言うし楽になったと思おう
【即刻、止血を行ってください】
そうだ、致死率がどうとか言ってた気がする
手順は?
【最速の止血方法は回復薬を利用することです、患部に掛けてください】
回復薬回復薬…!
緊急事態だし勝手に使わせてもらいます!
瓶に入った薄緑色の液体を抉れていた太腿に付ける
すぐに痛みが引いて、かかった薬が固まってかさぶたみたいになった
フラフラするしまだちょっと痛むけどとりあえず立ち上がれるくらいになった
後ろにいたモカさんの方を向く
「なぜこんなところに幻獣種が…!それに主無しとは!」
「ぐぉぉぉぉ!」
モカさんと戦っているのは恐らく7〜8歳くらいの女の子
髪や目の色は戦闘演算の影響でよくわからないけど耳がある、獣の!
いわゆる獣人ってやつか?でも本能的すぎるよ、獣じゃんどちらかというと
それに知らない単語がゾロゾロと出てきた
とりあえずこの場を収めないと!




