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第6話「承・18番目の守護神」

 道中――3人は登山をしていた。第三休憩所へ到着した、ここを拠点にしよう。

「さて、ここに大きな街と、スキルビルダーズの拠点を作るわけだけど。街の名前とギルドの拠点名を決めないとね~」

 サキはおおらかにビルドと、途中からひょっこり現れて一緒に歩いているデストロイに今後の方針を言う。

「ラスナリオとかどうかな?」

「キリトタウン♀」

「それは絶対に違うと思うな……」

 サキは軽くツッコミを入れる、影響を受けすぎだ……。

 ビルドからしたら第一の街を第一拠点としたとしても、第二から第五までをすっ飛ばして第六の街の眼の前に……眼上に、初心者の拠点を作ろうとしてるのだ、お門違いにも程がある。常識外れと言うか、順序を知らないと言うか、身の丈を知れと言うか何と言うか……。とにかくそういう感じだ。

「街の名前はサキっちが決めていいよ。で、真ん中に位置するギルド拠点はスキルビルダーズとして決める」

「私もスキルビルダーズですか?♀」

 もう十分に美味しいところを食って活躍してくれたから仲間でいいだろ、デストロイは……とビルドは思う。

 女子二人、サキとデストロイは考える……。

「中間拠点であんま大層な名前つけてもなあ~。憩いの洞窟住居『スヤリ』とか」

「ビルダーズだから工房みたいな拠点がいいわね~♀ 『ビルド工房』とか!」

 などと、口々に話している内に、ソレ(・・)は待っていた……。


 第三休憩所の中央地点に、銀鎧の男は居た――。

システムコール(・・・・・・・)! 大砲型全属性連続射撃! テラバースト(・・・・・・・)!」

「な!? システムサーバーに直接オーダーをかけた!?」

 サキは驚きを隠せない、ゲームマスターや運営にしかその言葉は唱えられないからだ。8色……否、18色の色取り取りの属性攻撃が、ギルド『スキルビルダーズ』御一行様に向けて直撃する。……が。サキには通用しない。

「エボリューション・極彩!」

 18色に対して、数百色の波動でバリアを形成して、弱者・ビルドとデストロイを守った。何故こんな事を? とその騎士にサキが問いかけようとしたら。

「我が名は〈オーディン・ステラ(・・・)・エイティーン〉! 【夢幻郷(むげんきょう)】を守護する最終防衛ラインと知り給え!」

 18色の色は主の元へ戻って行った(・・・・・・)。その意味をサキだけが判る、ずばり、逆撃解析をさせないためだろう。十分すぎるくらいの手練れだった。

 いきなり名乗りを上げられたのでビルドは身構える、いかにも上級騎士という感じの出で立ちである。サキとビルドとデストロイは身構える。

「夢幻郷って黄金郷(おうごんきょう)とか幻想郷(げんそうきょう)とか新世界(しんせかい)とか言われてるあの郷?」

「然り! そして、緊急時の最終避難所でもある! この城塞は鉄壁である! 故に、我が守護神がお守りしているのである! ここは第ニ断層山地! ここに来ている時点で只者ではあるまい!」

 ビルドとデストロイはよくわからない。

「どういうことだ?」

「なんだぁ~? てめぇ~♀」

 オーディン・ステラ・エイティーンはサキにだけ敬意を払い、ビギナー2人には軽蔑に扱い言う。

「ここに来たということは休憩したいということだろう? ゆっくり休むといい、だが、お前たち2人は認めていない! 認められたければ我に力を示せ!」

 サキは剣を下ろして、オーディンに対して一礼してから休憩所へ入った。

「……、だってさ。んじゃ私は先に休ませて貰うから、あんた達はゆっくりボス戦を楽しみなさい」

 ビルド・デストロイは臨戦態勢に入り、オーディンは剣を前顔に構え、誇り高く、雄々しく言う……。

「おいおい休ませろよ!」

「ち、前回のは前座ってことかよ!?♀」

「覚悟しろ! 罪も翼も誇りも誓いも約束も責任も命も何もかも持っていない半端者に! 負ける道理は何もない!」

 ドン! という音と共に地面が大花火の時の地鳴りのように揺れた。

《ボス戦、守護神オーディン・ステラ・エイティーンとの戦闘に入りました!》


 本気でやばすぎる輝かしいオーケストラ風のBGMが鳴り響く。銀鎧の色彩が、極彩色の鎧と両翼へと姿を変える。さっきはのは本気じゃ無かったのだろう。

 負けイベントかもしれない、そう思ったビルドだったが、純粋に「こいつにだけは負けたくない!」という強い想いも本能的に感じた。

「ビルド♀ こいつ……!」

「あぁ、実力は本物(・・)だろうな……!」

 ――だからって。

「俺達は第三陣先頭! 過去の遺産に負けてられるかよ――!」

「虚勢だけでは勝てぬぞ! 未熟者のヒヨッ子め! この身に背負った18番の誇り! ……見せてやる!」

 3人組の戦闘をお菓子に、2人組の第二陣、サブマスターサキをゲームマスターヒメは休憩と実況と解説に入った。

「感じ的には老けた戦空型の騎士が、AIのアバターって感じかしら?」

「じゃな~、戦空はあんなに年季が入ってないじゃろ雄々しさは似てるが……」

「AIっていうか魂がデータ化してるだけのただの人間って認識で合ってる?」

「うん、その認識で合ってるのじゃ」

 緊張感の有るバトル中のお茶菓子は、最高に美味しかった。

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