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訓練

1日目


「まずは基礎体力だね。走ろうか。」

「シンプルすぎん?」

「タナトスに来てから君の成長スピードは地球にいた頃とは比べものにならないものになってるはずだ。すぐ伸びるし、その若干だらしない体もすぐ引き締まるよ。それに何より基礎は大事だ。ほら黙って走って!とりあえずグラウンド30周!!」

「とりあえず」


エリスさんが木刀を振り上げ出したので、俺は黙って走ることにした。


ジョギング感覚でいいだろと思ってたら、エリスさんが爆速で迫ってきてお尻を叩いてくる。


「全速力」

「はい」


全力じゃないとだめらしい


俺は死にかけた。


終わったら回復魔法かけられてまた30周走らされた。


死ぬ


2日目


「筋肉痛がやばいっす」

「ok今回復魔法かけるね」

「休みは」

「無い」

「死ぬ」

「今日から各種筋トレも始めるから。」

「死ぬ」

「死ぬ前に回復魔法かけてあげるから大丈夫」

「うっす」


昨日と同じランニングメニューに、腕立てと腹筋が追加された


死ぬ


3日目



「今日からダンジョンに潜ります。」

「うす」


俺は抵抗するのをやめた。


「怠惰のダンジョンの一層はスライム。素手で100匹殺してきなさい」

「死ぬ」

「側で見てるから大丈夫」


マジでキツい、死ぬ



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


15日目


あれから、大雑把なナイフ術、体術、槍術を叩き込まれた。



今の俺のステータスはこんなかんじだ。


ーーーーーーーーーーーーーーー

田中春樹

種族:人間

レベル13

ユニークスキル:無し

スキル:ナイフ術(初級)

    体術(初級)

    槍術(初級)

ーーーーーーーーーーーーーーー


一応剣も試したのだが、


「いやー君は絶望的に剣の才能がないね、せっかく剣聖を師匠に持ってるのにものすごくもったいないね」


だそうだ。


…いいもん。俺はナイフとかでチクチク攻撃するほうが好きだもん。

ラノベの主人公みたいに剣で無双とか憧れてないもん。


怠惰の迷宮は15層まで攻略した。エリス監修の元でだが。


今の俺のレベルは13だが、もう並の兵士では俺に敵わない。

勇者がどれだけチートな存在なのかを認識させられた。


それくらい強くなった今の俺でも、エリスには全く敵わない。

模擬戦をやっても、武器を当てることすらできない。

体術を使おうにも、触れたと思ったらその力を利用して逆に吹き飛ばされている。

強すぎますエリス様。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

二ヶ月後


ーーーーーーーーーーーーーーー

田中春樹

種族:人間

レベル20

ユニークスキル:無し

スキル:ナイフ術(中級)

    体術(中級)

    槍術(中級)   

    鳥瞰透視

ーーーーーーーーーーーーーーー



今や俺の肉体は引き締まり、機能的な美を備えている。


迷宮も26層まで攻略し、武芸も上達した。


「鳥瞰透視」という新しいスキルも獲得した。使ってみたら、千里眼のようなものだった。迷宮のマッピングに重宝している。

決してエロいことはしていない。断じて。




他の勇者が50層以降を攻略できないような迷宮を、地獄のような訓練を続けているとはいえ、何故自分がこんなに早く攻略できているのか不思議だったが、どうやら迷宮から与えられる恩寵の問題らしい。


他の勇者はそれぞれ自分に合った迷宮を80層程度までなら攻略できるらしい。それは、勇者が迷宮に「愛される」から、らしい。勇者にユニークスキルという祝福を与え、そして迷宮内でバフを与える。

モンスターを贄のように勇者に与え、勇者を強くするのだそうだ。


しかし、怠惰のダンジョンだけは何者も愛さない。普通のスキルを授けることはあるが、決してユニークスキルを授けない。バフを授けることもない。

よって勇者が潜っても深い階層まで攻略できないし、そもそも潜ろうとしない。


だから、俺の攻略が速いというよりはそもそも本気で攻略されていないという面もあるようだ。自惚れてはいけない。


だがそれでも、


「君も随分強くなったねぇ、師匠として鼻が高いよ」


エリスだけはこう言ってくれる。それだけで報われた気になる。


このままいけば、きっと50階層だって攻略できる。俺はそう確信していた。




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