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世界が変わるのは俺のせいじゃない!  作者: ウカブ
第一章 【 誘拐と笑顔 】
3/21

第一章 3 『笑顔って』


 .........。

 .........。




 自分の家の天井か。




 考えるのがめんどくさい。もう少しだけ寝ちゃおうかな。




「起きた!!」

「ぅうわぁぁっ!?」



 視界の外から急に大きい声をかけられたとはいえ、ビックリしすぎだぞ自分。

 すごくニヤニヤした顔がこっちを見ている。知ってる顔だ。



「昨日はごめんね。お兄ちゃん!」

「は......!?」



 俺に妹!?いや、一緒に助け出されたこの女の子は年下だったってことか!そうだな!そうだ!いきなり頭使わせるとか、つくづくこの子とは相性が悪い。



「おはよう、ロキ。ベルちゃんに思いっきり負けたみたいだけど、体は大丈夫?」

「ちょっ!?」



 やめて母さん、笑顔で言わないで。年頃の男の子の傷を抉らないで。



「ベルちゃん自分が元々どこにいたのか覚えてないらしいの。他の街でベルちゃんを探してる人がいないか、お父さんがあちこち連絡してるから、それまではうちで預かることになりました!」

「そ、そうなんだ。」

「よろしくね!」



 父さんは、ここフランジャーマの街の代表だからすぐに連絡がつくだろう。

 そういえば、誘拐されて運ばれている時に聞いた泣き声とは違うな。



「で、なんでお兄ちゃん呼びなの?」

「たぶん私も10歳だけど、この家に後から来た身分としては下だから!」

「いや、ロキって呼べばいいじゃん!」

「反応が面白そうだったからでした!」



 うん、もう考えるのやめよう。たぶん10歳ってのもよくわかんないし。



 顔を洗って、ご飯を食べた。平和な日常にありがたみを感じる。

 そして母さんに連れられて、父さんいる役所に向かった。



「体に異常はないかい?」

「とりあえず大丈夫そう。」



 誘拐犯たちが血まみれで倒れている状況に説明がつかないこと。部屋の床にスイッチがあり、地下に繋がっていたこと。それらを街の騎士団が調査中だと教えてもらった。

 そしてあの日、同じく誘拐された女の人がいたらしく、おそらくその人が自分の前の犠牲者かもしれないらしい。なんとも言えない気持ちだ。



「それで、ロキはどうして外に出れて、ベルちゃんの牢屋の鍵を開けれたんだ?」

「.........。」

「ロキ?」



 ......あの研究って本当に全部がダメなものだったのかな。

 忘れていたけど、この力はすごい気がする。

 今は体に異常がない...調べた方がいいのかな?

 いや、脳にルーン文字が刻まれたってどう反応するかな...。



「起きたばかりで辛いことを思い出させて悪かった。」

「へ?あ、いや...ちょっと待って。」



 心配させてしまった。今ここには家族とベルだけだし......言おう!



「心配させてごめんなさい。えぇっと、大ごとにしたくないのと、自分で調べてみたいのと、色々頭の中で考えてた。驚かないで聞いて欲しいんだけど、実は......。」



 全てを話した。話した上で、


「悪運強いね!」

「母さん!これ急死に一生を得た息子の苦労話だからね!?」



 問題の自分の体。脳にルーン文字を刻むなんて聞いた事がない上、物を変化させる原理がわからない。

 父さんが今の技術について簡単に教えてくれた。



 体内のマナはそのままでは使えない。

 魔石作りとルーン文字を刻む時に使う。

 体内のマナが回復する時間は人それぞれ。

 魔石は、体外で凝華する事で作れる。

 人によって凝華する時間は違う。早い人でもそれなりに時間はかかる。

 ルーン文字は魔石と組み合わせて使う。それが魔導製品。

 つまり体内に魔石を作ってルーン文字を起動させたわけではない。



 それじゃあなんなのか。ありえなくても体内のマナを直接使ったと仮説して、今回出来たトゲの量から、一瞬でそれだけのマナを使うなんてありえるのか。

 そもそも体内のマナの量は人によるし、多い人でもきっと同じ量を出せるのか疑問だ。

 魔石作りと比較して、今考えられる技術では想像がつかない速さと量。

 現実離れした話をさらに現実離れさせただけだ。



「ロキ、この事は家族の秘密だ。異常があったら言いなさい。下手に知られると誰に連れて行かれるかわからない。」

「そうするよ。それから学園に入ったら自分で調べてみる!」



 13歳になる年になったら学園に入れる!色々勉強して自分を研究しよう!



「お兄ちゃんを研究するの楽しみ!」

「待てっ!変なこと考えるな!!」

「学園に入ったら兄の徹底研究!逃げられないように体も鍛えないと!」



 学園に入るまでは武術を習おう!平穏な学園生活が遠ざかる!!

 ベルの元の家早く見つかってくれ!!学園来なくなる可能性よ、来い頼む!!


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