第三章 3 『ヴィザルの研究成果』
「ベルは近くで魔石を昇華させたら少しは回復するんじゃないか?」
全く考えていなかった回復方法だった。精霊だからなのかはわからないが、ベルが通った時だけ、あの装置で魔石が出来た。つまりマナを纏っていたかもしれない。
「たしかに可能性はあるな!慌てて走ってきたけど、すぐ助けられたかもしれなかったのか・・・。」
「さすがシスコンって言われるだけはある慌てぶりだよな。まぁ、すぐに僕を頼ってくるのも嬉しい評価だね!」
「おいっ!まぁ、正直いつも助かってるから否定出来ないけど。と、とにかく!ヴィザルはこの魔石を持って行ってくれ!」
ロキは学園に入った時に出来た魔石を半分渡した。
「頼んだぜ相棒!俺は原因を探しに行ってくる!」
「まだ待ってくれ!ロキたちがグランガルドに行っている間、これを作ったから持っていってくれ。」
渡されたのは銃と指輪、銃と杖をしまう為のホルスターだ。
「それは魔導銃だ。まずその指輪を左手にはめてくれ。指輪が魔導銃に触れる事で銃弾を補充出来る仕組みになっていて、銃の真ん中を回転させると属性が変えられる!内容は火、雷、水、氷だ!」
「すごいな!よくこんなに簡略化したもの作れたな!」
「驚くにはまだ早い!後ろのつまみを回すと拡散と凝縮のバランスを調整できる!凝縮は範囲が狭くなる分、威力が上がって飛距離も伸びる。拡散はその逆だ。」
「おお!ってこれ、この騒ぎで使える良い武器なんじゃ?」
「残念ながら普通の人が使うと、体内のマナがほとんどなくなるから無理だね。ロキみたいに周囲のマナを使える力がないと。」
「なるほど・・・。つまり、専用武器じゃん!かっこいいな!」
これを作る為にグランガルドに行くのを断ったのか。良い相棒すぎる!
「実は作ったものはまだあるぞ!外の移動を楽する為の"風馬"だ!」
喜んだのがいけなかったのか、別の作ったものの話をし始めた。
ヴィザルは布を思いっきり引っ張り、隠していたものをロキに見せた。
人が一人立てる足場に、腰の高さにハンドルがある。魔石をハンドルの中央に入れて補充できるが、基本は自動で補充されるらしい。なぜかすでに3台もある。
ヴィザルがその機械を動かし始めると、少しだけ浮き始めた。
「すごいだろ!基本浮いていて、この通りジャンプも出来る。馬車が普通に移動する速度まで出せるから体力がない僕でも近くの探索が楽になる!問題はあんまり重くなると速度が下がるから改良は必要だと思ってたけど。」
「あぁ、それでパルの話をした時に、妙に期待の目をしていたのか。パルがいれば馬車はいらなくなるな。」
「その通り!本当に作ってよかった!」
「それにしても、ここまで作るの絶対大変だろ!」
「マナ回復薬が数日でなくなって動けなくなったけど満足だ!」
「なっ!?飲みすぎだろ・・・。」
ありがたいけど、この相棒は早死にしそうだ。
必要以上のマナ回復薬を渡すのやめようと思いながら、ロキは呆れて顔を手でおさえる。
長くなった話が終わり、ロキは再び廊下を走り始めた。ヴィザルの話では、学園の入口から小人が来ることはないようだ。つまり奥の方に進めば見つけられる可能性がある。先生も生徒も総出で進み続けているらしい。
所々に負傷しているか、体内のマナ不足で座り込んでいる先生や生徒が増えていく。先に行く為にヴィザル製のハンマーを借りていく。
「うげっ!せ、先輩!」
ベルが誘拐したもふもふ先輩と、ロキを閉じ込めた2人の先輩が座り込んでいた。
「あんた、この混乱でまたこの子誘拐しに来たの?」
「最低なやつだな。」
「俺は冤罪です!その節はベルがご迷惑おかけしました!!先輩たちだいぶ奥まで来てますね。」
「小人がようやく増えなくなってきたの。この先にいっぱいいるから休んでいたの。」
「こっちを気にせずなんか集会みたいなことしてるよ。早く逝ってこい。」
「とっとと突っ込んで逝け。」
もふもふで小声で教えてくれる先輩がかわいい。その反面、言葉がきつい先輩2人。もふもふ先輩、なんでこんな2人と関わっているんだろう?と表情に出してしまったのか、思いっきり睨まれていた。
「行ってきます!!行かせて頂きます!!」
小人たちに気づかれない程度に声を張って、ロキは先に進んだ。




