第三章 1 『マナ不足』
「引き返して王様に助け求めた方がよくないか?」
ロキは学園の外観を見てベルたちに提案した。
あちこちに円錐状で半透明の硬そうな茶色い塊が出来ていた。
扉の前にも出来ていて開けられないようになっている。
叩いても蹴っても壊れそうにない。
『地と増殖の精霊、ノースの力だ。しかし、大人しい存在のはずなのに随分派手な事をしている。』
と、空間に隠れているパルがベルに伝えて教えてくれた。精霊の力がこんなにすごいものだとは。本当に自分の手に負えるんだろうか。そんな事を考えながらロキは立ち止まっていたが、
「魔法剣・炎」
「いきます!」
ヒナタもベルも剣に火を纏わせて、茶色い塊に向けて剣をおろしている。
迷いなくすぐ壊そうとする二人にロキはこっちも規格外だと思い出す。
パキーンっと、塊が壊れたあと、少し粘着性のある液体に変わった。
「うわぁ!なんか変にくっついてくる!」
壊しても壊さなくても嫌がらせのような作りだ。
扉を開き、中に入るとあちこちに液状になったものがある。
ガラガラガラッ!
「ベルちゃん!!」
硬いものが落ちた音の後にヒナタが叫ぶ。急にベルが倒れてしまった。
隣に見たことない装置があり、大量の魔石が隣に落ちていた。
「ベル!?これは魔石を作る装置・・・なのか?でもなんで。」
「まずはベルちゃんを保健室に運びましょう!」
ヒナタの一声で、ロキは考えを止めて、ベルを抱きかかえて近く保険室に急いで駆け込んだ。
「シスコン!帰ってきたのか!」
「緊張感なくなるから今は名前で呼んでくれよ!ベルが倒れたからベッド開けてくれないか!」
保健室の中には負傷した生徒が大勢いた。
「ここ使ってくれ。ベルちゃんが倒れた事も驚きなんだが・・・。こっちは昨日から変な事が起きて、その対応に追われてみんな疲弊してるよ。」
突然小人のようなものがたくさん現れて、衝撃が加わるとあの塊になるらしい。
それに巻き込まれて負傷者が出ている上、マナ切れによる疲弊。
ヴィザルが作ったゴーレムハンマーという、先端にトゲトゲをつけてゴーレム化したもので塊は壊せるようになった。
しかし、だんだんとゴーレム化している時間が減っていて、魔石の生産が追いついていない上、小人が増えていき、原因を探そうにも進んでいないらしい。
この事件前に博士とヴィザルが作っていた、周囲のマナを吸収して魔石を作る装置を使っていたが、こちらもあまり生産されなくなってしまった。その上、体内のマナ回復も遅くなり、装置は邪魔だと入口に置かれたらしい。
「ん・・・ん?」
「ベル起きたか!調子はどうだ?」
「なんか体が重い。」
「そうか。今は無理しないでしばらく休んでてくれ。」
考えた事もなかったけど、周辺のマナ不足で動けないのか?じゃあ俺は?
中途半端な存在だから大丈夫だったのか?
ロキは心の中で推測したが、答えに確信はない。
「ヴィザルはどこにいる?」
「2B研究室だ。たぶんそこでへばってると思うよ。」
「りょーかい。ちょっと行ってくるからヒナタはベルを見ててくれ!」
「任せて!気を付けてね!」
他の生徒に、原因が精霊なんだと言っても対策出来るわけじゃない。全部ひっくるめて研究バカに相談しないとだ。




