第二章 11 『再会』
「・・・・。」
「・・・・。」
「え?え?なんで二人とも落ち着いてるの!?」
三人は街に戻ってきた。パルは目立ってしまうので空間に戻ってもらった。どうやらベルを通していつでも近くに出てこれるらしい。しかも空間でこちらの様子も見えて、ベルとは意識すれば頭の中で会話できるとか。
精霊の場所を把握する為にも、王様に一連の話をして協力してもらおうという話でまとまり、ギルドへ向かっていた。
ベルが小声で、あそこ覗いてくるね!と言って見覚えのある場所に走っていった。昨日の今日で、しかも別に期待するようなことじゃない。むしろ必要のなかったイベントだ。
その結果がこれだ。ベルがその場から動かなくなり、ロキが先に追いついて表情をなくす。そして初見だったヒナタが反応した。
「なんだよ!またにいちゃんたちかよ!しかも増えてて余計目立つじゃん!」
「なんで同じ所に隠れてるんだよ・・・。」
「同じ場所だ・か・ら!隠れてるなんて思わないという逆の発想だよ!いいから早く離れて!」
「みっけ!」
「うげっ!」
昨日と同じ、もう一人の少年が隣に立っていた。
「にいちゃんたちのせいでまた見つかっちゃったじゃないか!」
「いや、こんなに早く見つかるなら時間の問題だったろ!」
「そんなことない!ライリはここに隠れてると思わなかっただろ?」
「昨日も今日も、僕はタロー君の位置が見える所に隠れてたよ。」
「なんで鬼が近くで隠れてるの!?わかってるなら見つけてよ!!あとその名前で呼ばないで!俺の名はジャーニー・スカイ・トロピカル・アンダー・ヒューズ・マンテンだ!」
「!?」
ヒナタがタローで驚いた表情をして、ジャーニーなんたらでさらに驚いた表情に変わった。
「略してジャスト・ア・ヒューマン。ただの人間。そして太郎。そのおかしな発想は太郎先生・・・?」
「えっっ!?」
ヒナタが呆れた表情に変わり、タロー君がヒナタの顔を見たり、辺りをキョロキョロ見たりを繰り返して焦り始めた。
「ヒナタ姉ちゃん知り合い?」
「・・・たぶん前の世界の先生。ですよね?」
「ひ、人違いじゃないかな。」
「この子、昨日この世界の人間じゃない!って言ってました!」
「黄色髪のねえちゃん黙って!あっ。」
もはや言い逃れが出来ない場面になり、ロキたちはタロー君の次の言葉を待って、沈黙しながら見つめた。
『ベル!その子、変なマナの流れだね。精霊ともヒナタとも違う感じ。とりあえず人間じゃないね。』
ベルの頭の中にパルが喋りかけた。
「タロー君って人間じゃないの?」
「なんでわかったの!?あっ。」
「隠し事出来ないならいっそ全部話した方がいいぞ。」
どうやらヒナタと同じ、というか知り合いで、異世界から来たらしい。
違うと言えば、その正体が・・・。
「なんというか、神様が言うには、魔人っていう扱いらしいよ。」
「弟くん、これは斬った方がいいよね。」
「かもしれないな。よくわかんないけど。」
「知り合いってわかったのに斬るのかよ!そんな生徒に育てた覚えはない!」
「得体の知れない者に育てられた覚えはありませんので。何か悪い事でも考えていたんですか?」
そんなやりとりをしていたら、ライリ君が間に入ってきた。
「タロー君をいじめていいのは僕だけです。」
「先生・・・。」
「あー、その、なんだ、見逃そうか。」
「お兄ちゃんに賛成!ライリ君に免じてね!」
「同情してくれてありがたいけど、つらいよ!!」
タロー君の自己申告によると、人より多くマナを持っている事と、身体能力がそこら辺の人より高くなる魔法が使える事、動物を思い通りに操れる能力があるらしい。
悪い事をしたら斬りに来ると、ヒナタが念を押した。
「あっ!先生はもう先生じゃないから安心だね!旅が終わったら会いに来るから元気に待っててね、たろう!」
「ヒナタ、それ旅の最後に思い出して言葉にするなよ。」
「その時は一緒に堕ちるように願うね!」
「自由にしてくれ。って、どうしたのライリ?」
ライリがヒナタをにらみつけている。
タローの方に振り返り、手をひっぱって走りだす。
「ええぇぇ!っと、ヒナタ、みんなまたね!」
タロー君、元気に過ごしてくれ。何となく悪い人ではなさそうで良かったよ。
ギルドに着く前に一段と精神的な疲れが溜まったロキは、王様に会うのを1日伸ばすか本気で悩み始めた。




