第二章 10 『もう1つの解決方法』
「・・・精霊なんだ。」
「ヒナタさん?」
ベルが空間の中で知った事を話している時、ヒナタの足が止まり、険しい表情を見せた。
「魔法剣、炎。」
「魔法!?」
ヒナタがベルに向けて剣を振るってきたが、なんとか回避する。
「急にどうして?それに魔法って、ヒナタさんも精霊?」
「一緒にしないで!あなたたちがこの世界を脅かす存在だったなんて。さっきの大ウサギを消したのは知らない魔導かと思ったのに、魔法だったのね。」
ヒナタは目を伏せながら悔しそうな表情をしていた。
「違うよ!私たちは世界を安定させる為にこれから忙しくなるんだから!」
「この世界が安定していないのはベルちゃん、あなたが原因よ。」
「いったんやめろ!俺たちだってさっき聞いたばかりだぞ!なんでヒナタさんがそんなことわかるんだよ!」
「この世界は、神核っていうものが安定してマナを発生させている世界らしいの。でも、精霊が突然現れてマナの流れがおかしくなった。魔物も出てくるようになって、このままいくと神核が壊れて、世界の有り方が変わってしまう。それを止める為に、精霊を退治するしかないのよ!」
再び剣を構えて、今にも突進してきそうな姿勢だ。
「待て!ベルが精霊と契約する事でマナを安定させられる事の何がダメだっていうんだ!話をまとめるから待ってくれ!!」
またもや新しい情報が入ってきて、ロキの頭は限界に近かった。宿に戻ってから考えようと思っていたが世界は優しくなかった。必死に考えるも、話を繰り返す以外に思いつかない。
「まず精霊がいなくなれば、神核ってのが安定を取り戻す。精霊と契約すれば安定を取り戻す。どっちみち他の精霊と会わなきゃいけないんなら、争うのは今じゃなくてもいいはずだ。」
「詭弁ね。精霊が集まって攻撃されたら勝ち目が薄くなるかもしれないわ。退治出来る時に退治しなきゃ。」
「なら、問題は情報源だ。俺たちはパルから聞いた。ヒナタさんは誰から聞いて精霊を撃つことになったんだ?」
「・・・・。」
急にヒナタが黙って目をそらした。敵と認識してる相手にベラベラ喋らないかと、ロキは次の言葉を探す。
「・・・神様よ。」
「へ?」
「私は一度別の世界で死んで、この世界で生まれ変わったの。その時に神様が、いづれ精霊が現れるから退治出来るように強くなれって言われたのよ。」
1日に何回突拍子もない話を聞いたらいいんだろうか。ロキは深いため息をつきながら腕を組んで考えた。
そして裏技を思いついた。
「ヒナタ姉ちゃん!俺たちの仲間になってよ!」
「いいよ!!」
「いいんだ!?自分で言うのもなんだけど!」
「弟くんに言われたらね~!もう一回呼んでくれたらいいよ!」
「ヒナタ姉ちゃん!!」
「最高ね!!」
一瞬で満面の笑みになったヒナタがロキに抱きついて万事解決した。頭をからっぽにして、恥もプライドも捨てて、相手が欲しがるものをうまく提供出来たロキの完全勝利だ。
「あっ、この世界では精霊しか魔法が使えないみたいだけど、私は剣に纏わせて使う事ができるの。戦力になれると思うからよろしくね!」
この世界を救うという決意で、ヒナタは長く一人で旅をしていた。
世界をどうにか出来るなら、気分が上がる方を優先してもいいのかも。
その気持ちが一気に傾いた瞬間だった。




