02 所長
お仕事の方は、それなりに順調です。
よろず相談所は、所員一同、お仕事を楽しみながらお悩み解決に奮闘しております。
サイノも、様々な依頼を人間観察に活かしている模様。
基本的には僕の助手なのですが、
もう所員と言って差し支えないかと。
えーと、つまりお給料が発生しますよ。
みんなと相談しないとね。
「家族割、あり?」
もしもし、サイノさん。
お給料を割り引いてどうするんですか。
「家族のためなら身を粉にして働く所存」
いえいえ、思い出してくださいな。
"良き仕事は正当な対価で報われるべき"
ちゃんとやるべきことをやらないと、
こわーいシュマルセお姉さんにおしおきされちゃいますよ。
「そんなに怖いのですか」
……ごめんなさい、シュマルセさん。
いらしたのですね。
「では、お望み通りに、こわーいお仕置きを、たっぷりと」
笑顔のシュマルセさんですが、目は笑っておりません。
みなさーん、所長がピンチですよー。
「所長の仕事はするけれど、特別扱いしないでと言ったのは、他ならぬサイリさん」
「『クチは災いの元、グチは諍いの元』と言ったのも、サイリさん」
「"全ての行いには正当な評価が下されるべき"、ですよね」
どうしてうちの事務所の3人乙女たちは、こんなにも生真面目さんなんでしょ。
ちょいとサイノさん、お兄さんが大ピンチですよっ。
「人間観察する際のお約束、観測者が手出しして事象を歪めてはいけない」
「そしてネルコ曰く、こういう場面に最も相応しいセリフは」
「いいぞ、もっとヤレ」
いいよもう、もっとヤラれちゃってきますから……