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確かに初恋だったが、そこまで外堀を埋められると逆に困る  作者: まるちーるだ
本編

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王子様と皇女様

Act.24


空は雲一つない快晴で、春の穏やかな気温の中、ソネット王国では2年前の王太子殿下の結婚式に続く祝い事にお祭り騒ぎとなっていた。

この度の結婚式は第二王子で、次期宰相と言われている第二王子のオセロ殿下の結婚式だ。

なんでも幼い頃に見初めた宰相の娘に何度も結婚を申し込んで、やっと頷いて貰えたらしい。


そんな結婚式で主役よりも名前が出ているのは第三王子のロミオ殿下だ。


彼は双黒である。


ソネット王国では双黒は尊ばれる存在である。


そんな彼の婚約者が決まったのはつい、半年前だ。


なんでも、長い間、文通や、交流をしていた隣国の紹稀国の皇女様らしい。

皇女様は元々魔力量が高く、何度も戦争に駆り出されていたらしい。

そんな皇女様は紹稀国の現状を憂い続け、弟君と共に、前皇帝を廃位させることを決意した。

失敗したらロミオ殿下に迷惑が掛かると思った彼女と、その側近たちはロミオ殿下からの求婚を断り続けていたという。


彼女は先陣を切って前皇帝の軍と戦った。

次に紹稀国内部の腐敗とも戦った。

次に周辺諸国の脅威とも戦った。

美しい手は傷だらけになりながらも、幼いながらも意志をしっかりと持った弟君の為、飢えや支配に苦しむ民の為に戦った。


そうして2年の歳月をかけて、紹稀国は民の過ごしやすい豊かな国へと変化していった。


その話を聞いたロミオ殿下は直ぐに皇女様へ求婚状を送った。


しかし、姫様は自分の傷だらけの手を見て、『自分では相応しくない』と断られたそうだ。


それを見たロミオ殿下は直ぐに紹稀国へ行かれて何度も何度も皇女様に求婚したそうだ。


ちなみにオセロ殿下も、レイア王太子殿下も現在の奥方に何度も求婚したらしいので、この話を聞いた時には、王家の人間は諦めが悪いんだな、なんて思った。


脱線したが、皇女様に『傷だらけの手は国を守った証で、俺とお揃いだ。恥じることはない』と言ってロミオ殿下は皇女様の愛を勝ち取ったのだ。


少し悲しい話だが、皇女様は常に手袋を着けているらしい。


まあ、そんな心優しき皇女様に我が国の人間たちはロミオ殿下の下で幸せになって欲しいと願っているのだ。


そして、今日、その皇女様が結婚式に参列すると知らされていた。多くの周辺諸国の王侯貴族が来る中、ロミオ殿下が待つ場所に停まった馬車。紹稀国の変わった意匠の施された馬車。誰もがその馬車に乗っているのが皇女様だと思い、ジッと見つめていた。皇女様を歓迎する声が幾重にも響き、視線は独り占め状態だった。


開いた馬車の扉。ロミオ殿下が差し伸べた手に重なるように小さな手が乗せられる。その手は傷だらけだが、手袋は着けていない。


その手が引かれて、現れた女性に誰もが息を呑んだ。

ハッキリ言えば、静まり返った。


降りて来た女性は非常に美しかった。

誰もが美しさで息を呑んだ、だけではなかった。

馬車から降りて来た女性はロミオ殿下と同じ、双黒だったのだ。


遅れるように歓声が上がった。ロミオ殿下の婚約者が双黒で、双黒が並ぶなど、我々は物語の中の事でしか考えられなかった。だが、現実で、双黒の男女が並んでいる。物語のような光景が現実にある。私の隣に居た老婆など泣きながら歓声を上げていた。


皇女様は傷だらけの手で民衆(我々)に手を振ってくださった。

首元から腕にかけてはロミオ殿下を思わせる黒。

その下は深緑に金字の刺繍。

ロミオ殿下のエスコートを受けながら、皇女様は笑顔を振りまいてくださった。


その後ろから降りて来たのは紹稀国の様式の服を着た男だった。

真っ赤な髪をした男はロミオ殿下と何かを喋ってから、来賓の扉へと進んでいった。


ロミオ殿下と皇女様はゆっくりと来賓の扉へ歩かれる。

まるでロミオ殿下は皇女様を民衆(我々)へ紹介してくれるようだった。


この時、皇女様の目に涙が浮かんでいたことを知っている人間はロミオ殿下だけだったという。



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