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確かに初恋だったが、そこまで外堀を埋められると逆に困る  作者: まるちーるだ
本編

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耐えきれない心

Act.16


Side 黒曜


私の生まれた町、そこは瘴気に覆われた『彼岸』と呼ばれる町だった。父は兄に逆らったがためにその町に連れていかれた。その父はその町で生活をする母と出会い、そして私が生まれた。


この時、父は戦慄したらしい。

私が『忌み子』であったから。

『忌み子』(それ)事態は悪いことではない。

だが、父にとっては最悪であった。


皇帝の血をくむ一族で『黒』を持って生まれるということは、生まれながらにして『皇帝』となれる。

そう、父の兄は皇帝(おう)だった。


つまり、私は生まれた瞬間から、父の兄にとって目障りな存在になってしまった。


父はその事実を恐れ、私が死産であったことにして、私を孤児院に置いて行った。

孤児院ならば、血統は知られない。

魔力が強ければ、孤児院でも生きられる。

その選択は父と母なりの親心だったのだ。


その事実を知ったのは三歳の誕生日。父と母が作り上げた魔法で、私にしか見えない形で展開された魔法は私に事実を伝えてくれた。


初めて見る父の顔は悲しそうで、母の顔は涙で濡れていた。

でも、二人は笑って私に付けた名前は『瑠璃』であると伝えてくれた。


奇しくも自分の名を知ったその日、皇帝は『彼岸』に侵攻し、父の首を刎ね飛ばした。


皇帝(おう)は知ってしまったのだ。『死産』した子供が『忌み子』であったことを。


そして、父を殺し、母を奪い、そして母との『子』を望んだ。母はなんとか堕胎薬を飲み続けて子を身ごもらないようにしていたらしい。だが、それに気づいた皇帝は、非情にも母にその手段を取れなくして、子をもうけた。


どんな方法を取ったかは、養父は言葉を濁したが、母にとっては屈辱的な方法であったに違いない。


そして、もう一人の『忌み子』が生まれた。

だが、その事実を隠すために養父はその『忌み子』が『死産』であったとし、その子供は『色』を変えて、孤児院に入れた。その時に養父は私の存在に気付いた。養父からすれば、私の顔は父によく似ていたらしく、すぐに私が誰だか理解したらしい。


養父は泣きながら、私に謝り続けた。


曰く、母が二人目の『死産』に耐えかねて自害したことになっていること。

曰く、母は子供を……正確には『私』の存在を明かさないために自害したということ。

曰く、今日来た赤ん坊は私と同じ『忌み子』で、私の父違いの『弟』であること。

曰く、私の出生が明るみになれば、命を狙われること。


そして養父は私に問うた。


『もしも、出生が明るみになったら君は間違いなく直ぐに死ぬ。死なない為にも強くならないとならない。それに耐えることができるか?』


私に迷いはなかった。


そこから何度も死にそうになりながらも生きる道を選んだ。その度に発動する父と母が掛けた魔法に、何度も父と母の愛情を感じられた。これほど幾重に掛けられた魔法を見たことがないと、複雑そうに言いながらも、養父は笑った。


その愛情を感じれば、感じるほど、『弟』に申し訳なさが芽生えてしまった。


『弟』は私さえいなければ、母の愛情を受けながら、皇帝となれる場所にいただろうに。

その罪悪感が日に日に『心』を蝕んでいった。


だから、『心』を殺す魔法を使った。

そうでないと耐えられないから。


「もう、見るな。」


響いた男の声。温かくも悲し気なその声の主はそっと、私の目を手で覆った。目の前で映像化された私の記憶(人生)


その思い出したくもない記憶に私は涙を落とし続けた。ただ静かに、ひたすらに。




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