俺だって無意識にしてしまうことはある
Act.14
Side ロミオ
何故かエビフライ状態になっている柘榴から同情の眼を向けられている。何故俺はそんな目で見られているのだろうか?と少しばかり現実逃避をしたくなる気持ちを抑えて立ち上がった。それに合わせるように、パンパン、と手を鳴らしたのはレイアの兄貴だった。
「うん、とりあえず、状況整理をしようかね?オセロ、さっきの子供達連れて来てくれるかい?」
「はい、兄上。」
その言葉に一礼してから部屋を出たオセロの兄貴。レイアの兄貴がパチン、と指を鳴らせば、何故か全員席に着かされており、エビフライのままに柘榴も座らされていた。
「どちらかというと私もまどろっこしいのは嫌いでね。でも、我が国には火の粉が来てほしくない。だったら信頼できる誰かに国盗りさせちゃえばいいや!って考えでサクッと進むよ~。」
神妙な面持ちを返せ。
「サクッて、そんな簡単に行くわけないだろう、兄貴。大体、あの国だって王家……皇帝家は少なく見積もっても千年以上の歴史があるのを知っているだろう。その所為で何度も政変に失敗している。」
紹稀国の皇帝家の歴史は最早一千年を超えて、皇帝は神と同等の崇められ方をしている。言い方は悪いが、全ての民が、軍隊となるほどの『信仰』が紹稀国にはあると断言できる。だからこそ何度、政変が起きても皇帝家が続いているのだ。
「その通りだよ、ロミオ。だけどもしも正当性を持っている国盗りが出来る人間がいたとしたら?」
にやり、とまるで悪人のような悪い顔で笑うレイアの兄貴に背筋が凍りそうになった。
おう、この顔の時のレイアの兄貴は大体、ヤバいことを考えている時だ。
そう、先の戦争の時に、全部隊連れてくると決めた時の顔だ。
コンコン、とリズミカルなノックの音。全員の視線がドアに向いて、そして開いた扉からは少年が一人と、オセロの兄貴が入って来た。それに続いて、ティボルトが入ってきて、そして扉の前で仁王立ちした。
「兄上、金剛殿をお連れしました。」
その瞬間、どうしようもない違和感を覚えてしまった。オセロの兄貴がその少年を連れてくる様は、どう考えても格上に行う動き。例えるならば、レイアの兄貴と行動するときに近い。
そして、その連れてこられた少年は微かに震えながらも、目に覚悟が浮かんだ表情をしていた。
「よく来てくれたね、金剛殿。」
レイアの兄貴の言葉と同時に、影が動いた。条件反射、兄に向けられる殺気とその行動で、俺はその影を勢いよく床にたたきつけて取り押さえた。
「離して!!」
叫んだ声と、その影が持つ黒の髪で、俺は取り押さえた人物が黒曜であると、認識した。驚いたが、押さえつけた手の力は抜くことは出来なかった。
「君も覚悟を決めたらどうだい、黒曜……いや瑠璃姫と呼ぶべきかな?」
大袈裟なまでに、小さな肩が揺れた。レイアの兄貴の言葉に彼女はまるで怯えているようにも見えた。どうするのが正解なのか分からないまま、取り押さえていれば、段々と彼女の身体から力が抜けていく。それを確認したオセロの兄貴がゆっくりと近づいてきた。
コツ、コツと聞こえる足音は長いようにも聞こえた。




