俺の心は決まった
Act.13
Side 柘榴
どうせ、俺は捨て駒だと分かっていた。敵わないと分かっていながらも行くことを選んだのは何故と聞かれても困る。自分にとって大切だと思うものがあれば道化師だろうが、なんだろうがなる気でいた。
だが、殺されるどころか、縄でグルグル巻きにされて、しかも他の情報量多すぎて俺は呆然としていた。
おい、クソ王子、エビフライってなんだ!そんな高級品見たこともねぇわ!大体、何なんだこの国はただでさえ『忌み子』がいる時点で戦力がやべぇのに、その右腕はそれに負けない化け物だし、王太子はいきなり主戦力の部隊を連れて来れるし、第二王子は笑顔で俺の国から賠償金持ってくし、化け物ばっかじゃねぇか!
黒曜、お前まだ可愛いレベルだよ!
それに琥珀が加わってしまったというのは俺にとっては完全な死亡フラグでしかない。元々琥珀と俺は相容れない存在であったから、もう俺死んだな、と思っていた。
「なあ、お前、なんでそうやってあんなクズに従っているんだ?」
「は?」
急に俺の前にしゃがんで見下ろすように声を掛けた忌み子の王子はため息を吐きながらそう尋ねて来た。
その行動に、酷く驚かされた。
王族やら皇族やらお偉い様方と言うのは必ずと言っていいほど上からものを言う。だがこの王子はわざわざ俺と視線を合わせるためにしゃがんだ。驚きながらもその忌み子たる証の黒目を見つめていれば、王子はまた言葉を続けていく。
「どう見たって泥船に乗っているのは分かっているだろ?前の戦争で紹稀国が多額の負債で民に重税を課している。民っていうのはそんな虐げられているだけの人間じゃない。王侯貴族っていうのは国の3割程度。物量で言ったら民の方が多いんだぜ?もしその残りの7割の民が暴徒化したら?真っ先に恨みをぶつけられるのは『兵士』だぞ?」
そんなこと分かりきって俺は故郷にいる。だから何だというのだ?そんな気持ちを視線にのせて忌み子の王子を睨みつければ、王子は「はあ、」と分かりやすいため息を吐いた。
「お前、誰のために道化になっているんだ?お前みたいな目の人間って大抵は大事なものがあって行動している。俺の兄貴たちなんてその典型だな。」
そう言った瞬間に一番驚いているらしかったのはブルータスだった。『そんなこと分かるんですかロミオ殿下!?』なんて叫びそうな勢いだったが、何故か琥珀がそのニヤニヤ顔のブルースの口を塞いでいた。
いや、琥珀馴染みすぎだろ。
「……と言うか、翡翠の為だよね?」
「琥珀テメェ!!ぐべ、」
「ん?思い当たることあるのか、琥珀?」
叫ぼうとした俺の口に何故か、拳がねじ込まれた。これどういう状況だ?と放心して抵抗もできないままになっていれば、琥珀がニヤニヤしたまま言葉を続けた。
「俺と黒曜と……あと柘榴とも同じ孤児院出身の娘ですよ。歳は黒曜と同じぐらいで、回復魔法に特化しています。」
「あ、もしかしてコレですか?」
こちらもニヤニヤしたブルータスが小指をたてながら聞いてくる。それに対して王子も「ああ、なるほど。」と納得する。いや、納得すんなよ!!
「違う、違う。完全に柘榴の片想い。微塵も、それこそミジンコレベルにも、好意を感じ取られてないんですよ~」
ゆったりとそんなことを言う琥珀に、何故か俺は同情に満ちた視線を王子から向けられた。
「ぶざぶんいあが!」
ふざけんなよ琥珀!と言いたかったが、拳に邪魔されて声にならなかった。
「まあ、真面目に話しますと、翡翠は半年前に瀕死の柘榴を助けるために魔力を使い切って、眠りについてます。柘榴が本当に守りたいのは翡翠なんですよ。
で、翡翠を助けるためなら、俺と黒曜を売るのなんてなんともないし、なんなら殺されるかもしれないこんな任務ですら受けてしまう。」
「ああ、片思いとは言え健気ですね。」
「ブルータス、琥珀、黙れ。」
「「了解しました!」」
いや、だから琥珀馴染みすぎだろ。
「俺はまどろっこしい駆け引きは面倒で嫌いだ。単刀直入に聞く。『なんで搾取され続けている?』」
なんで、ってそれは盾に取られている……。そう言葉に出そうとした瞬間、ハッとした。馬鹿だ。俺が能力を最大限使って国に盾突けば、琥珀だって、黒曜だって翡翠の為と言うならば手を貸しくれたはずだ。それに養父だって、聞いてくれたはずだ。そう思った瞬間何故か、涙が流れて来た。
「そうだよ、何でも一人で抱え込むとロクなことねぇんだよ。」
王子が心にしみる言葉をくれたが、背後のブルータスと琥珀、それに加えて王太子と第二王子のニヤニヤニヤニヤした顔を見てしまった俺の涙は、本当に一筋で済んだ。
そして俺は向けられていた同情の視線を、いつの間にか王子に返していた。
すみません、牛車の如くスローペース過ぎる話で申し訳ございません。
そして恋愛が行方不明になっているので、捜索願を早急に出してきます!!
……頑張ります(;'∀')




