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確かに初恋だったが、そこまで外堀を埋められると逆に困る  作者: まるちーるだ
本編

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12/27

腹をくくるのは大事

Act.11


Side ロミオ


突然の来訪者に驚くしかなかった。


急に顕れたその男は真っ先に母を狙った。だが、それを黒曜が押さえ込んで、魔法も防壁を張って一人もけが人を出させていないようだった。そうだ、彼女はどんな卑怯な手を打たれても、決して自分だけを守るようなことはしていなかった。


「全員、頭を低くしろ!俺がいいというまで動くな!」


俺の声が届いたのか、周りの人間たちは直ぐに体勢を低くして、そして俺の次の指示を待った。皆、俺の指示に従うのが正と判断したのだろう。


「ロミオ殿下。あれは『業火の柘榴』ですね。私が行きましょうか?」


そう言ったブルータスに対して小さく首を横に振った。奴は大型魔法を得意とするので、剣術が得意なブルータスはその魔法の発動前に切りつけるという鬼畜な所業で何度も撃退していた。まあ要するに、ブルータスにとって奴は柘榴(笑)な存在と言うわけだ。


今の状況では完全に笑えないが。


「今出ていけば黒曜の魔法の流れ弾に当たるぞ。まず、母上と妹たちの避難を。」


「悠長なことを言っている場合ではなさそうですよ、ロミオ殿下。」


そう言ってブルータスが指さした先。吐き出したくなるほどの映像と、同時に上がり続ける黒曜の魔力。この感じを俺は嫌と言うほど知っている。感情に反応して膨れ上がる魔力。普段であればそれを肉体は受け止める。


だが、そうでないときは?


「黒曜!ダメだ、抑えろ!」


直ぐに声を上げた。声に反応した彼女が振り返った瞬間、その口から赤が流れ落ちる。ゆっくりと崩れ落ちるその身体を風の魔法で崩れ落ちる前に止めることができた。走って彼女の身体を抱き上げれば、その身体から湧き上がる魔力。俺以外であったなら、彼女に触れることも叶わない高濃度の魔力だった。


魔力暴走。


俺も何度か起こしたことがあるが、感情が抑えきれずに魔力が暴走してしまう現象。特に俺のような『双黒』は膨大過ぎる魔力故に、被害が尋常ではない。


「あーあ、魔力暴走だな。お前やっぱ子供だな、黒曜。まあいいや、これでソネットの王都はぶっ飛ぶな!じゃあな!」


距離を置いた柘榴の声に意識が戻る。すぐに声を上げれば、それよりも早く、奴は動いていたらしい。


「ブルータス!!」


俺の声が響き渡るとほぼ同時に、柘榴に斬りかかったブルータス。しかし、少し遅かったらしく、その姿は空に浮いていた。


「『忌み子』の王子、どうする?さっさと黒曜殺さないと、ここは木っ端みじんだろうな?」


実に楽しそうにそんなことを言う、イカレ野郎に思わず怒りが湧いた。でも俺がすべきことは一つだけ。残念ながらこの場で黒曜を助けられるのは同じ『双黒』の俺だけだ。なら、他の事は右腕(ブルータス)に任せればいい。


「ブルータス、やれ。」


俺の言葉と共に、目にもとまらぬ速さで抜刀したブルータスがイカレ野郎を切りつけた。その速さは我が国で最速とも言われている。ジッと周りを見回せば、黒曜の高濃度の魔力で立ち上がれない人間が多数見える。吐き出すような人間もいる。


「な、おま、なんで動ける!」


「これでもロミオ殿下の部下を幼い頃から拝命しておりますのでね……高濃度の魔力など何度も経験しておりますし、この程度で動けなくなるほど雑魚ではありません。」


ニコリと笑ったまま何度もイカレ野郎を切りつけるブルータスに、スイッチ入れちまったな、と頭の片隅で思いながらも、自分の腕の中で魔力を放出し続ける黒曜に視線を向けた。唇の端から流れ出る血。自らの魔力で内臓が焼かれているのだろう。


ガツン。


後ろでなんだかヤバい音がしているが俺は何も見ていない。


多分、骨折れている音が複数回も聞こえてくるけど俺は何も見ていない。


背後での出来事だから俺は何も見て……。


「ごめん、ブルータス。集中したいからその音、止めてくれないか?」


「あ、失礼いたしました。じゃあこの辺にしておきますね。」


最後のバキッって俺は何も聞いてないからな。


「ろ、ロミオお兄様っ!流暢に突っ込んでないで、黒曜様の魔力を吸い込んでくださいまし!!妹たちもお母様も限界ですわ!!さっさと接吻して魔力を抑えてくださいまし!!」


一番上の妹の絶叫に近い言葉に思わずため息を吐いた。


一応な、俺だって悩むわけだ。

妙齢の女性に接吻する状況に。


まあ、王都滅んで黒曜喪うか、接吻して琥珀に殴られるかなら後者の方がマシだろう。多分。


覚悟を決めた俺は彼女の唇に唇を重ねた。錆の味と、少し荒れ気味の唇から大量の魔力を吸い出していく。そして俺自身の魔力は風魔法を展開し、そよ風を発生させて魔力を分散させていく。


どのぐらい経っただろうか?


周りの魔力も薄くなっていった。吸い取る魔力も少なくなってきた。重ねる唇から感じる鉄の味も薄くなってきたような気がした。至近距離にいた黒い瞳が開かれ、ボーッと俺を見つめている。


段々と焦点のあった瞳に驚きが映り込み、気付けば彼女の顔は赤く染まった。


可愛いな、おい。


そう思った瞬間、俺の意識はぶっ飛んだ。




ゆったり過ぎる更新で申し訳ございません!!

でも完結までは頑張ります!

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