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僕と幼なじみの入学式

「ともくんがいけないんじゃん‼︎」

「いいや、僕は悪くない‼︎ あいちゃんが悪い‼︎」

 

 そう、これは高校一年生の俺と幼なじみのあいちゃんとの会話だ。


 春がやってきて高校生になり初めの入学式。

 

 桜色のピンク。桃色のピンクの花びら。

 

 桜が舞い散るなか、小野智也と幼なじみの篠裏あいは新しい高校に向かうべく青森県の弘前ひろさき公園を二人で走っている。道にはコンクリートが見えないほど桜の花びらが散っている。大きな木が続いていて、いわゆる高校生の青春の1ページだ!

 

 だが、なぜこの桜の道を走っているのか——


「ともくんが寝坊したんでしょ‼︎」

「あいちゃんが夜遅くに僕の家に上がってきて寝るのが遅くなったんだ‼︎」

「と、とにかく急がないと」

「このままじゃ間に合わないよ」

「あーー、もうッ‼︎」

 

 そう言い、息を切らせながら走っていく。

 普段運動をしていない僕からしてみればとても辛い事だった。


 それよりもクラスのことを考えていた。あいちゃんと同じクラスになれないかな……。 


 そんなことを考えてる僕がいる。正直同じクラスになりたい。中学校では奇跡的に3年間同じクラスになったこともあり、毎日話していた。周りの子も僕とあいちゃんが幼なじみと知ってからは仲の良さを詮索されることはなかった。

 

 だが、噂などではあいちゃんはかなりの男子生徒から好意を受けられているのだ。そんな噂を耳に聞いた時むっとしたが仕方がない。

 

 ()()()()んだから! 

 これは伝えなければならない。


  僕は決してあいちゃんの彼女ではない!

 幼なじみであってそれ以上の関係が一切ないのだ。でも僕があいちゃんを女性として意識し始めたのにはしっかり理由はある。


「同じクラスーーッ」

「ん?ともくん何か言った?」

「い、いや言ってないよ」

「そんなことより着いたよ‼︎ 弘前高校‼︎」

「ほ、ほんとだ。もう遅刻だけどね」

「もうっ‼︎ ともくんのせいで」


 ずっと僕のせいにしてくる。

 もう他の生徒たとはクラスを確認し自己紹介やらをしているのだろうか。


「早くクラス確認して行かなきゃだよ」

「そうだね‼︎」


 あいちゃんは僕と同じクラスになりたいとか思っているのだろうか。そんなことを考えてしまう自分がいる。

  

 そしてクラスの振り分けが書かれている掲示板の前に来るとーー


「私4組‼︎ ともくんは?」

「僕は5組。隣のクラスだね」

「そっか〜」


 別々のクラスになってしまった。朝の遅刻のせいなのか何か神様怒らせることしてしまったんだろうかと考えてしまう。

 

「じゃあ行こ! 隣のクラスなんだし!」

「そうだね。行こ!」


 お互いいつものように言葉を交わし自分のクラス向かった。そしてクラスの目の前に着く。


「またね〜……」

「……また後で……」


 遅刻をしているのでクラスの前で静かに言葉を交わし同時にドアを開け、クラスに入っていった。


 ***


 僕は後ろのドアをゆっくり開け教室の中に入る。すると、みんなの視線がこっちに向くのがわかった。


 やっぱり遅刻しなきゃよかった……。あいちゃんも同じ状況なのだろうか。

 

 一つ、窓側の一番後ろに席が空いていたのであそこだろうと思いそこに座る。自己紹介は終わったのか、何人かは他の人と話始めるようになった。友達作るの早いなあと思う。


 同じ中学の人は三人ぐらいいるがみんな一回も喋ったことがないのであいちゃん以外喋る人がいないのである。


「早く午後にならないかなあ」


 そんなことを呟く。もちろん誰にも聞こえない声で。

 

 友達か。どうしよう……。作らなきゃなと思う。あいちゃんは作れているかな。

 

 そして、いつに間にか放課後になり、今日一日あいちゃんのことを考えながら相変わらずかなり自分でも気持ち悪いなと思う。

 

 放課後になったので隣のクラスに向かう。


「あいちゃん!」

「あ、ともくん‼︎」

「帰ろう」

「う、うん」


 教室で一人で待っていたのか友達は作れなかったようだ。正直にほっとしてしまう自分に苦笑した。


 たぶん、一緒でよかったと思ったのだろう。


「学校どう?」

「う〜ん。あんまうまくいってないかな」

「僕と一緒じゃん」

「え、そ、そうなの⁈」


 どういうわけかかなりびっくりされた。


「あんま得意じゃないからね」

「で、でもともくんイケメンだからすぐに友達とか……、お、女の子とかも酔ってきそうだなって……」

「イケメンなんかじゃないよ……」


 最後の方語尾がだんだんと弱くなっていくがイケメンという言葉にどきりとして心臓に悪い。

 

 俺たちは帰り道、行き同じ道を使い帰路についていた。


 行きは走っていたためあんまり眺めることはできなかったが、弘前公園の道は日本の中でもトップに入るんじゃないかと思うほど綺麗だ。

 

「桜綺麗だね」


 と、僕が声をかける。


「綺麗だよね‼︎ これから毎日ともくんとここ通るんだよ!」

「寝坊しないようにしないと!」

「そうだよ、もう寝坊はダメだよ‼︎」


「この後僕の家でいつものやろうよ!」


 僕がそういうと、あいちゃんは少し顔をチェリーのようにキレイに頬が赤くなっている気がした。


「い、いいよ‼︎」


 一回荷物を置いてからじゃなくこのまま僕の家に向かった。


 その理由は家が隣同士だからだ。親同士も仲が良く、僕たち二人の中の良さはいつものこどだというように流すぐらいだ。


 高校生になったんだから少しは気にして欲しいぐら思っている。

 

 ほんとは僕たちは中学2年生の頃遊びだったか緊張しすぎてあんまり覚えていないが”キス”というやつをしたことがある。


 これがきっかけで僕はあいちゃんのことを女として見てしまったのだ!


「はあ……」


 でも、あいちゃんの方は何も意識してくれない。


 僕も幼なじみの枠を超えるのは自分でも良くないと思っている。


 それは幼なじみの関係、今の関係が俺にとって一番楽しいからだ。あいちゃん

はどう思っているのだろう……。


「着いた‼︎」


 と、思っているといつに間にか僕の家に着いていた。この後のお家緊張するな! 


 そんな事を思いながら足を家の玄関に一歩ゆっくりと踏んだ。


 




 

 

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