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壺を割る

作者: 瓶八

旅の女が1人、ある村で酒場に入り夕食を取った。

その折、村のならず者に絡まれ、意図せず店の飾り壺を落としてしまい、店主に弁償を求められた。

大した壺でもないのに法外な値段だった、嫌がらせである。

女は、ならず者のせいだと主張し支払いを拒否したが店主は譲らない。

女は怒って、店にあった飾り壺をもう一つ割り、二つぶんの金を払って店を出た。


そこに居合わせた村の女がいて、二つの壺のかけらを集め、継ぎ合わせて直した。

素人の手による下手な継ぎだったが、再び壊れることはなかった。

壺を直した女は嫌なことがあると二つの壺を見て心を慰めた。


壺を直した女が死んだ後、村を訪れたある男が二つの壺を気に入って購入した。

この男は、王家に出入りする商人だった。

新しく即位する新王にふさわしい贈物を探して国中を旅していた。


二つの壺を抱えて商人は城を訪れた。

商人は王に壺の物語を話し、最後にこう言った。


恐れながら、新王の国は二つの危機に見舞われております。

一つはならず者が引き起こした災厄であり、今一つは先王自ら招いた災厄です。

しかし、新王ならば、このふたつの壺のように、うまく継ぎ直すことができましょう。

この壺をお求めになり、見えるところに飾って大切になさりませ。

その行為があなたを正し、あなたの周りの者を正すのです。


こうして、壷は大金で買われ、新王は国を立て直した。

王が死んだあとも、何人かの王がこの壺を飾った。

国が滅んだ今も、二つの壺は人々の手を渡り歩いている。


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