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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ただのごみ箱

神の落とし子

作者: まさゑ

 ある日のこと、トラックが自転車を巻き込んだ事故を起こした。

 周囲に居た人が自転車に乗っていた少年はもう助からないと思うほど自転車は大破していた。

 しかし奇妙なことに血が一切飛び散っていない。

 警察が来て調べてみると自転車を運転していた少年の痕跡はなく、目撃者の証言とは食い違っていた。

 後にこの事件は被害者の消えた奇妙な事件として一躍ニュースで報道された。

 

 

 幼少の頃はスラム街のごみを漁って生き延びた。

 人生の転機は王国騎士募集だった。

 ヒゥース王国は人間の国でも栄ており王国騎士は強く勇ましく子供ならば誰でも憧れる職業。

 も論給与もよく入ることが出来れば将来安保だ。

 

 王国騎士の試験は無作為に選べれた20人で戦いその中で1人残ったものが勝ち。

 200人の中でなれるのは10人。

 当時幼かった自分は大人も混じった戦いで不利であった。

 しかしスラムで培った相手を蹴落とす方法で狡くも勝ち残ることが出来た。

 当時9歳、最年少で王国騎士になった。


 騎士認定式の日、いつも着ていた薄汚れた服とは違い騎士の正装を纏い王直々に剣を渡された。

 大きすぎる剣を持ち跪く。

 王と王妃その子である王女に向かって忠誠を誓うよう心を固めた。


 王国騎士になったと言っても下っ端で最年少の自分は一年の間、教育を受けさせられる。

 礼儀作法を学び、剣の稽古、魔法の取得。

 剣や魔法は自分でも驚くぐらい上達が早かった。

 それに対し礼儀作法は苦労を強いられた。

 言葉遣いを直し常に背筋を伸ばしとスラムの出だからか慣れるのに時間が掛かった。

 

 初めて尽くしの事ばかりで初めての仲間、恋を知った。

 同期で入った9人の内教育の途中で4人は辞めてしまい5人となったが生活を共にして仲が良くなった。

 おっちゃんのダン、プライド高いジン、臆病なチタン、お調子者のアーサー、頭のいいテラ。

 10、20それ以上歳が上だけど関係なくいい奴ばっかだ。

 王女に恋した、いや憧れと言った方が在っているかもしれない。

 教育終わりに自分たち一人一人に差し入れをくれた。

 一回だけじゃなくて数回も。

 そのやさしさに恋をしたんじゃないかと思う。

 

 一年教育を経て自分を含め同期はそれぞれ隊へ派遣され国を守り、秩序を守った。

 自分は剣と魔法の才能を開花させ、陰では王国一の強さを持つとまで言われるほどの成果、実力を付け、10班ある騎士団の2班副隊長に上り詰めた。

 


 ただ人間に脅威が迫っていた。

 この世界には魔物という人間を襲う生物が存在する。

 知能もなく本能のまま生きる生物だが、知能を持つ者が現れた俗に言う魔王。

 幾つかの国は壊滅に追いやられ生き残った国同士の話し合いで古くからの言い伝えられた異世界から勇者を呼ぶことが決まった。

 勇者だけが使える聖魔法や聖剣でしか魔王は倒せないと過去の記録では残っているから。

 時同じくしてヒゥース王国の占星術師は二年後王国が隠す転移陣より邪神竜が現れ世界を滅ぼすと王に告げた。

 

 ヒゥース王国によって異世界、日本より少年が召喚された。

 トラックで惹かれそうな少女を身を挺して助けた時召喚されたと勇者の少年は語った。

 事情を知り魔王を倒すと決意し訓練を経て、王女を含む仲間と共に魔王を倒し人類を救った。

 勇者は王女たち美しい少女たちと幸せになった。

 

 ではスラムから這い上がり王国一まで上り詰めた騎士の少年はどうなったか。

 

 勇者召喚前、王国騎士1班騎士団長と騎士の少年は王と向き合っていた。

 

 「騎士団長、彼が王国一の騎士か」

 

 「は」


 騎士団長は部屋から出て行き王と二人きりになる。

 

 「無茶なのは重々承知、だが頼む世界を救ってくれないか」


 一騎士に王は頭を下げて一つ頼みごとをした。

 邪神竜のいる空間に行くには王国が隠し持つ転移陣でしか行けない。

 だが勇者召喚もしないといけないため一人しか転移陣で送れない。

 書物には邪神竜は神と同等の力を持つと、人類を憎みいつかは殺しに転移陣より現れると。

 そして予言は出た。

 

 「命令と在らば、王国騎士2班副隊長アレン、承知しました」


 一日後、御付きのメイドに見送られ旅だった。

 彼女とは初めて成果を上げて以来御付きとなり5年は一緒にいる。

 優れた容姿、感情表現は苦手だが嬉しい時にはそっと目を瞑る癖がある。

 悲しい時には左手を抑える。

 旅立つときも抑えていた。

 だから言ってやった。


 「大丈夫だよルカ。生きて帰る」


 振り向かず声を掛け旅立った。

 

 

 赤褐色に染まった空、異質な木々が並び、強気魔物がいる弱者を喰らう世界。

 この世界の魔物一匹一匹が魔王に並ぶ強さ。

 死にかけることは何度もあった。

 自分の尽きぬ才能は環境に体を最適なものに適応させた。 

 世界の中心にそびえ立つ覇者の楼閣。

 邪神竜との体が尽きるまでの戦い。

 最後に立っていたのは自分。


 「神の落とし子には勝てぬわ...」


 邪神竜が残した言葉は意味が解らない、でも関係ない。

 役目を終え剣を杖に最初転移した場所に戻る。

 陣の形跡に最大級の魔力を流し込み帰った。


 懐かしき王国の転移陣。

 その場には誰も迎えはなく、静かだ。

 転移陣は修正不可能なほど壊しておく。

 

 

 王へ報告と綺麗な王城の床を血で汚しながら進む。

 初めて人と出くわす。

 

 黒髪の同い年くらいの少年、それに付き添う成長した王女、美しい少女、御付きだったルカ。

 騎士として跪こうとするが膝から崩れ落ちてしまう。

 

 「兵を、兵を呼べ。侵入者だ。剣を持ち血で体を染めた」


 ルカによって兵を呼ばれ投獄された。

 

 牢の中は幼少の頃にいたスラムのように腐敗の臭いが漂っていた。

 両手を鎖でつながれ大雑把に応急処置がされた体は感覚がしかなかった。

 騎士が布を持って牢の中に入って来た。


 「ひとまずお前は留置され、事と次第によっては処刑もあるだろう」


 声は聞こえず、目も見えにくく体の限界が近づいてきたのが分かった。

 騎士の布によって顔の血が拭き取られる。


 「え...おま、え...アレスか...」


 見えづらい視界の中、同期のジンの顔が見えた。

 そして意識は途絶えた。

 

 

 神の落とし子、ある書籍では神の気まぐれによって別世界の住人を違う世界に落とした子と書かれている。


 アレス、親を知らず世界に珍しい茶色がかった黒髪の子。

 邪神竜を倒す旅を経て極度の精神状態が続き髪は白くなってしまった。

 

 意識が途絶え、目覚めた先、彼には幸せが待っているはずだ。

補足:御付きのルカはアレスが旅立った後、勇者の御付きとなりますがハーレムメンバーには入ってません

   アレスに気付かなかったのは体中を返り血で真っ赤に染めていたからです、そ髪色も変わってますし

   異世界人が強いのはよくある異世界モノの法則です

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