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みんな仲良くしましょう。

「でも、それが分かったとしてどうするんだよ。スロープの冤罪が分かったとしても俺たちヒューマンとあいつらの戦争の解決にはならないぞ?」


 俺はその事実をアリアに言う。もちろんアリアもアリアでその事実を分かっているのだろう。ベルはルーナの肩を抱き彼女を落ち着かせるためにそばに付いていた。

 アイはアイで何考えているかわからない顔で俺を見つめている。

 夜明けまであと一時間もないこの状況で解決する方法はないのだろうか。思考と、気力と体力が足りていない頭を焼き切れるくらいに回すが凡人の俺には解決策など浮かぶはずがなく、想像の中で自分の頭は煙が出てしまった。

 その時、ルーナから離れて俺の元にやってきたベルは俺の肩をツンツンと突いてくる。


「あんだよ」

「もうおしまいなの?」

「うるせぇな。今は黙ってろよ!」


 なんだよ。もうおしまいってさ。なんも考えてない奴がどの口で言う。


「ヒューマンとか、スロープとかみんな頭固いよね」


 ベルは俺の頭を二度ポンポンと優しく叩く、俺は思わずそのベルの手を掴むと頭を拳で挟みこみ万力地獄を行う。是非もなし!


「あばばばばばばばば! やめて! 離してバカミチナシ!」

「バカって言ったな。十キロ強めます!」

「あんぎゃー! ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」


 涙目で叫ぶだけ叫んだベルは万力から解放されると頭を抱えてうずくまっていた。


「で、何が頭固いんだよ。俺たちに何かアドバイスしてくれるのか?」


 そう言う俺にベルはすぐに立ち直るとえっとー。と言葉を選び出す。

 しばらく白い髪を指でチリチリと鳴らしてじっと見た後視線をすぐに考えている俺とアリアに向けた。


「全部仲良く手を取れば平和なのにねって思わない?」


 ……。

 ……。


「そうか! その手があったか!」


 俺は思わず声をあげる。その俺の声にアリアはびっくりした顔をしていた。


「ベルお前天才だなー! すげえよ! ほんとお前天才じゃね!?」

「え? えへへー。そうかなー! もっと褒めていいのよ!」


 俺は思わずベルの頭をぐしゃぐしゃと撫でまくる。もう最高だよお前! すげぇよ!


「え、どう言うことなの? ミチナシ君。どう言うこと?」

「なぁに簡単なことじゃないか。アリア陛下」


 アリアの目の前の机に両手を乗せて半端のめり込むように顔を近づけた。


「スロープもノーバディーの国民にすればいいんだよ!」


 それは奇想天外の一手だった。


「は? え?」

「だーかーらー! スロープもウィッチのようにノーバディーに受け入れればいいんだって。頭固くないか?」

「いや、いやいやいやいやいや! そんなのおかしいじゃない! 仮にヒューマンを殺していないのがスロープじゃないとしても、スロープのことをよく思っていないヒューマンは少なくないわよ!?」


 たしかに今回の事件でヒューマンは沢山死に、その犯人はスロープのせいだと印象操作されている。スロープを受け入れると言うことは殺人集団を国にいることを許すと言うことと同じになるわけだ。


「だけど、実際は奴らは殺していない。視点を変えれば他に犯人がいると言うことだ」


 そいつを見つけさえすれば良い。


「でもどうやって?」


 ベルは俺に答えを求めてくる。

 ベルさん。言った本人が考えてくれないと困るんだけど。まぁ作戦というかそう言うのは僕だけども。


「この一連の事件の目的は、なんなのか。犯人の目的を達成させないことに意味があると仮定します」


 アイが俺の代わりに言う。

 そう、こちらの勝利条件は相手の目的を阻止することだ。なら話は簡単。スロープと人間の戦争を止めることがこちらの勝利条件となる。


「そのためにはアリア陛下。あんたが必要だ」

「……」


 アリアは考えた。この状況はどうしたらいいのか必死に考え込む。

 ノーバディーの国民のためにと打算を繰り返す。


 一番目に、ノーバディーに対する安全策とはルーナをスロープに引き渡して帰ってもらうことだ。しかし、それはスロープの力はヒューマンより優れているなどという国民の意見が沸き立つだろう。

 二番目に、ノーバディーとスロープの全面戦争をすることによって、どちらかが潰れるまで争いあうというのもあるが、そんなことは論外だ。誰も望んではいない。

 そして最後にスロープをノーバディーに受け入れること。それしか方法はないと俺は思っている。


「アリア陛下。何を渋っているんだ」

「……」

「今この状況で考える必要はあるのか!?」


 俺たちのノーバディーの未来がかかっている。それは全部アリア陛下の返事一つで全てが決まるのだ。


「……ミチナシ君」


 アリアは俺の名前を呼んだ。返事をすると少し微笑んできた。


「少しだけ、ルーナちゃんと話してもいい?」

「……わかった」

「……」


 さっきから気配がないように座っているルーナはアリアを見ていた。心も体もボロボロの彼女にアリアは何をいうのか、わからなかった。


「ルーナ。大丈夫だ」

「でも、ミチナシお兄ちゃん」

「ルーナ。俺はお前のことを絶対守る。これからもずっとだ。だからそのためにまずはアリア陛下と話をしてくるんだ」


 そう言って俺はアイとベルの名前を呼んで部屋に出ることを促す。

 その部屋にいるのはアリアとルーナだけ。


 本当は心配だった。もしかしたらルーナは殺されるかもしれないとかも考えた。

 しかし頭をしっかりと振りその考えを捨てる。


「じゃあ終わったら呼んでくれ」


 アリアにそう伝えたあと、ルーナとアリアがいる部屋から俺たちは出た。

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