何人子どもが欲しい?
あのあと質問攻めを受けていたが内容はほとんど俺がわかっていることだけを教えた。
もともとこの世界に住んでいないこと。
俺が今まで生きてきた世界を聞かれ、今まで魔獣と渡り合ってきたのはその世界にあった物を応用しただけ。
そして、バカ女神が俺を転生させるような力を持つ神様ではあるが、本当は馬鹿力なだけで正真正銘の馬鹿だということ、さらにそこのバカ女神によってこの世界に転生したもの……させられた者が俺以外に沢山いるということを教えた。
「で、ご感想は?」
そう俺に質問するものを全て言い終わったイザベルとアリアはお互いを見た後に口にした。
「ただの人間だね」
ですよねぇ。異世界から転生してきたただの一般人が異世界にきたとしてもただの一般人でしかないのは目に見えていることだ。
ん? ゾンビモードで生きているとか言ってないのだって?
もちろん言っていない。なぜなら生き返るだけであってももしかしたら俺が知らないことが眠っているかもしれないからだ。つまるところ俺の体は俺自身がわかっていないためにアリア達に教えていないってことだ。お分かり?
「まぁ、そんなわけだ。転生していたとしてもただの人間なので、そこのところよろしく」
よくて元いた世界の知識のほんの少しをこっちに持って来たくらいだけどね。
「でも、私が知らないところで高度な文明で栄えている国があるなんてしらなかったわ。もし行けるなら社会見学で行って見たいくらい」
あははー。おそらくアリアが俺の世界に来たらモデルか何かに見間違えられるだろう。
というよりなんでこの世界にはレベルの高い女しかいないんだろう。それが一番気になる。
「で、一応今後のことなんだけど」
手を上げて意見を述べようとする俺をみんなが見た。
「まず第一に優先することは死体の傷から魔素が見当たるか見当たらないかの確認。それが第一条件だ。それをイザベルが至急やること」
「はいですの」
イザベルが返事をする。イザベルが言うには死体に魔素が確認できなければ、その傷をつけた奴はスロープではなく、他の誰かだということになるらしい。
「アイは俺と一緒に行動をする」
「かしこまりました」
現時点で最大戦闘力になるアイを遊撃隊長にしてもいいだろう。
「それでルーナ。お前は宿で待機」
「……うん」
元気ないな。と俺はルーナを見ているとおそらくルーナは私だけ動かなくて申し訳ないと言う気持ちなのだろうか。
元気なく頷くルーナの頭をくしゃくしゃと撫でた。
「大丈夫だ。きっとうまくいく」
「そうですよ。ミチナシ様が嘘をついたことはありません」
アイが自慢気に俺のフォローをするが、ちょっとずれているような気がしなくもない。
「ベル、ルーナのそばにいてやってくれ」
「わかったわ! 外に連れて遊べばいいのね!」
「そんなボケいらないし今外に出て遊んでいたら本気でぶっ飛ばすぞ」
よくこんな状況でそんなこと言えるな。お前。
「アリア陛下はあの頭の硬い奴らに一泡吹かせるために頑張ってくれ。辛い役目だろうが……」
「この立場になってからもう何年も経つわ。それくらい造作もないわ」
頼もしいお言葉でなによりです。陛下。
そういえば彼女の年齢を聞いていなかったな。
「……ちなみにアリア陛下。今年で?」
「十八になるわ」
俺より年下かぁ。やっぱりそうだとは思っていた。
あの後は解散し、それぞれが目的を持って行動することになった。
アリアは王城に残り、イザベルはここ最近起きた事件の検死に同胞を何人か連れて死体安置所へと赴く。
俺たちはとりあえずルーナとベルを宿に送るために西側から東側へと移動していた。
「ミチナシお兄ちゃんまだ怒ってる?」
隣に並んで歩くルーナをみるかぎり様子を見ているのだろう。
「怒ってる」
「そっか……」
しおらしいな。俺は頭を撫でた。
「嘘だよ。ずっと怒っていたらルーナが悲しい顔をしてるし、それにそんな顔ずっとしていると皺ができて老けるぞ」
だから気にするな。とルーナにいう。
「あっらー。アイさんアイさん、見ましたか? あのキザな言い方。まー、よくあんなこと言えるわね」
後ろでそのやりとりを聞いていたベルがちゃちゃを入れてくる。
嫌そうな顔をベルに向けると先ほどの表情を引っ込ませると微笑んできた。
「過保護だね」
「過保護?」
俺が? と思っているとアイが顔を縦に揺らした。
「正直、ルーナ様に対して甘いと思います」
「……まぁ、たしかにそうかもしれないな」
実際こんな俺に対して好きといってくるやつなんてルーナくらいだろう。ベルはあくまで相棒かそれ以下だし、アイはメイドだから主従関係に近いかもしれない。
「アイ、これはあれよ。賭けをしましょうか」
「子どもができるかできないか。ですか? ベル様」
おい、俺らを置いて話を進めるな。ルーナはルーナで顔を赤くして、ミチナシお兄ちゃんの赤ちゃん……! とつぶやいているし。ひっちゃかめっちゃかだ。
「いやいや、子どもが何人できるかの方が建設的だと思わない?」
「いい加減にしろ」
ベルの頭にげんこつを落とした。頭を抑え痛みに耐えた後炎のように感情が爆発する。
「いったいじゃない!」
「そりゃ痛くしてるからだ」
じゃなきゃげんこつなんか落とさない。
「でも、実際どうなのよ。ミチナシ、あんたはルーナのことどう思ってるの」
それ本人の目の前で言いますかね? この神は。
それに興味津々のルーナさんの視線に僕は目をそらすしかできなかった。
「お兄ちゃん、何人作る?」
「何人もつくらねぇよ。俺は……まだわからない」
脱力し、諦めた。答えにもならないその答えにみんなは、はぁ? という顔をした。
「だって仕方ないだろう! 女性と付き合ったこともない僕にそんなこと聞いても……いやでもみんな綺麗で可愛いし、なんていうかこう、魅力的ではあるけど……」
「ならそれでいいじゃない」
ベルが言った。
「美人な奥さんで可愛い子供がいて、素敵な家族を作る。それ以上に幸せなことってあるの?」
「……わからない」
俺はただそうやってわかっているつもりをわかっていないふりをして生きてきた。
答えを出すのが怖かった。
「だから今はまだ仲間でいたい」
苦し紛れだった。それ以上もない。
「そっかならいいんだよ?」
「え?」
ルーナがニコニコと笑いながら俺の発言を咎めなかった。
「だってまだなんでしょ? ならいつか考えてくれるってことだよね?」
そういわれてしまえばそうかもしれない。
「そうだけど……」
「ならいくらでもまつよ。伊達に長く生きてないよ?」
そうだったな。俺はまだ二十歳くらいで彼女は二十五倍も長く生きてる。
「恐れ入りました」
近いうち、俺はこの問題に携わらなければならないんだろうな、と心に刻みつけた。




