あの時は若かったんだ
「ようこそギルドへ!」
びっじーんなおねーさんが現れた!
無職の行止の攻撃!
「はぁい! 身寄りのない一般男性がギルドに来たので冒険者始めます!」
「ヨロコンデー!」
え、何このノリ。
場所はギルド。いや、どっちかというと集会所みたいなところなんだけど、いろんな人がいるのよね。居酒屋も併設されていてなんか厳ついおっさんがたくさんいる。名誉の負傷と言わんばかりの右目に三つの引っかき傷や、腕に刻まれた傷の痕とか。絶対あそこカタギの仕事してねーよ。ギルドもカタギとは言いがたいけどさ。まぁ、そのおっさん連中が真昼間からお酒飲みやがって。いや羨ましい。
ギルドのねーちゃんが書類その他もろもろを持って来た。
「ではこちらの用紙にお名前とご住所をお願いします」
「え、住所?」
「えぇ、住所です。もし、冒険者様が死んでしまった場合、住所のところへ持っていかなければなりません」
えぇ…一発目から出鼻挫かれたよ。そういや今どこが家なのかわからないじゃん。住所変更してくれたあの美少女はどこといってなかったな……なに俺って現在住所不定無職の行止さんなんですか? 昔の住所使ってもいいのかな。
「おい、兄ちゃん。お前がくるところじゃねーぞ」
「兄ちゃんは土木工事をしていた方がお似合いだぜー!」
ヤジが飛んでくる。おいしそうなお酒飲んでいる。俺と同じくらいの体系の兄ちゃんだった。まだ新米って感じの冒険者っぽい感じ。
これが冒険者の洗礼なのか? いや、面白いじゃないか!
「ふん。こんな昼間からクエストも受けずにお酒飲んでいると飛んだクソザコだな!」
「なんだと!?」
いや、順応してくれる感あって俺大好き。兄ちゃん改め、モブががたんと椅子を倒してこっちに来る。何あれですか? 俺めっちゃ強いところ見せれるところですかね! ヨーシ俺頑張っちゃうからね! 全然怖気ない俺にいら立ちを覚えたヤジを飛ばしたモブ。
「てめぇさっきから調子乗りやがって」
「てめぇらなんか赤子の手首をひねるよりも簡単に倒してやんよ。かかって来な」
はい。惨敗です。
あっれぇ。俺転生して超つえー。やっべ、あっやっべ! っていうところじゃなかったの? 場所はギルドの裏にあるごみ置き場だ。くそ臭いところにすてやがって。後であいつの尻に異物を仕込んでやる。
「あっれえ! 男の人がごみ置き場に捨てられているぞ!」
「しっ! みちゃいけません!」
……悔しくねえし!
そのあと、ギルドにまた入りギルド入会しました。はい。
住所? でっち上げたぜ!
とりあえずお金がない。
そうお金がないということはすなわち【死】である。そうなんです。飲めない食えない住むところないという状況は完全にあれなんです。
人間として終わってます。
ギルドのねーちゃんにはなしかけた!
「いいクエストありませんか!」
「ヨロコンデー!」
いやだからそのノリってなんなの? いやかわいいけどさ。よく見るとおっぱい大きいしさ、谷間いいな。もみたい。
じゃなくて!
「ならまずは魔物の掃討とかどうですか?」
「え。一発目からひどくない?」
「何を言っているのですか! 魔物掃討は最初の冒険者のやるべきことですよ!」
えー、そうなの? どこかのゲームではまずはちみつ集めてとか、鹿の角あつめてとかじゃないの? 一発目から鳥龍をたおせとかきつくね?
「パーティは参加者全員なので大丈夫ですよ! そこは助け合いです」
「あー、結構優しいのね」
まぁ、赤信号、みんなで渡れば怖くない。ともいうし、集団の暴力でやれば倒せるだろう。
と思っていた時期がありました。