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好きってなんだろう?

「わぁ……こんなに良いの?」

「良いなというより、妥当になるのかな」


ホットパンツの件もあるし……いやそこじゃねぇよ。

ルーナの服装を仕立て終わる。

タイトルをつけるのならば、イカした魔法剣士だ。魔法を使って牽制しつつも自前の剣さばきと機動力で錯乱等させる。そうなってほしいという俺の願いだが。

あの後実際に両刃の剣を持たせて振るわせたのだが、全然使えなかった。「やー!」と気合だけは十分で、剣に振り回されるような状態。やはりルスお姉ちゃんより弱いというのは人間の尺度で言ったものなのか……いや待て、ルスが人間の尺度なのか疑問になる。

重くて振れないことがわかった時点でナイフ系統になるのだが、本人が「長いやつがいい!」と駄々をこねたのでカロンに何かないかを聞くと、長さが八十センチほどで、黒い刀身を有した刀のようなものを持って来た。それが妙に軽く振りやすいということでルーナの武器になった。成り行きである。

機動力も甲冑が多いと重くて扱いにくいと懸念したので、最低限の防具しかつけていない。


「ルーナちゃん、かっこいい。なんかミチナシよりミチナシっぽい」

「それ褒め言葉なんだろうけど俺からしたらスッゲェ腹立つ」


ミチナシよりミチナシっぽいっていう表現なんなんだよ。どういう意味だ? きっと冒険者っぽいってことだろう。


「ベルにも武器は用意したがこれを使う日があるのかどうかだな」

「あっても使わないと思うわ!」

「自慢して言えないからな。それ」


ベルには大型の剣を持たせた。本人が使わないと豪語しているが仮想敵をつくるならば尻尾の長い魔物か、細い足を持つ魔物だ。その二つはどちらも敵に回すとめんどくさいという点がある。尻尾が長ければ攻撃範囲も広くなり、尻尾は鞭のように体を叩きつけてくる。細い足というと大体は身軽な魔物のため、細い足を大剣で切れば機動力は削がことができる。

なぜベルにそんな役目かというと。やはり神として(?)の力を最大限に使った不意打ちをさせるためである。石ころ帽子ってやつですよ。

まぁ、そんなチャンスを(こいつ)は無視をするのだろうけど。

そして俺は鈍色の大きな盾と、安価な片手剣。そして緑のバックパックだ。

そのどっしりとした姿に冒険者と言う感じの服にアンバランスさを感じる。

いやさ、盾役という前衛が必要じゃん? そして生還者というゾンビモードの能力があるから実質盾が変わらない限り生きた盾じゃん?

バックパックの中は革製の幅の広い紐で、色々と詰め込んでいくけど……。

ぼてっとしたその格好にルーナが心配そうな顔をする。というより呆れているような、笑っているような。


「……ミチナシお兄ちゃん」

「いうな」


そう、大きな盾と片手剣、そしてバックパック。全然似合ってない。というより前にベルがしでかしたルーナのダサい服より色合いやら何やらが酷いと思う。

ベルはじっと俺を見ている。下から、上に、目だけではなく首でわざとらしく。

そして息を吐き出した。


「ださ」

「……っ!」


俺が思っていたことを言うんじゃねぇぇぇぇぇぇぇ!

心が折れた音が聞こえた。




「明日クエストに行く?」

「やっとクエストに行ける!」

「えー、めんどくさ」


おい、一人クエスト行かないの? って言ってたやつがめんどくさいって言ったぞ?

夜になるとギルドはギルド内で経営している酒場を外まで伸ばす。それはギルドの前にある広場を丸々使うのだ。

最初こそ、その広さにたくさんの人々が酒を煽ったり笑ったりしているのをみて圧巻の一言だったが、今となってはタストにきて一ヶ月ほど。もう慣れてしまっていた。

が、若干一名はそうでもないらしい。「すごい。こんな人間のお祭りがあるなんて」と初めてここに連れてきた時、感動をしていた。そして今でも何度も感動をしている。


「ミチナシお兄ちゃん! 私! お肉食べたい!」

「いいけどちゃんとみんなでわけるからな」

「はーい!」

「あ、じゃあ私お酒飲みたいな」

「仕方ないな。じゃあ俺の分も買ってきてくれたら買ってもいいぞ」


やったぜ。と言わんばかりにベルは俺から三枚銀貨を奪うように受け取るとギルドの中へと走っていった。

溜息をつきながら俺はルーナと一緒に露店のソフトドリンクを買い、ルーナに渡す。その後肉料理などを囲むためにテーブルの確保をする。俺は席に着くと頬杖をついて溜息をついた。


「あと、ベルが帰ってくるのを待つだけか」

「ミチナシお兄ちゃん」


ん? と返事をするとルーナは飲み物を一口飲んでから口を開いた、


「今日は本当にありがとう」

「どういたしまして」

「大好き」

「ぶっ!」


思わず吹き出した。ルーナは心配する顔で近づいてくるが、俺は少し離れるように動いた。


「お兄ちゃん大丈夫?」

「ゲホッゲホッ…あんのなぁ! そういうのはここでいうことじゃないだろう!」


最近ルーナからこのように直球勝負で告白を受ける。


「でも、お兄ちゃん。最近遠慮がちな感じがするし、避けてるというか」

「当たり前だろう! まっすぐに言われたらこっちもどう答えていいかわからないんだよ」


正直なところ、ルーナと一定の距離を取っている。理由は様々だが、主な理由として。


「大体お兄ちゃんと言われ続けると、なんか異性としてではなくて兄妹のように感じてしまうんだよなぁ」


問題はそこだった。

ルーナのいう好意とは、兄妹同士で持つ兄妹愛なのか、異性として見ている恋愛なのか。はっきりとしてこない。


「個はお兄ちゃんのこと好きだよ」

「……わからん」


ましてや本人のいう好きというのがどこに属しているのか、ルーナ本人がわかっていないのだ。天然キャラはめんどくさいとゲームでも、小説でも言われているがこういう事なのか。


「唐変木って言われる人になってみたい」


心からそう思った。

しばらくした後にベルが肉料理と、ジョッキにお酒を注いで持ってきた。


「ただいまー」

「ベルお姉ちゃんおかえり」

「……」

「ミチナシ顔が赤いけど、何か飲んだの?」

「別に……」


俺はそう返すしかできなかった。

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