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prologue
ーー、刺し貫け。
ーー、それが、創造者が口にした最初の言葉だった。
聖ゲルニゲルスが羊皮紙の最後のページに文字を刻んだ直後、その書はトルーマ兵に没収された。法王は、そのあまりにも過激な内容に舌を巻き、罪人を火刑にせよと命じた。もちろん、焚書についての命令も怠ることはなかった。
火に焼かれながら、十字架の聖ゲルニゲルスは狂人のように叫び続けた。
ーー、刺し貫け!
ーー、それが、創造者が最初に口にした言葉だった!
肉が焼ける臭いがする。全身を焼かれ断末魔の叫び声が街中に響くのを、一人の少年はじっと目を凝らして見ていた。
その数日後、創造者は怒りをもってその街を破壊した。微塵もなく。人々はそれを〈イカヅチ〉と呼んだ。しかしなぜか、聖ゲルニゲルスの十字架に一本の聖槍が残されたことは、人口に膾炙することはなかった。