表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/112

その3

 一限目の授業が終わって休憩しているところで俺たちは再びテレパシー会議を行っていた。


(なんか俺も普通にステータス確認使えた件について)

『俺も神様からそういう能力もらってないのに使えたわ』

『へえ、実は分かれる前から俺たちにはステータスを確認する力があったのかもしれないな! まあ、それはないけど』

『ないな』


 もしそうだったら中学二年生の時にとっくに俺はステータスを確認出来ていたはずである。

 よって、もともとあったというわけではないだろう。

 ちなみにステータスを確認したところ名前だとか年齢だとか種族だとかが判明したが、力だとか素早さだとかいう数値は表示されなかったし、能力だって別に記載はされていなかった。

 聞いた話だと、エージやビージのほうのステータスはもっと詳細が表記されていたようなので、このステータス確認を行使した世界の違いが影響しているのかもしれない。


(これ、完全にビージが使えるようになったからだよな)

『意識も分かれてるのに能力は共有ってか? あ、じゃあ雄二さ、気持ちしたいって程度におしっこしたくなれって念じてみてくれよ』


 どうやらビージが使えるようになった能力が俺も使えるようになったようで、それを聞いたエージがわけのわからぬことを提案してきた。

 まあ、俺のいうことなのでそれにしたがって、ほんの少しおしっこしたくなーれと念じてみれば、本当に微妙に尿意が湧いてきた。

 それから尿意ひっこめと念じればあっさり消える。


(おい……エージ、お前自称神脅してどんな能力得たんだ?)

『尿便意コントロール』

(は?)

『尿便意コントロール。おしっこしたい、うんちしたいっていう感覚を操作する能力。もちろん他人にも使用可』


 脅迫してまで得た能力がそれってお前……。

 いや、印象とは裏腹に超強力な能力だってのは分かるけどね。

 何よりもトイレに行きたくなるほどの便意を与えれば、どんな相手でも勝てるだろうし。

 でも尿便意コントロールってお前……普通思いついてもいざ実際にチャンスがあったらそんな能力望まねえだろ。

 ほんとマジ最高かよ。


『神様も爆笑してたよ。ああ、実際は悪魔だったんだけどさ。脅し始めはそらもう機嫌悪かったけど欲しい能力告げたらもう大爆笑で喜んで望み通りの能力くれたわ』

『やばい、今お姫様からこれからどう動いていくか詳しい説明を受けてたんだけど、思わずその能力使って急な尿意に赤面してモジモジしながら我慢してるお姫様超かわいい』

(外道め!)


 言いつつも俺は目を閉じてビージ視点のビジョンを覗き見る。

 あらカワイイ!

 この能力は用法用量を守って正しくお使いします。


 それにしても能力共有か。

 俺だけ日本に取り残されてショックだったが、これならかなり楽しいことになりそうである。

 まあ、人にバレないようにこっそりと一人楽しむ程度でやらないとダメだろうけどそれで十分だ。


(ところでエージが尿便意コントロールっていう能力を得たなら、ビージはなんか特殊な能力は得てるのか?)

『こっちのステータスにはスキルってのが表記されているんだが、「成長補正」「言語理解」「無限倉庫」があるな。尚、尿便意コントロールはこちらでも記載されてない。さっき使ったように使用は可能らしいが』

『成長速度ちょっぱや系勇者か』


 いいんじゃない?

 俺は最初から主人公最強よりも成長ブースト好きよ。

 でもその前にまずは能力共有の確認だ。

 ということで、倉庫の入り口よー開けーと念じる。

 すると手元に虚空が浮かび上がったので早速消しゴムを入れてから閉じよと念じてみれば虚空は消え去った。

 もう一度使って、今度は虚空の中に手を突っ込む。

 すると倉庫内に何が入っているか脳裏に浮かんできたので、先ほど入れた消しゴムを取り出すように念じてみれば虚空は消え、代わりに消しゴムが手の中に収まっていた。


(やっぱ使えるわ)

『お、俺も使えた。勇者の剣ゲットだぜ』

『は、中身共有かよ!? つか、返せ!』


 使えたことを報告すればエージも早速試したようでビージと仲良く争っている。

 確かに先ほど脳裏に浮かんできたリストには消しゴム以外のものもたくさんあったが、まさか普通に取り出せるとはな。

 入っていたのは勇者ビージに与えられた装備類で、現代日本在住の俺には不要の代物だが。


 でもポーションとか、回復薬とかあったら欲しいな。

 怪我も病気も飲むだけで回復とか最高だ。

 っと、そんなやり取りをしている間に休み時間も終わりか。


(そろそろ次の授業始まるから会議終了で)

『そうか、こっちもそろそろサバイバル始まりそうだ』

『こっちも力を身に付けるための訓練をするだとさ。次はまた授業終わってから?』

(いや、余程のことがない限りは夜に纏めて報告としよう)

『『イェッサー』』


 そうしてテレパシーを切る。

 このテレパシーも大分慣れてきたもんだな。

 つか、エージは最後に気になることを言い残していったな。

 サバイバルか。

 そして、集団転移であるわけで。

 こりゃ、共同生活でも各自ランダムスタートでも殺し合いの展開だな。

 エージ、頑張れー。


 まあ、正直他人事である。

 とりあえず久しぶりに休み時間を人と会話して過ごしたことに満足感を得つつ、目下の敵である英語の授業へと挑むことにしよう。

 そう覚悟して俺は英語の授業に挑んだのだが……。


 すげえ!

 ビージの得た言語理解スキルまじすげえ!

 即座に何が書かれているのか分かる!

 しかも何だろうか。

 ただ、スキルで分かるだけじゃない。

 授業を聞いていくうちにスキル関係なくスムーズに英語の文法とか理解できてる感じがする。

 そういえば一限のときもいつもよりもずっとスムーズに理解できたな?

 勇者の力ってすげー!

 あと、尿意我慢しながら問題を解く笹倉さん超可愛い!

 異世界の能力素晴らしすぎるぜ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ