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浪人詩集  作者: 屯田水鏡
45/48

浪人詩集(45)

浪人詩集(45)


148・蝙蝠傘をさして


蝙蝠傘を指して、静かな六月の海を散歩すると、クリーム色の砂浜が、半円を描きながら、向うの島まで続いている、それは陸繋島というものらしい、静かな雨が、青みがかった緑の海に、じょぼじょぼと降って、まるで、海が鳥肌立てて、何かを呟いているようだ、砂浜に裸足の足跡を残して歩く、波が騒いで一陣の風が吹くと、海は鮮やかな金色となって光り、日輪が深い雲間から顔を出す、僕はとりあえず、あの島まで歩いて行こう、あの島から、この国の歴史の曙の証拠、金印が発見された、いやいや、この世が始まった、46億年の歴史を踏みしめながら、僕はこの美しい砂浜を、鳴き砂を伴って歩くのだ。


149.大銀河の中心に


大銀河の中心に、そして、全宇宙の王座にあった、我らの地球は

今や遠く、最果てに葬り去られ、哀しくも空しい緑の光を鈍く放ちながら、黙々として多くを語らない、見よ、生き生きと黄道を馳せ巡り、冷笑の渦を投げかける、あの日輪でさえも、銀河の一分子にしか過ぎないのだ、然して、

われらの地球は一言もかたらない、なぜなら、そは、稲妻の如く、一瞬にして起こる、宇宙の死を、占うからである、例え、マゼラン星雲の外まで弾き飛ばされようとも、我らの地球は本当の死と生の始動を念じるのである。


150.旅を行く


燦燦、輝る日もありました、汗をさらさら流しては、岡で蝶々を追いました

てんてる月夜もありました、線香花火に見とれては秋の小道を行きました

ぐんぐん伸びる杉の木に背の高さを刻みつつ、私は大人になりました

時の流れを拒んでも、雲は流れて行きました、山の高さを恨みつつ、

一歩も進めぬ我が身を思う、悲しみを掌に乗せてなめてみて、夢の渇きを

知りました、自然は無限に疼きます、人は世界に生きるもの、夜の暗さに

紛れては、月の光を逃げ惑う、思いで尽きぬ故郷を、僕は一人で後にした


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