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浪人詩集  作者: 屯田水鏡
44/48

浪人詩集(44)

浪人詩集(44)


144.喘息の僕がタバコを吸うと


何とも言いようのないもやもやの中を散歩していたら一本の松の木があった、煙を胸の奥深く吸い込んで一息に吹きだすと、一瞬、真空の世界に落ち込んだ

頭の中がキーンと唸って、くらくらと松の木に片手で寄りかかった、肩で大きく三つばかり息をして、静かに目を閉じ、自分自身が戻るのを待った、さらに次の煙草を飲み込むと底知れぬすり鉢の中に滑り落ちる感覚が何度も僕を襲う、言い知れぬ衝撃を繰り返すうちに、満足感と同時に死の恐怖を同時に味わった、これが最初に感じた煙草に関する感想である、今では日にひと箱は軽くスパスパやってしまう、それが良いのか悪いのか、確かに悪いには違いない、命を煙草で縮めながら繋いでいくのだ、なぜタバコを止めきれない、そこが人間の弱さか、私の魂の脆弱さか、自分は人よりも優れていると自負して、その実は劣っている人間がいる、私もその中の一人なのであろうか、こうして文章を綴っていても一時だって煙草をその指から離さない、情けないが事実だから仕方がない、仕方がないで話がすめば、問題は簡単であるが仕方がないでは済まないから本人は苦しんでいる、煙草のために一人の人間が弄ばれている、全くおかしな話だ。


※今は煙草と縁を切っている、ある時煙草の煙を美味く感じなくなった、それが止めた切っ掛けである。


145.何もすることが無い


夜の暗さに耐えかねて、一人煙草に火を付けりゃ、駄目な野郎と風がいう


何もすることが無い、本当は沢山あるのに

何もすることが出来ない、本当は沢山あるのに

面白くない、けれどもそんなところが面白い

若さの浪費、そんなところが面白い

面白くて、面白くてたまらない、ああ、本当に嫌になる

煙の中で、いくら考えても何になる

ロマンチシズムとナチュラリズム、でもそれが何になる

君にも僕にも分らない、海に出て、風に吹かれて、何になる

かもめが揺れている、かもめが揺れている

ポンポンとなる膨れた胃になった時、安らぎがそこにある

空を見ても、海を見ても、山を見ても

へ、何になる、へ、何になる、一円にもならない


街の片隅を吹き抜ける白い風はしっている

君の心に広がる夢は小さなガラスで編んだ雲

でも、真っ黒なカラスで一杯だ


146.風に吹かれて


風に吹かれて流離う雲は何を念じて旅ゆくや

月日の流れのごと、水の流れのごと、止めどなく止めどなく流れゆく

ああ、風よ雲よ空よ

汝らは青春の思い出、汝らは青春のひとこま

我が身は一かけらの骨となろうとも

汝らは止めどなく故郷の空を流れる

汝らは青春のひとこま、そして、私の生きた証拠あかし

大空にカモメが揺れている、カモメが揺れている


147.西部の伊達男


これから書こうとする、小説や詩の題名を考えよう、ストーリーは後でじっくり考えることにする。


月夜の七面鳥、月夜の丸木橋、月を飛び越えて、荒野の一匹鴉、泣かずに笑え、クラゲの骨、先生のムチ、涙を吹き飛ばせ、毛虫の散歩道、子どもの海、雪の山脈、飛べ三太、銀色の海、雨太郎と風之進、太平洋の五月、涙の玄界灘、足一本と腕三本、二児の鴉、白いカラス、いたずらの天才、天子のなぞなぞ、神様のひげ、羽の無いカラス、勝つか負けるか、泣くな兄ちゃん、キツネとぺんぺん草、明日の北極星、とうふの骨、フカと珈琲、マンボウ、ドクターツクリントン、真昼の懐中電灯、懐中ランプ、ネジの無い時計、意地悪時計、天狗の花嫁、空の無い町、青空、真夜中の赤トンボ、トンボとエンバの秘密、イタチのしっぽ、モグラのいも吉三度笠、蛸には骨があるか、泥棒のプレゼント、フグとモーターボート、タヌキの腹巻、吹雪の峠、雪の散歩道、クックと笑うツクシの話、大噴火、白馬、カレイとヒラメ、カエルのクロウル、ザリガニ合戦、一陣の風、木枯らし、子猫のダンス、砂糖を食べ過ぎて虫歯になった犬の話、虹を掛ける為に、死んでも生きろ、朽ちかけた橋、イモカリントン、闇夜のつるし柿、煙の出ない煙草、梅干しとたけのこ、虹の掛かった海、ガラスの世界、首の無いセーターの恐怖、月夜の漁火、真昼のえんどう豆、真夜中の豆腐、大草原の雨蛙、白夜のいたち、恐怖のイモガリントウ、タヌキの鼓笛隊、空飛ぶへちま、空駆けるにわとり、闇夜の子泣きじじい、星空の時計台、夕焼けのひとみやぐら、心に虹と灯を、ススキが原の決闘、神様のおなら、虹と柱時計、じいさん山の影法師、毛虫の散歩道、三太と山びこ、毛虫とフンコロガシ


ところで、子どもの頃、「西部の伊達男」と言う映画を見た、アメリカの西部にはどんなイタチがいるのかと思いながら見たが、結局、イタチは登場しなかったのでずっと疑問に思っていた。恥ずかしながら、あれを「西部のダテオトコ」と読むと知ったのは二十歳をとうに過ぎた頃であった。


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