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浪人詩集  作者: 屯田水鏡
39/48

浪人詩集(39)


浪人詩集(39)


130.ABC


A 君はそれで良いと思うのかい?


B はい、他にどうしろと言うんですかい。


A 僕は、本当はCに生まれて来る筈だったんだよ。


B とんでもない、Cなんて下の下ですよ。


A でも、僕も君もCに食べられちまうんだだぜ。


B ええ、それは少し、口惜しい気もしますがね、でも、良いじゃありませんか、それはそれで、今回から電気だそうですから、かなり楽ですぜ。


A そりゃ、そうさな、前回までは鉈だったからな、あれは見ている方がたまらん。


C 君たち、時間ですぜ。


A おい、Bさん、時間だとさ。おや、なぜ振るえているのだね。


B いやなに、そういうお前さんだって震えていますぜ。


A 今度は何に生まれてこようか?


B 生まれたかないですよあっしは。


A 仕方がない、行くか。


B 待ってくれ、震えて足が動かない。


A じゃあ、先に行きますぜ。


B ちょっと待って、一緒に行きますから。待ってください、後生ですから・・・ああ、足が震える、口が震える、体全体が震える。なんてあっしは、こんなにだらしがないのだろう。さっきまで、あんなに穏やかだったのに。


C おい何をしているんだね、お前さんたち。時間を守らなくちゃいかんじゃないか。


A とうとう来ちまいましたね。何だここは、いやにピカピカ光る鉄板が貼ってあるなあ。


B ほら、電気が流れだした。足がびりびり痺れて来やがった。


A アハハハ、Bさん、あんたの毛は全部ピンと立ってしまいましたぜ。


B アハハハ、お前さんのも立っていますぜ。


A イタタタ、足がしびれる、頭もガンガンしてきやがった。


B もう少しの辛抱ですぜ、もう少しの。それにしてもくるしい。心臓が破れそうだ。ああ、苦しい、苦しい、助けてくれ。お袋も親父もおいらも結局は皆死んじまう。苦しいよ、Aさん、何か歌でも歌って下さいよ。


A ああ、よしきた、生きる死ぬのとくよくよするな。くよくよするときゃ、よくよくのこと、あるにまかせて飲む酒は、ない銭、はたいて買ったもの、やあ、ちょいなちょいな・・・


A 豚

B 牛

C 人間


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