浪人詩集(34)
浪人詩集(34)
118.桜集
明日の命も知らぬ間に
桜悲しや七分咲き
緑芽を吹くその中に
白き花びら流れゆく
風のちょっかい真に受けて
若き美空に散りゆきて
清き心は汚れなき
御身は我の思い花
ああ汝、ひらひらと
なぜに散りゆく桜花
※この頃の僕は、女性に対して、純潔性とエロチシズムを求めて、
人間としてみようとしない、つまらない奴だと思う。
全てが燃える春
全てが生を帯びる春
心無い土くれさえも、何かしら活気づき
蛙や蛇や色々な虫が
ましてや人間までが
薄暗い場所から、明るい太陽を求めて
のそのそと這い出すのに
なぜ君だけが去らねばならないのか
しかも急に驚くほど素早く
なんの未練もなく
これが本当の春なのか
※失恋の歌に違いない。
真白き蝶の舞う
真白き蝶の舞う
雲の間に
ああ、真白き蝶の舞う
※桜の花びらを、蝶に見立てた?
浮気な風に騙されて
ほろり散りゆく桜花
花びら宙に漂って
ひらひら風は弄ぶ
花びらそっと涙ぐみ
瞳を閉じて風を待つ
風はひらひら弄び
むこどの気取りでちちくって
ポイと野原に捨ててった。
花びらそっと眼を押さえ
涙こらえて空を見る
空には無情の風が舞い
花びら幾つも飛んでくる
花の命は悲しくも
清き乙女の桜花
※学生時代の僕は女性について、この詩のようなイメージを持っていた。
女性の実態はそんなものではなく、もっと強く、いや、とんでもなく強く逞しいものであるということを、僕は僕の嫁さんから教えられた。