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浪人詩集  作者: 屯田水鏡
33/48

浪人詩集(33)

浪人詩集(33)


117.キンキン


いつからか、頭の中がキンキンと鳴りだした

どうしてなるのか私にも分からない

どうしたら静かになるのか

自分の頭でいて、他人の頭のような、変な具合だ

眠ろうとすると途端に大きく鳴り出す

まったくあまのじゃくだな

外は春の風がビュービュー吹いている

僕の頭の中ではキンキンと何かが鳴いている

いったい鈴虫でもいるのかな

でも何か怖いみたいな気もする

自分が自分でないようなもうすぐ死んで行くような

騒々しい寂しさが何となく感じられる

いやもっと楽しいことなのかもしれない

今はキンキンと鉄をこすりつけるような音だけど

春が過ぎ、近づけば美しい澄んだ音になるのかな

例えばチリンチリンと鳴き出すのかも知れない

そして何匹かのコオロギと鈴虫が出て来て

目の前で楽しい合唱会を開いてくれるかな

そうだおまけに風鈴も出て来るかな

ああ、キリギリスもバッタもみんなみんな出て来るかな

その時はきっと夏の夜に違いない、そうだ、真夏の夜の演奏会だ

おーい、みんな集まれよ、でも待てよ、そうしたら僕の頭の中は

静かな静かなとても寂しい死人の世界になっちまいそうだ

でも静かでいいや

春の風は松の木を揺すって、窓ガラスをいじめて

ビユービユー吹いている


※どういう心境だったのか不明。


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