表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
浪人詩集  作者: 屯田水鏡
22/48

浪人詩集(22)

浪人詩集(22)


87.風は


風はぴゅーぴゅー吹き荒れて

枯れ草どっと波打った

風はびゅーびゅー大暴れ

これでもか、これでもか

わしは、世界の王様じゃ

鳥も草木も吹き飛ばせ

どっさどっさと吹き飛ばせ

かぜはぴゅーぴゅうー、ざっざっざー

頭かがめたつくしの子、負けてなるかと呟いて

奥歯、かちりと噛みしめた


※どうやら、諦めと決心がついたようだ。


88.二頭の鹿


二頭の鹿が、雪の谷間を駆けて行く、南をさして、駆けて行く

風はヒューヒュー舞飛んで、吹雪となって、襲い来る

身体を寄せ合う二頭の鹿は、何にも云わずにただ走る

何のために走るのか、何を信じて走るのか

おお、ひた向きな鹿たちよ

二頭の鹿が、雪の谷間を駆けて行く、南をさして、駆けて行く

行き着くところが、墓場でも、体を寄せ合う、二頭の鹿は

何も言わずにただ、ただ、走り、吹雪の中に消えて行く


※どうやら、失敗しても、悔やんでも仕方ないから、この先も

何とか、生きていこうと、いう決心が窺えるようだ。


89.雑の雑の雑


私は、全ての力を出し尽くしたと思った

しかし、それは、大きな誤りであった

私の頭脳は、一部しか活動をしてはいなかった

才能をフルに活用できる人は天才である

人はとかく運に頼りがちである

今の世は、運即実力なのかもしれない

でもそれではあまりに空しい

私は全ての人に、まんべんなく実力を発揮できる場を提供したい

しかしそれは、多分、不可能、ならばどうすればいい

人から野心を除けばもう人ではない

それは悲しい真実なのか、真実って何?


※ここで僕の三年間の浪人生活が終了している。

この最後の文章はあまりにもひどい出来だ、恐らく最悪。

しかも、何を言おうとしているのか、見当も付かない。さらに、

88.で諦めと決心が読み取れたが、ここでまた、後悔と口惜しさが

見え見えである。どうやら、私は、あきらめの悪い人間らしい。

言い換えれば、負けず嫌いらしい。ならば、もっと努力をしろよ。ところが、努力というものは、分かっていてもなかなか実践できないものなのだ。更に言い換えれば、努力をしなければ殺されるとか生きていけないとか、そういった状況に置かれてはいなかったのである。考えてみれば、それだけ、幸せな時を過ごしたのだと言える。三年間の浪人生活が、厳密に言えば、その間、しばらく鉄工所に就職をしたのだが、僕は成長したのだろうか、得るものがあったのだろうか。

成長したのかも知れない、得るものがあったのかも知れない、成長も得るものも無かったかもしれない。だが、その三年間は確かに僕の人生の一部となった。失敗体験を多く繰り返して、成功体験は殆ど無かった。僕は、その先の人生においても、多くの失敗経験をすることになるのだが、同時に数少ない成功体験もすることになる。

この後、僕は大学生になるのだが、あまり、真面目で優秀な大学生にはならなかった。それを、相も変わらず、大学ノートに、綴り続けている。

そこで、大学生となった以後に書き綴ったものも浪人詩集の続きとしたい

と思う次第である。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ