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浪人詩集  作者: 屯田水鏡
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浪人詩集(20)

浪人詩集(20)


74.一本の煙草から


一本の煙草から、虹色の煙が広がって

そこに、少女が一人、椅子に掛けていました

手を膝の上で組んで、その愛くるしい大きな瞳はどこか遠くを見ていました

どこから来たのと尋ねると、黙って窓越しに空を指さしました

空は真っ暗でした、彼女は立ち上がって、大きく背伸びをすると

くるくると回って、ワルツを踊り出しました

でも僕には、彼女の横顔しか見えません

二本目の煙草から、今度はお爺さんが出て来ました

イレーネ、時間ですよ、お爺さんが何か言うと

二人とも煙に乗って消えてしまいました

良く見ると、そこには、ルノアールの絵の複写が一枚ありました


※多分この頃、美術館で、ルニアール展を見たのでしょう

その時、イレーネの肖像を見たのかどうか、記憶にはありません。


75.なんじゃらほい


水色の強い風が吹くと、ピンクの切れ端が、そよそよと飛んで来て

厳しい紫と白をゆっくりと包み始める、かと思うとたちまち天に上り

灰色の空をゆっくりと切り開き、そこから緑の雨が降る


もうすぐ気だるい春が来る、ウグイスよ黙れ、いやだ、いやだ

小鳥たちよ野垂れ死ね、俺は残酷な冬が好きだ

その痺れるような寒さが好きだ

春が何であろうと、ニコチン中毒の俺の頭には

常に空っ風が吹いているから


好きな時に、一発ぶっ放せたら、ああ、何と好かろう

もやもやとしか、言いようのないもやもやを

ぶっ放せたら、何と好かろう

ダイナマイトほどの力は無いにしても


※ぶっ放すというのは、多分、おならのことである。

何だか、やけになっているようだ。この頃、煙草を何本も続けざまに

吸っていたのを思い出した。

今になって、今林斉不飲は思うのです。浪人時代は出来るだけ短く済ますこと、自分の思い描く大学に入学できる人は、ほんの僅かです。そして、有名大学に入ったからといって、人生の勝ち組という訳ではありません。更に、その先には、就職、恋愛、失恋、上司のいじめ、山あり、谷ありです。そのうえ、気が付かないうちに人を傷つけたり、傷ついたり、失敗は数え切れないほどやらかすのです。勉強したくなったら、何歳になっても出来るのです。六十歳を過ぎて、大学に入学する人も多くなりましたよ。人生、死ぬまで、どうなるのか分かりません。僕も第一希望ではない、大学に入学しましたが、そこで、親友といえる友人を何人か見つけました。そして、その友人を介して、今の嫁さんと出会いました。ここで助言です、あなたは、今の嫁さんは第一志望ではなかったなんて、夢にも、思ってはいないでしょうね。あなたの愛する嫁さんは、大学とは違うのです。第一志望に決まっているじゃあありませんか!!

僕は嫁さんにいつも言います、「愛する人は、生涯、あなた一人です」と、

そして、また言います、「俺は、けっして嘘は言いません」と。

すると嫁さんは言います、「馬鹿じゃないの」。


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