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浪人詩集  作者: 屯田水鏡
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浪人詩集(18)


浪人詩集(18)


68.空しく路上を歩く


何がどうしたのか、そんなことは聞くな、ただ、寂しいだけだ

こうして道を歩いていても、心が休まるなんて、期待はしない

ただ、星が見たかっただけなのだ


私は、青と紫が好きだ

妙に悟りきった、あの陶器の色は大嫌いだ

今ならピカソが分かるかもしれない

でも、今は見られない


もうすぐ春が来る

私は冬が嫌いだ

もうすぐ春が来る

私は春が大好きだ

でも、春の花を見るのが怖い

澄んだ青色が欲しい、同時に、何も見えない暗黒が欲しい

耳鳴りがするのは月が明るいせいなのだろうか


森のフクロウは一晩中泣いています

おかしいな、おかしいな、昨日食べたはずなのに


※精神的な疲労の蓄積が見える。この頃から、耳鳴りに

悩まされるようになった。何年も悩まされたが、ある時、

これは、多分、僕の体質なのだろうと思うことにした。

すると、随分、気持ちが楽になった。勿論、耳鳴りが治った

訳ではない。


69.道子


道子とバスに乗ったら、青がピンクになった

髪は長いし、まつげは風にそよぐし、ああ、最高だね

田舎道だけど、緑はいいね、それにね、ここはバラ色だね

もう少ししたら、僕のお嫁さんになるんだね、えくぼが良いね

嫌いだ、嫌いだ、ヤンキーは嫌いだ

道子、大人にならないで、ずっとそのままでいて

道子は、アメリカに行きました

誰か知らない人の、お嫁さんになりました

すれられて、道子は自殺しました

道子は、本当は、僕を好きだったのです

だって、僕の名を呼びながら死んだんだって

嘘つきジムが言ったのです

嫌いだ、嫌いだ、ヤンキーは大嫌いだ


※僕は子どもの頃、米軍基地の近くに住んでいたので、ヤンキーは

嫌いだった。紅毛碧眼の族め、とか、毛唐めとか言っていた。

だが、チューインガムとかチョコレートは貰っていた。


70.天女


キラキラ光る星空を見ていたら

金色の星から、花の冠をした

紅いほっぺの天女がひらひらと下りて来て目に前で

駆けたり、踊ったりしたあとで、にっこり笑って

優しい声で、故郷の歌をうたいました

とても優雅だったので、手を叩きながら見ていますと

とうとう夜が明けてしまいました

良く見ると、自動車にはねられて死んだ、スピッツが

血へど吐をはいて、雪の上で死んでいました

嘘つき小僧がそう言っていました


※嘘つきだれだれという表現にこの頃凝っているようだ


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