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浪人詩集  作者: 屯田水鏡
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浪人詩集(12)

浪人詩集(12)


52.短歌AND俳句


寄りかかる、柱を亡くせし、若者は

星の無き夜の、空をのみ見る


父母の、話す声をば、下に聞き

我は、今宵も、爪をのみかむ


幼き日、良き日、やすき日、今にして

思えば尊き、楽しき日々かな


寒々と、空に見し月、影冴えて

我は今宵、旅にでんとす


打ちつづく、時計の音を、そばに聞き

しみじみ思う、我の命を


木枯らしの走る路上に一人立つ

胸の傷をば、温めながら


これ一つ、心に誓いし、我なれど

今は、心の傷を得しのみ


父母は、日々に年をば、重ぬれど

今の我に、出来ること無し、哀しきかな


酒のめど、さらにのめども、一時も

心やすまず、我ぞ悲しき


希望の火、あかあか燃えよ、遠き道

歩き続ける、我は鉄なり


風よ吹け、雨よ嵐よ、やってこい

我はきのうの我に非ず


闇にても、隠れ得まいぞ、白菊は


玄界の波を見下ろす丘の上

風に吹かれる、スミレ花一つ


軒近き、桃の蕾に薫りあり


蝉の声、聞ける筈なし、雪二寸


風つよし、思えば何ぞ、春一番


枯草をのぞいて見ればつくしの子―除くと覗くを掛け合わせているつもりー


暁の寒きを見れば五月霜


大波に揺れるはずだよ、二トン船


宵待ちて、上る月の影やさし


たらちねの母によく似た丸い月※これは有名な俳人のパクリです


風も無し、月も無き夜の、犬の声


二十歳なる、我を子ども、という母、哀し


君待てど、君は去りにし、闇の中


我が恋は、桜の元の、すみれ草


君去りし、村の桜、みな、散りにけり


愛らしい、胸のふくらみ、夢添えて、

君の我に、笑みし、日もあり


※何だかんだと言っても、やはり、女に飢えていた。

それにしても、若いというのは、良いものだ。

胸のふくらみを見ると、股間が大きくなって困った。

今思えば、懐かしい、この年になると、大きくなることなんて無いのだから。

僕が、マスターベーションを覚えたのは、高校時代、授業をさぼった帰りに、

公園で入ったトイレの中である。

臭いトイレの中で、大の用を足している時、壁に図解入りで書いてあったのだ、

とてもためになった。

他にも、ためになる格言を、トイレの中で良く見かける。

授業が終わった時など、いずれにしても、こうもんから、出るとき、人は、

アイデアが閃くのだろう。

幾つか例を挙げると「神に見放された時、運は、自らの手で掴め」とか、正面

の壁に「左を見ろ」と書いてあるので、左を見ると「右を見ろ」と書いてある、

右を見たら「上を見ろ」と書いてあって、上を見ると「きょろきょろするな」

と書いてあった。やられたな、と思った次第である。

もっとも感銘を受けたのは、孟浩然もうこうねんの春暁詩をもじった落書

きである。

春眠暁しゅんみんあかつきを覚えず」で始まる、あの有名な漢詩である。

特に、最後の下り「夜来風雨の音、花落つること知る、多少ぞ」は美しい。

トイレには「夜来夫婦の声、シーツ乱れること知る、多少ぞ」となっていた。

磨かれた、インテリジェンス、を感じた次第である。


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