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契約と信頼

 「ったく、いつまで抱きついてやがんだ。そろそろ離れろよ。」


 「だって超絶タイプの人がそばにいてくれるんですよ?そりゃこうもなりますよー。」


 「はぁ.... なんで俺がこんな目に遭うんだよ。とりあえずお前の家帰るぞ。」


 「はーい。」


 「腕組んで歩こうなんて考えるなよ?歩きづらいったらありゃしねぇからな。」


 「....ねぇ、心でも読んだ?」


 「んなことするまでもねぇくらいには想像できるっての。」


 そういえば運命の人云々の事を瀬那と話した覚えがあるが彼のことなのだろうか?


 「ねぇベル君?」


 「なんだよ?」


 「ベル君って私の運命の人だったりするのかな?」


 「はぁ....?お前には俺が人に見えるって言いてぇのか?」


 「いや、そこじゃないでしょ。それに人には見えるからね?ってか大好き。」


 人の中でも超絶イケメンの男子高校生に見えるくらいだ。


 「あー。そういやここ人間の世界だからそう見えるようになってるな。あと、どさくさに紛れて求愛するんじゃねぇ。」


 「ぬぅ....気付かれた。」


 「アホなこと言ってねぇでとっとと歩け。俺はお前の家を知らねぇんだ。」


 「まぁ、でも少し歩けば嫌でも分かるんじゃないかなぁ....」


 「お前ん家そんな目立つのかよ。」

―――――――――――――――

 あれから5分ほど歩き、我が家到着。


 「.....」


 「お前ん家ボロボロじゃねぇか!何だお前こんなとこ住んでのかよ、おもしれぇなー!」


 と、我が家がボロボロになった元凶はけらけらと笑っている。これを見るといくら好みの異性であっても怒りというものは自然と湧き上がるものだ。こんな趣味をしている自分にも通常の思考はできることが知れて良かった。

 「....とりあえず家、直してもらっても良い?」


 「あ?なんで俺がやるんだよ。俺が壊したわけじゃねぇだろうが。」


 ダメだ、この男は興味ないことを覚えないタイプのようだ。


 「はぁ....この惨状ベル君がやったんだよ?呼び出したら怒って壊したじゃん。」


 「あー、そんなことあったような気もするが覚えてねぇな。まぁそう言うんなら仕方ねぇ、家くらい直してやるよ。ありがたく思え。」


 恩着せがましい事を言いつつも掌を上に向け、人差し指を家に向かって突き出し、何かを唱えた。


 『シダダギヅス』


 その直後家が黒くて半透明なドーム状のものに覆われ、家だった瓦礫が音を立てながら発光し、動き始めた。


 「わぁ....」


 悪魔ってスゴ。

 頼んだ遥自身も流石に数分もしないうちに家が元通りになる事は想像できていなかった。


 「これで満足か?」


 「う、うん。ねぇ、ベル君って高位の悪魔なんだよね?」


 「なんだよ急に。そうだけどそれがどうかしたか?」


 「いや、高位の悪魔ならこんな家を直すくらい簡単なんだろうなぁって思っただけだから。」


 「寝ぼけてもできるな。」


 「寝ぼけてたら一周回って直すどころか廃屋になりそうだけどね。」


 これ以降また壊されたくはないし修理も頼みたくないなぁ。


 「っていうか他にはどんな事ができるの?」


 「出来ねぇことを探す方がめんどくせぇな。つーか、立ち話もダルいしはなしがあるから家入れよ。」


 「あのう。一応私ん家なんですけど....」


 「細けぇこと考えてんじゃねぇよ。」

―――――――――――――――

 「お前ん家外からじゃよくわかんねぇけど結構デケェんだなー。」


 椅子に座ってリビングの中を見回しながらそう呟いた。


 「え?あぁ、まぁうちは4人家族で暮らすには結構大きい方だね。でも急にどうしたの?」


 「いや、お前が俺に側にいろって言うならデケェ方が色々と楽だからな。」


 「やっぱりお願い聞いてくれるんだ!」


 (好き好んでとは一言も言ってねぇが言う意味もねぇし黙っとくか。)


 「つーか4人家族って言ったけどあと3人はどこ行ったんだよ?」


 「えっと、お父さんとお母さんとあと4つ上のお兄ちゃんがいるんだけどね。お父さんとお母さんは今旅行に行っててお兄ちゃんは海外留学して修道院で勉強してるの。」


 「....修道院?」


 あ、これ言わないほうが良かったやつだ。悪魔なら教会とか修道院は相反するものだし気分を悪くしてもおかしくはないし最悪の場合は最初みたいにおこるかもしれない。


 「ケッ、お前の親ならまだしも兄貴にだけは顔を合わせたくねぇもんだな。」


 「ごめんって。今のところ帰ってくる予定とか連絡は無いからそんなに怒らないでよ....ほらチョコあげるから。」


 「なんだよ?そのチョコって。」


 「そっか、ベル君悪魔だから人間の食べ物知らないのかな。チョコは甘くて美味しくて食べると嫌なこと忘れられるんだ。」


 「ふーん。字面だけでそんな危ねぇ食い物が人間の世界にはあんのかよ。気になっからちょっと食わせろよ。」


 「うんいいよ。」


 手元にあったスティックタイプの準チョコレート菓子を手渡すと箱を破り捨て、食べ始めた。


 「....!」


 「ど、どうしたの?」


 「うめぇ!」


 「そ、そう?」


 「おう。魔界の物より断然うめぇぞ。魔界の食い物つったら砂みてぇな味のリンゴとか食い物の色じゃねぇようなシチューとかろくな物がねぇからな。」


 「え、えぇ....?」


 まるで名前を書くだけで相手を殺せるノートやガキ大将を彷彿とさせる食べ物の数々だった。もはやそこまで行くと一度お目にかかってみたいものだ。


 「まぁチョコなんてそこら辺のお店にたくさん売ってるから食べたいなら買ってくるよ?」


 「マジでか!?」


 「マジで。」


 「マジか!お前に呼び出されてこっちにも得はあったようだな!」


 「気に入ってくれて良かったー。」


 「これにはお前に感謝しかねぇな。さて話の本題に入るぞ?」


 「そういえば家の前で話してた続きだね。話があるって言ってたけどどうしたの?」


 「ソロモン72柱のうち1柱である俺が人間界に召喚された事で魔界はきっと混乱しているはずだ。それはなんとなく想像できるな?」


 「うん、普段は何してるか知らないけど高位に位置するベル君みたいな大悪魔が1人でも突然いなくなったらバランスとか色々崩れちゃうんじゃないの?」


 「まぁ簡単に言うとそうなるな。悪魔にも位があって低級、中級、上級、そして俺のような大悪魔がいる。悪魔には大悪魔からは眷属を増やすことができるんだが俺らはその眷属の管理、始末をする必要がある。だが俺が消えた事で粛正対象になるような眷属が暴れる事があるんだが他の眷属持ちの奴らだって暇じゃねぇから対処ができねぇ。」


 「そんな事が....ちなみに暴れるような悪魔は何が目的なの?ベル君達に従うことに対して怒ってるの?」


 「いや、違ぇな。俺達悪魔は人間の負の感情に過剰に反応する事がある。アイツらはそのエネルギーが欲しいんだ。大抵は召喚した人間の本人すら意識してないような負の感情でそれを抑えるんだが召喚方法によって悪魔の系統が変わるから古の種族みてぇな方法が分からねぇような奴らが暴れるんだ。」


 「召喚方法で系統が変わるんだ!」


 「あぁ。それで聞きたいんだがお前は俺がここに居ていいのか?お前の望みだったら俺はここに居てやれるが暴れた奴らの始末ができずに人間界に降りてきたら俺の近くにいるお前を襲うだろうな。」


 それは自身の感情を優先して引き起こしていい事態ではない事を遥自身も理解していた。しかし同時に確信ともいえるものもあった。


 「それはお前自身にも危ないもんだがどうする?」


 「大丈夫だよ。」


 「あぁ?なんでだよ。」


 「だって襲われてもベル君が守ってくれるでしょ?ベル君強いし。」


 「お前なぁ....」


 「信頼してるからこそこんなこと言えるんだよ?それに確かめたいことがあるし。私もベル君の役に立つように頑張るから私のことも信頼してよ!」


 立ち上がり、胸を張りながらサムズアップをして遥はそう言った。

 「はぁ、信頼って言ってもよぉ、数時間しか経ってねぇんだぞ?」


 「そんなことは置いといて。私としては全然大丈夫だしさ。」


「めんどくせぇことになったなぁ....」


 「まぁまぁ、来なければ何もしないんだしのんびりしていようよ。」


 「お気楽だねぇ。」


 そうぼやきながらベルフェゴールは脱力して机に突っ伏した。

―――――――――――――――

 一方その頃夜中の住宅街に一人の少女が


 「この辺りで主様の魔力の形跡が....でもここで途切れてる。」


 小学生のように小柄な少女が奇怪な棒を地面に押し当てているというのにすれ違う人は何も気に留めていない様子だった。まるで少女の存在そのものが無いかのようだった。


 「急に様子が見えなくなったかと思えば人間界まで何をしに....?」

 第二話書き終わりました!

 自分自身の学校やアルバイトのスケジュールが関係してしまい、第二話の投稿が遅くなってしまい申し訳ないです。第一話が3月半ば頃の投稿で現在が5月の初め頃なので1ヶ月半もかかってしまったことには猛省しております。

 第二話は設定を固めることと第三話での出来事の予兆のようなものを描いております。

 台詞の一つ一つが長くなってしまい、読みにくくなってしまったかもしれませんが感想や評価次第で修正を入れたいと考えています。

 最後に、読者のみなさんは知っていますか?悪魔はチョコがお好きなようです。

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