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輪転哀歌

作者: 茉 理音

愛してる 愛してる

何度も 心が叫んでも

伝える術も持たなくて

そっと胸に抱きしめる 


さざめく星々の夜空 冴える十六夜

降り注ぐ 月明り

満開の 花零れ落ちる桜並木

騒ぐ風に舞い踊る花吹雪

揺れる水面に 映る月も揺らめく


悪戯な風が 凛と佇む貴方の髪を揺らして

舞う桜花が 戯れる

振り向いた貴方は 少し淋しげに微笑んだ


今は手を伸ばしても触れることのない

その面影も 愛してる


会いたいよ 会いたいよ

そっと 呟いても

焦がれる姿は 傍には無くて

伸ばした指先を そっと胸に抱きしめる


目に痛い程の 抜ける晴天

焦げるように 降り注ぐ陽の光

耳が痛い程の 騒ぐ蝉時雨

烟る土の香り

立ち籠める草と錆びた鉄の匂い


立ち塞がるような 木々を種々を

縫うように走り抜け

ふと 立ち止まった貴方は

何かを心に決めた様に 彼方を見つめていた


その強い眼差しに 会いたいよ


夢見てる 夢見てる

束の間の穏やかだったあの日々を夢見てる


夕暮れ 夕焼け 茜雲

並び歩く足下から 伸びる長い影法師

山の端の最後の光に

キラキラと輝く紅葉

吹風にサラサラと落ち葉が舞い踊る


落ち葉を集めて 芋を焼こうか

他愛ないやり取りを

遠くに見える家々から上る 夕餉の煙

高い空を寝床に急ぐ鳥の群れを

見つめて小さく微笑んだ


あの幸せをあの日々を 夢見てる


信じてる 信じてる

舞い落ちる雪を見上げて

僕は想う


あの景色を あの想いを あの愛おしい日々を

強くもう一度と願い続ける事が

今の僕の力になると


あの舞い踊る桜吹雪の春も

あの耳が痛くなる様な蝉時雨の夏も

あの泣きたくなる様な茜空の秋も

幾度も繰り返す生命の輪の中で


もう一度貴方と巡り会えると

信じてる






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