トイレの話
異世界転生ものでは、中世ヨーロッパ風の世界でトイレはボットンと言う設定ですが、異論があるので一応説明します
そもそも、狩猟・採取時代だとトイレは特に無く、その辺で用足ししていたと思われます
定住するようになって、どうするか、色々工夫していったのではないかと思われます
定住しても人数が少ない時はそれまで通りその辺で用足ししても問題無かったと思われます
人数が増えてその辺で用を足すのが難しくなった時トイレが必要になります
私が知っているのは、川でするタイプ。これは川の上に二本の板を渡して、板の間にすると出たものは川に落ちて流されています
後は中国の圂<豚囲い・豚便所>
「豕+囗」の会意。囲いの中で豚を飼うこと。豚囲い。また、豚囲いには横に便所が併設されており人がそこで用をたし、糞が豚の餌になった。
で、中世ヨーロッパではどうだったかと言うと、室内のおまるにして用を足した後、窓から捨てると言う風にしたいたと聞いています
考え方としては室内には汚物が無くなるでOKとい感じです。実際、ベルサイユ宮殿はパリの悪臭から逃れるために作ったようです
欧米人の考え方はとりあえず自分から見えなければ良い
多分、これの対策としてパリの下水道が出来たのではないかと考えます
汚物の処理とかはしないでそのまま流す。基本的に見えなくなればOKというのは同じです。川に流すと最終的に海に行き着くので、最終的には浄化されます。但し、途中で堆積した場合はその場所は汚染されます
まあ、何も考えていない感じです
一方、汲み取り式のトイレは汲み取るという作業が必要になります
この汲み取りと言う作業は誰が何の為に行うのか、この辺りをはっきりさせないと、便器の下の空間に汚物が溜まって溢れ出る事になってしまうのです
この辺の仕組みがないと汲み取り式トイレは成り立ちません
日本では、昭和50〜60年代までは汲み取り式トイレが多かった気がします。バキュームカーと言う車で汲み取り作業をして集めた汚物は下水処理して川から海に流していたようです(このあたりを見ていた人が結構いて汲み取り式トイレは臭くて汚いと言うイメージが出来たと思います)
このバキュームカーで汲み取るタイプの後で出て来たのが、浄化槽型水洗トイレです。これは敷地内に浄化槽というのを設置して汚物を浄化槽に入れます。浄化槽には汚物を食べる細菌がいて汚物は処理され無害化されて川に流されます。このため浄化槽型トイレを設置する際、農業用水を管理する所の許可が必要です
今は下水に流して汚物は他の排水と一緒に下水処理場で処理して海に流されるようです
(関連事項ですが、水の綺麗なところで作った米が美味しいのは色々な排水が入って来ないからだと思っています。特に洗剤とか)
汲み取り式トイレに戻りますが、バキュームカー以前は農家が汲み取っていたと言われています。(石川英輔さんの大江戸シリーズに書いてあります)
農家は農作物を作る為に肥料が大量に必要です。で、肥料が必要ない都会の便所から汚物を汲み取って肥料の材料にしていたようです。日本が太平洋戦争に負けて進駐軍に占領されたとき、GHQから「人の排泄物を肥料にしているのは寄生虫とかの問題があるし不潔だ」と言う認定をされて、化学肥料などに置き換えることを命令されたようです
実際は汚物をそのまま田畑に撒いていたわけではなく、肥溜めに入れて発酵させて肥料にしてから使っていたので普通は問題ありませんでした。アメリカ人は自分たちが知らなかったので簡単に禁止したようです
この肥と言うやつは常に需要が供給を上回っていたみたいで農家が争って汲み取りしていたようです。実際はどこぞの長屋のトイレは誰々のものとか決まっていたようで汲み取り代を支払うのではなく汲み取りする人が野菜などと交換で汲み取りさせてもらうと言うシステムだったみたいです
江戸時代は鎖国をしていたので肥料についても国内で何とかしないといけない。それを川や海に捨ててしまうのは勿体無い
その辺のシステムがないと汲み取り式トイレは成立しません
欧米人には真似出来ないものです
汲み取り式トイレは臭いと言う話がありますが、実際には自分の家のトイレは臭く無かったです。これは人間の臭覚がいつも同じような臭いを感じなくなるという特性があるためだと思います
かなり離れた別の場所に行くと食べてる物が違うのか別の臭いになるので臭く感じます
まあ何でもそうなのですが、欧米は使い捨て、日本は循環型と言う感じでした。今は日本も使い捨てになって来ています
あと、シャワートイレとかウォシュレットとかは便器ではなく便座なのでお間違いなく