妄想「不光のひとみ」
どうということもない日常がほしい。
素朴なものがほしい。
未来を信じた決意が望んだ未来を遠ざけた。身近にあった手放せないものまで遠退いて闇に沈んだ。
同じテーブルで、ティーカップやオーバルプレートに向かえたら、それだけでよかった。
たったそれだけのことに、手が届かない。
それでも手を伸ばしてゆく。
……あの決意は、間違いじゃなかった。
そう信じたから。
今もそうだと、信じているから。
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※文体・台詞の癖が強いかも知れません。ご理解・ご了承ください。
完結:二〇二三年七月二六日。
関連作品:前作「破綻の日常」「幸福の踏台」「冥姫の断凍」「破滅の怨恨」「水面の木の葉」
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