表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
龍つかいの憂鬱  作者: 河辺 螢
龍の国の龍つかいと、龍つかいにつかえる龍
37/49

4-11

 翌日のレティシア姫のお輿入れの行列はずいぶん盛り上がっていた。

 到着後は金の宮に入り、今、金の宮はご挨拶する人が列をなしているらしい。式の後はラウル殿下がいる水の宮で暮らすことになっている。

 私はご挨拶には伺わず、夕食会でお会いすることになっていた。会には怒れる黒竜ではなく、ランツェッタ子爵様が出席する。わかっている人には夫同伴、わかっていない人には愛人同伴と思われ、龍のあこがれのつがいのイメージをどんどん破壊していく。そのプレッシャーと締め付けられるドレスのおかげで、出されたごちそうも大して食べることができなかった。

 風の宮に戻るとすぐ楽な格好に着替え、気の利くテオが用意してくれていた軽食を口にした。

 おいしい。ホッとする。母の作ってくれたごはんみたい。

 …ああ、帰りたいなぁ。

 ドラゴネッティに来ると、ホームシックになる。




 そしていよいよラウル殿下とレティシア姫の挙式の日を迎えた。

 空は晴れ渡り、風もさわやか。いかにもラウル様は晴男っぽい。

 いつも以上に念入りに締めあげられ、完璧に仕上がったドレス姿に耐え、笑顔を絶やすことなく弟の嫁をひたすら勤める。

レティシア様の白いウエディングドレス。全身にレースが施され、ヴェールも裾も身長の三倍ほどあり、支え持っていた子供がコロンと転んで龍の姿に戻ったのがかわいかった。

 誓いの言葉、ローレンシア式の指輪の交換に続き、ルビノの実をお互いに食べさせる、ドラゴネッティ式の婚姻。会場には真っ白の花びら、外に出ると色とりどりの花が舞った。

 会場を移して披露宴が続く。ラウル殿下とレティシア妃は途中で退席し、主役がいなくなっても宴は続く。外国からの来客は順次引いていき、十一時を過ぎたあたりから帰る人、残る人がはっきり分かれてきた。そして十二時を越えた途端、無礼講になった。

 机が端に寄せられ、床の上にどん、とお酒の入った樽が積み重ねられた。

 皿に盛られた肉が追加で出されて、木の実もたっぷり。

 人型のままでいる者、龍に戻る者、みんな気ままに飲みまくり、中には樽を独り占めしている龍もいる。

 すごいなぁ。これが本当の龍たちの宴なんだ。

 見ると、ルヴェインも龍に戻ってた。しかも、樽を二つも確保してる。

「いつもこんな感じ?」

「『無礼講』になればな。レーナは初めてだったか」

 ルヴェインが軽くしっぽを振ると、私が着ていた重たくて華やかなドレスが一転柔らかな薄地の布を重ねたゆったりしたワンピースに変わった。コルセットもなくなり、何より軽くてああ、楽だぁ。これならこの「無礼講」を楽しめそう。

 すぐそばに果物の乗ったお皿も置かれ、数種類の果実の混ざったジュースをもらった。

 さすが結婚式、ルビノの実もある。幸せのおすそ分けかな? ルビノの実をつまんで差し出すと、ルヴェインはためらうことなく口にした。龍には少し小さすぎるかも。周囲で冷やかす声がしたけど、ルヴェインはしっぽで私を引き寄せた。

 火を吹いてみせる龍、樽に頭を突っ込んでいる龍もいる。ルヴェインにもたれながら、陽気になっていく龍達を見ているうちに、ちょっと苦手意識があったドラゴネッティが恐くなくなっていった。

 このまま帰れるといいんだけど、まだもうひと仕事ある。明日は休んで、あさってはアンジェラ様達と北の国、ノルドランシアへ。

 卵問題、解決できるかなぁ。



 ノルドランシアへの出発前日、ルヴェインは騎士隊の皆さんをしごきに行った。

 騎士隊の皆さんは来賓がいなくなってから打ち上げをするはず。警護としごきへのねぎらいを込めて、ルヴェインの名前でお酒を樽で差し入れしておいた。

 もしかしたらノルドランシアから直接帰ることになるかもしれないから、街に出てお別れのあいさつを済ませておいた。セルジオさんからは卵に関する話を聞いて、いくつか文献ももらったけど、私もセルジオさんも概ね見解は同じだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ