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龍つかいの憂鬱  作者: 河辺 螢
龍の国の龍つかいと、龍つかいにつかえる龍
31/49

4-5

 翌日のお昼前に私を迎えにやってきたのは、フラヴィオとヴァスコだった。

 気心の知れた騎士のお迎えに安心して笑顔になってしまった私に、ルヴェインが少し威圧を飛ばしたのか二人は直立不動になった。

「レーナのこと、よろしく頼む」

「はっ、必ずご無事にお送りし、殿下がお越しになるのをお待ちしております」

 …ルヴェインが、大人になっている!!

 私の荷物を引き渡すと、フラヴィオとヴァスコは龍になり、ヴァスコの背中に私の荷物が乗せられた。フラヴィオには手綱と鞍が付いていて、私が乗るのはフラヴィオの背中らしい。

「じゃ、先に行って待ってるね。…不法入国、見つからないようにね」

 手を振って行こうとすると、ルヴェインに腕をつかまれ、引き寄せられた。

 ぎゅっと抱きしめられて、耳元で

「大人しく待ってろよ」

とつぶやいて、頬に口づけをくれた。ものすごく心配されているけど、同時に信用されていないのを感じる。返事の代わりにルヴェインの頬に口づけを返して離れようとしたら、両頬を押さえつけられて唇が重なった。龍の二人が気まずそうに顔を背け、私は恥ずかしくて困っているのに、ルヴェインは全く平気な顔で笑っていた。

 …かなわないなぁ。


「よろしくお願いね」

 フラヴィオとヴァスコに挨拶してからフラヴィオの背に乗ると、二頭は羽をはばたかせ、体が宙に浮いた。

 いつもは飛び立つルヴェインを見上げて見送るのに、今日はルヴェインを見下ろしている。

 手を振ると、ルヴェインは手を振り返すこともなくただじっと私を見ていて、それが何となく寂しげに見えた。見送るのは慣れていないんだろうな。

 すぐに会えるよ。…不法入国がばれなければ。



 手綱がなくても乗れるくらい丁寧なフラヴィオの飛び方は相変わらずで、ルヴェインのような魔法での風の制御はなかったけれど安心して乗ることができた。

 飛行しながら見下ろしたドラゴネッティの街は、王子の結婚式を控えずいぶんにぎやかだった。他国からの来客も増えているようで、王宮だけでなく周囲の宮も、お城の外も、王都全体が活気づいている。

 風の宮の前庭に着地すると、侍従長のクリフさんが出迎えてくれた。

「レーナ様、お帰りなさいませ」

 すぐに私の荷物が下ろされ、部屋に運ばれていく。二人も龍から人型になった。

「騎士隊から常時二名護衛に参ります。ルヴェイン殿下から、街へのお出かけされると伺っておりますので、その際はお声がけください」

 明日は街に出ようと思っていたところだった。ルヴェインにも言われてるし、以前のように一人で行くのは駄目だよね。輩下のペンダントがあっても。

「じゃ、明日の予定でお願いできる? 普段着でついていてくれるとありがたいな」

 いきなりついた日の明日と言われてちょっとびっくりした様子ながらも、フラヴィオもヴァスコも笑って

「承知しました」

と答えてくれた。


 以前使っていた部屋はきれいに掃除され、さすがに干していた薬草は残っていなかった。

 持ってきた荷物は、服はすでにクローゼットに収まっていて、それ以外の「お土産」は鞄に入ったままになっていた。

 薬屋のマーノさんとは、ルドール王国に戻ってからも時々薬草の情報を手紙でやり取りしていて、ヒメグラシ草を見てみたいと言われていたので、今回ドラゴネッティに戻るにあたり、お土産に持っていく約束をしてる。ヒメグラシ草だけでなく、何種類か薬草を持ってきているので、ぜひ直接渡して話をしたい。

 そうだ、王城の中にある薬草も少し持って行こう。

 さっと着替えると、勝手知ったる王城の「庭」を散策し、あまり遠くまで行かない範囲で薬草を摘んでおいた。相変わらず、いい草生え放題。思わずにやけてしまう。

 以前の習慣で、うっかり声もかけずに出て行って、

「お出かけの際はお声くらいはかけてください」

と風の宮の護衛として控えていた騎士のファツィオに怒られてしまった。気を付けなくっちゃ。


 食事を作ってくれるのは、以前と同じくテオだった。私が戻って来ることを聞いて、今いる王宮から一時的に風の宮に戻ってくれていた。助かるなあ。

「お疲れでしょう。今日は口当たりの良いものをご用意しますね」

 堅苦しいドレスで食事をとらなければいけないのもあの頃のままだけど、お世話をしてくれる侍女のサーラさんは丁寧で優しく、小物を選ぶセンスもよく、お任せできそうだった。

 テオの料理は相変わらずおいしくて、旅の疲れも忘れてぺろりと完食した。


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