余談:未来を育む森の、唄???
「 ウキャキャ! ウッキーーーー!!!」
ボコッ!!!
「起きんかい、ゴルァ!!!」と、言ったところだろうか。
深い眠りについていたマイキーは、突然ど突かれ 覚醒 した。
どうやら顔を蹴られたようだ。右の頬が少々痛い。しかも飛び起きるなり体がきしみ、関節がミシミシ音を立てた。
「えっ!? 何?! 何なのコレ、ちょっと!!?」
慌てて辺りをグルリと見回す。
全く知らない場所だった。シュウバイツ宇宙空港の特別室とは比べ物にならない、酷く質素で粗末な部屋の中。
その中央に置かれた木箱に自分がすっぽり収まっている。
周りには一見土木作業員と見間違う 男達 が大勢いた。彼らは興味津々でマイキーを眺め、重機やガラクタの上に座って思い思いにくつろいでいる。
空気の匂いも複雑だった。息苦しいほど湿気を含み、植物や土が交じり合った濃厚な匂いに 思わずウッとむせ返る。
しかも・・・。
「えぇ?! サ、サル??!」
「ウキ! ウッキャッキャーーー!!!」
尻尾の先が縮れた子ザルが 馬乗りになってはしゃいでいる。
鼻を抓まれ髪引っ張られ、マイキーは散々オモチャにされた。
「 はっはぁ!♪ やっぱり アイツ の仕業だよ!」
傍に佇み 手紙らしきものを読んでた 初老の男が突然叫ぶ。
彼は心底楽しそうに、陽気な笑顔で振り向いた。
「 あの悪趣味な服着た金髪の小僧だ。
最高だ!コイツの面倒見る代わりに ジョボレットが俺達の活動、支援してくれるとよ!」
どっと哄笑が沸き起こった。
土木作業員風の男達が皆、腹を抱えて体を揺する。
「やっぱりか! こんなマネするのぁアイツしか居ねぇと思ってたぜ!」
「ぶったまげた! いきなり空から『毎度! ジョボレットでーす!』だもんなぁ!」
「地球連邦政府軍が手ぇ退いてからこっち、誰でもここに来れるもんな。
でも、ジョボレットが 人 運んでくるたぁ思わんかった!」
「兄ちゃん、アンタえらい奴と関わったなぁ! 俺たちゃすっげぇ助かるけどよ♪」
何が何だかわからない。
ただポカンと目を見張るマイキーに、手紙を読んでいた初老の男が面白そうに破顔する。
「 ナジャ へようこそ、三品野郎!」
初老の男= ラモス が、子ザルを抱き上げ陽気に告げた!
「植林、動物保護、治水工事。ここじゃ常に人手不足だ。しっかり働いてもらうからな。
かなりしんどい仕事ばかりだが、土星強制収容所よりゃよっぽどマシさ。
何より密林再生っつぅやり甲斐があるんだ、これ以上の仕事はないだろう?♪」
「・・・。」
マイキーの愉快な顔から血の気が一気に引いていく。
そして、自分に起こったことの全てを一瞬にして理解した。
ナムは、気絶したマイキーをジョボレットの超・特急配達便で ナジャ に送り込んだのだ。
しかもジョボレットの支援まで取り付けている。これでもう逃げられない。潤沢な支援を受けられるならば、ラモス達は大喜びでお世話をしてくれるだろう。
「ンギャ、ウキャキャ♪」
子ザル=ティモシーが、ラモスの腕からピョンと飛び降り、ポン! とマイキーの肩を叩く。
( お前、今日から俺の手下ね♪)
「 ・・・い”や”あ”ああぁぁぁーーーーーっっっ!!! 」
マイキーは天を仰いで絶叫した!
その雄たけびに驚いた 森の動物達 が、種を超え一斉に咆哮する。
鳥の声、獣の声、虫の声、水辺や湿地に住む爬虫類の声。
気高く個性的な 唄 が 高く遠く響く様子はまるで、愉快な顔した新しい仲間を歓迎しているようだった。
この章、終了になります。
お読みいただいた方、本当にありがとうございました。
心から 感謝 です!!!




