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第4話 銀髪族の狩場に足を踏み入れた

H6N6型のグリズリーを8体ほど狩った頃だった。


時折使っていた「完全気配探知」に、いるはずのない気配が映った。

何もない空間に、気配だけがあるのだ。


こんな芸当が可能なのは銀髪族だけだ。

しかし、何故51層より深いところでのみ活動しているはずの銀髪族がこんなところにいるのだろう。


不思議に思っていると、銀髪族(暫定)が透明なまま話しかけてきた。


「おい、お前。Lv.2以上の銀髪族が50層で活動するのは禁じられてるって知ってるだろ? 透明化を使ってりゃバレないと思っているんだろうが、『完全気配探知』で動きを見てりゃお前が少なくともLv.4以上の銀髪族なのはバレバレだ。上官にバレる前に51層に降りてこいよ」


……そういうことか。

こいつは、俺のことを不正に50層で活動する同僚の銀髪聖騎士だと勘違いして注意しに来たんだな。

誤解を解こうとすると余計に厄介なことになるのは目に見えてるから、ここは相手の話に合わせて51層に降りるとするか。


51層に降りるまで俺についてきてた銀髪族さんは、俺が降りたのを確認するとどっかへ行ってしまった。

その時、俺はとんでもないことに気づいてしまった。


……これ、先に「上官」とやらに目をつけられてたら一巻の終わりだったんじゃ?

"同僚"さん、今回のはファインプレー中のファインプレーだよ。これからは俺も51層より深いとこで冒険することにするね。


幸い、今の俺は銀髪状態だとPWRが4000を超えることもあって、グリズリー8体の討伐にはMPを300も使ってない。

MPはまだ3500ほど余ってるし、ちょうど火魔法も覚えたんだ。どうせなら53層で狩りに勤しもう。


俺は「透明化」を解除した。

51層や52層の魔物に「透明化」が通用しないとは思えないけど、どうせならいずれ「透明化」が効かない魔物に遭遇した時の為に視線誘導(ミスディレクション)で魔物を素通りする訓練もしときたいからね。


目線、瞳孔の開き具合、周りの気配。あらゆる情報を総動員して、魔物の意識の範囲外を動き続けた。

……うん、全然問題なくいけたね。1匹たりとも俺に気づかないまま、俺は53階層に降りる階段にたどり着いたよ。


階段を降りると、早速H9N9型のゴブリンが現れる。

そうだな……。気づかれないよう背後に接近して、MP300の火魔法で退治するとするか。


50層のグリズリー程度の相手なら、AGL任せに聖龍をかますだけで避けられる事なく相手を倒せる。

だが53層の魔物ともなれば、(Lv.4の俺ほどではないものの)相応のAGLを有しており事と次第によっては攻撃を避けられかねない。


確実に一撃で仕留めるには不意打ちが一番なんだ。


「うん。300は絶対要らなかったな。でも……また2づつ落とすにしても、どうせ今日のうちに髪戻してレベルアップするしなあ……まあ6体くらい倒して上いくか」


視線誘導(ミスディレクション)と不意打ちの火魔法で、確実にH9N9型のゴブリンを仕留めていく。

2時間くらいで6体仕留められたよ。


完全気配探知で自分に気づいてる銀髪族がいないのを確認し、透明化したのち瞬間移動を使い、地上に戻る。

回復ポーションをかけて黒髪に戻し、ステータス画面を開いた。

挿絵(By みてみん)



50階の魔物8体と53階の魔物6体で、2500×8+7500×6=65000。

そこに昨日の段階で溜まってた3500の経験値とヴァクト由来の経験値75を合わせて、計算はぴったりだね。


「レベルアップ」

「レベルアップ」

「レベルアップ」

「レベルアップ」

「レベルアップ」

「レベルアップ」

挿絵(By みてみん)


あっという間にヴァクトさんに追いついちゃった。


ちなみに、Lv.11以上からは僕にとってはちょっとレベルアップが難しくなる。

というのも、Lv.11→12の必要経験値は495000。10→11が15000なのを考えると何が起きたんだって感じだよね。


まあ10層の魔物を倒した時の取得経験値が50、11層だと550だから、本来黒髪族にとってレベルアップまでの必要討伐数は300から900にしか上がらないし妥当と言えるんだけどね。


☆ ☆ ☆


「なあフェンニル、今日だけでEXPが16000以上も増えたんだけど!? あれは、一体……?」


俺がダンジョンのい出入口付近で髪を乾かしてると、戻ってきたヴァクトさんが開口一番経験値のことを訊いてきた。


「良かったじゃん」


「良かった……のは、まあそうなんだよね。そうなんだけど、そうじゃねえじゃん?」


言いたいことは分かる。

ヴァクトさんは親友だし、どうしても知りたいと言うなら教えてあげないこともない。

でも、その前にちゃんと「覚悟」だけは聞いておかないとね。


「確かに、この経験値は50層だの53層だのの魔物を討伐して手に入れた」


「……マジかよ。どうやったん?」


「教えてもいいんだけどさ、その前に聞いときたいことがあってね。ヴァクトさんさ、僕のやり方を知ったとしてさ、それを国の偉い人とかの目に留まらないよう管理できる自信ある?」


「え、何で?」


「そこを想像できない時点で聞くべきじゃないと思うんだけどね。そんな事がバレてみろよ。銀髪族みたく『お国のため』とか言ってこき使われるようになるのがオチだろ?」


「……あ、そっか」


「ヴァクトさんだって、できるだけ楽して生きたいだろ?パリピがあるんだ、俺には及ばずとも並みの冒険者よりは強くなれるのはもう分かったよな。ヴァクトさんの性格からすると、そこで満足しとくのが正解だと思うけど……」


「……それもそうだな。詮索しないでおくよ。何たって楽して生きるのが一番だからな!」


「ま、具体的な方法は教えられないまでも俺が使ってる力を体験させてやることはできるぜ」

寝てる間とかに染めればいいからな。


「いつか頼む」


結局思った通り、強さの秘訣は教えずじまいとなった。

その後はヴァクトさんと一緒にギルドに行ったんだけど……今回は、戦利品の売値は金貨29枚と銀貨34枚になったよ。


冒険者になってもギルドカードを提出しさえしなければゲストとして戦利品を売れるから、今回もそうしてもらった。

それで売値は1/3になったけど、それでも金貨29枚だ。

……銀髪族、儲けすぎだろ。

辻褄合わせたよ!めっちゃ辻褄合わせたよ!!!!!


いやあ、めちゃくちゃ焦ったんですよ。

僕(←作者のことね)、ずっと「5×50=2500」だと思い込んで「1〜50層までは、取得経験値は一体倒すごとに5×階数」の設定で行こうとしてたんですけど、今日「いや待て5×50=250だ」って事に気付きましてね。


元の設定に合わせて話を作り変えると話が根本から変わることになるし、どうしたものかと頭を悩ませた末「10層以降は取得経験値は一体倒すごとに50×階数」ってことに設定変更しました。

合わせて、「Lv.10まではレベルアップに必要な経験値は1500×Lv、Lv.11以降は4500×Lv」だったところを「Lv.11以降は45000×Lv」に変更しました。


この変更によりLv.11からの必要経験値がかなり跳ね上がることになるのですが、まあそろそろ「数ヶ月が経った」とかを使い始める頃合いかとも思ってましたので小説上でのレベルアップ頻度は落とさずに行こうと思います!

よろしくお願いします。


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