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冷淡教師は自嘲勇者  作者: 三木新一
5/6

貫く考え

野村キュウレン  Aクラスに二人存在する学級委員長の一人。成績は、七級で二番目の実力を持つ

授業が開始されて、二十分の時間が経過した。授業は一コマ一時間の為、三分の一が経過している事になる

依然、授業に参加しているのはAクラスの四名のみだ。

「はあぁぁぁぁ!」

三人は、依然として同じ攻撃パターンで秀村を責め立てていた。

時折、単独で仕掛けるデンシの影響もあり、秀村は魔法をこの二十分の間に計八回発動していた。

魔法には、制限がある。

魔法の発動には、二つの条件を満たしたときのみ、発動が出来る。


一つは、発動出来る魔法を会得していること。

もう一つは、魔法発動に必要となる体力だ。

魔法の発動時、大気中に存在するujr159を代謝して、人は魔法を発動出来る。

魔法の発動に成功すると、大量の体力を消費する。

その消費量は、発動する魔法により異なる。

秀村の魔法、「レッテンド」の消費量は一度につき五十メイクだ。

メイクとは、体内に存在する体力を現す単語である。

秀村の所有するメイク量は八千メイクだ。

メイクの回復手段は、自然回復のみである。

メイクの回復量は均一であり、六十秒につき百メイク回復する。

つまり秀村の現在のメイク量は減少していない。

つまり、四人が狙っている体力切れを待つ作戦は無意味だ。

それに対し、四人のメイク量はほぼ無くなりかけていた。

デンジャーの総メイク量は五百八十、来示の総メイク量は六百七十、クリュウの総メイク量は八百、デンシの総メイク量は八百七十だ。四人の戦いを傍観している野村の総メイク量は二百だ。


秀村は、生徒全員のメイク量を把握している。それは、進学直後に行われた身体測定検査だ。

身体測定検査は、学期の節目に開催される為、年に三回行われる。

そこで測るのは、身長、体重、視力、握力、そしてメイク量だ。

検査は担任と保険の先生で行われる。

保険の先生が担当する理由は、プライバシー保護の為だ。

体重、メイク量測定時、被験者は服を着用されることが許されない。

その為、女子の検査は同性である先生が行う。

だが、その結果は分り次第そのクラスの担任に譲渡される。

その機会を利用して、生徒の実力を把握している。

だが、その測定ではその者の扱える魔法の種類までは分らない。

それを把握するために、秀村は積極的に実技の授業を取り入れている。

それは、未来の兵士となる者達の情報を、少しでも把握するためだ。

だが、その情報をなかなか生徒達は出してくれなかった。

四人の魔法属性を知れたのは、幸運だった。

だが、その三人と、一人で突っ走るデンシを作戦にいれ、指揮する野村の存在が気になっていた。

メイク量が、クラスで一番少ない野村が、なぜ三人に慕われるのか?

四人の共通点は、実力至上主義であること以外、秀村は知らなかった。

四人の攻撃を回避し続けつつ、秀村は動きのない集団に目をやった。

集団では、二、三人の生徒が立ち上がり、説得している様子だった。


 「おまえら、魔法を使える奴は手を上げろ」

Aクラスの生徒に向かって尋ねていたのは、クリスだった。

それを、傍らで見つめているのはハイナとナーイスだ。

この三人にも、共通点がある。それは、容姿が整っていることだった。

「おい、答えろよ」

威圧的な口調で問い詰めるクリスの言葉を無視し、Aクラスの生徒は前を見つめたまま反応する事は無かった。その反応に苛立つクリスは、再び尋ねる。

「おい、いい加減にしろよ、無視してんじゃねぇ!」

その言葉は、この日最大の声量だった。その時、

「うるさいです」

と、一人のAクラス生徒が口を開いた。クシナ・ラリュー。この七級において、高嶺の花という印象を持つ

少女だ。その生徒にBクラスの生徒が一斉に視線を向けた

AクラスとBクラス。教室は両隣にもかかわらず、今学期に入って、Aクラス生徒の言葉を聞くのは初めてだった。

「どういう意味だよ?」

眉をしからめ、クリスは問う。その問に、ラリューは視線を合わせずに答えた

「魔法なんて、誰にも教えてはいけない」

「何?」

「魔法を、大きな声で発言することは、愚かなことだと言ったの!」

「どういう意味だ?」

「あなたの魔法は[無発現]、右のあなたは[カンバリー]、左のあなたは[シュッチ]、そうですよね?」

「な、なんでお前が知ってるんだ?」

自分の魔法属性を言い当てられ、クリスは、Bクラスの全生徒は疑問の目をラリューに向けた

「もし、この中に裏切り者が居た場合、情報が漏洩するのよ。あなたは、赤の手先なのかしら?」

「なんで知ってるんだ!」

自身の問に答えず、自分の発言を優先して語るラリューにクリスは声を荒げて問う。

それに対しても、涼しげな表情で対応するラリューに、続けざまに問いただした。

「自己紹介・・・・・・」

しばらくの間黙っていたラリューから発せられた言葉を聞き、クリスの口が止まった

Aクラス生徒が動かない理由が分ったからだ。

それは、情報を露呈しない為。

想定外の返答に、クリスはあっけにとられた反応をとった。

まだ、まだ十歳の自分たちが、そのような事を考えたことは、一度も無かったからだ。

さらに言えば、教わる者や、同年代の友達、クラスメート。両親に至るまで、その情報を隠し通していると

いうことだ。

Bクラスの生徒は、自己紹介の機会に、自身の持つ魔法の属性。及び、扱える魔法の技、今後身につけたい

魔法の発表までしていた。それも、元気の良い声で。

勿論、その答えは両隣にいるクラスにもハッキリと聞こえていた。

「あなた達のような、愚か者と、同じ授業を受けるだなんて最悪な時間よ」

続けざまに霹靂とかたるラリューの姿を、Bクラスの生徒は皆、顔を伏せて聞いていた。

自分がこの空間を支配している事に気付いているラリューは、そのまま言葉を進める

「愚かな行為をしたいのなら、行きなさい。私達は、キュウレンの指示通り、授業が終了するまでここから

動かないわ」

その言葉を最期に、両クラスから言葉は消え、真空の空間となった

自分たちとは、何もかもが別次元だということを思い知りながら・・・・・・


             実技の授業終了まで、後十二分────────。

あぁ、早く教師同士の戦闘シーン描きたい・・・・・・

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